特殊音楽の世界 Vol.1アンソニー・ムーア関西ツアー
- 2017.11.23
- COLUMN FROM VISITOR
- Anthony Moore, slapp happy, アヴァン・ポップ, アンソニー・ムーア, ハーフ・ワン・スピーカー, 宇都宮泰
一般的ではないかもしれないけど魅力に満ちているちょっと変な音楽をここでは紹介していきます。でも今回は割と知られててそう変でもないのを。
slapp happyというバンドを御存知ですか?アヴァン・ポップの元祖と言われてるこのバンド。まずはこの動画を。
72年に結成だからみんないいおじいちゃんおばあちゃんになってますけど曲の美しさはそのまま。
去年久々に再活動、今年再来日も果たしたslapp happyのアンソニー・ムーアが今秋また来日し単独公演を行いました。
今回の来日はminamoの安永氏が中心になっての招聘、私も含めた関東関西各地の主催者が実務も企画も分担、しかも全公演全てプログラムが違う、という通常の来日公演とはかなり趣の違うものでした。
関西では京都でのトーク。続く大阪ではインスタレーションと宇都宮泰さんとアンソニーのソロ。
その中でも特筆すべきものはインスタレーションです。宇都宮さんが開発に協力したハーフ・ワン・スピーカー5台でアンソニーのサラウンド作品「重力の波」を再生するというもの。
何しろスピーカーが真っ二つに切ってあるんですよ。しかもキャビネットなし。これでどんな音がするかと思うと、なんと音がスピーカーから出てる感じが全くしない。音の広がりがハンパないから。なので何処で聴いてもベストポジション。なぜかスピーカーのサークルの外でもサラウンドが楽しめる。アンソニーの作っためっちゃリアルな別世界を48分。感覚が文字通り揺さぶられて終演後もそれはしばらく続きました。
宇都宮さんのことを知らない方もいると思いますが初期の少年ナイフ、最近ではテニスコーツのMusic Exists4連作の名エンジニアとしてだけでなく「トクサノカンダカラ」等の独創的で革新的な作品も発表する人でもあります。イヤーモニターシステムを世界で一番最初に開発した人といえばその凄さがわかるかな?
神戸ではアンソニーとHacoさんとの新曲8曲含むデュオ&ソロ。滋賀ではアンソニーのoutという超名盤からの曲も含むソロ公演という流れでした。
outは超名盤なのですが本人は気に入らず(新しいことを何もやってないから、ということらしい)一度だけCDで再発されただけでライヴでやるのも初めてとのことでした。outは一度はお聴きになってもいいと思うくらいの名盤です。
前衛とポップの両方にまたがるアンソニーの今回のツァー、単なる来日公演というだけでなく共にツァーを作ることが実感でき、直接的に未来に通じるようなものでもありました。
インスタレーションの再演決定しました。2017年12月3日(日)-17日(日)に大阪複眼ギャラリーにて。詳しくは
http://fukugan.net/28/halfone.html
まで。
このツァーの余波、まだまだ続きます。