《イベント・レポート》バンド・空間現代のレパートリー・ライブ作品『オルガン』について
- 2017.11.25
- KYOTO
- GOODMOODGOKU, Kazumichi Komatsu, odd eyes, pootee, オルガン, 山本精一, 擦過, 神村恵, 空間現代, 篠田千明, 細馬宏通, 荒井優作
「外」というスペースを京都にオープンさせてから、1年と2ヶ月が経ちました。バンド・空間現代の拠点として作られたこの場所は、楽曲制作や録音を行う為のスタジオであり、かつ、イベント開催可能なライブハウスでもあります。
毎月、空間現代のライブを主としつつも国内外・ジャンル問わず様々なアーティストを招いたイベントの主催(またはイベンターとの共催)を行っています。ホールレンタルを行わず、いずれも空間現代がディレクションに関わるという方針のもと、ご来場頂いた方にとっての「新しい音楽との出会いの場」となるよう努めて運営に励んでいます。
さて、このコラムでは「外」を運営する空間現代及びスタッフが交代制で、過去に行われたイベントのレビュー/レポートや、これから開催する予定のイベント紹介などを書いていこうと思っています。タイトルは、新聞の号外が購読者ではなく町中の通行人に配られるイメージから「外の号外」と名付けられました。名前とは裏腹に定期的に更新しますので、どうぞよろしくお願い致します。
《イベント・レポート》
空間現代『オルガン』
初演:2017年7月8−9日、22-23日、25-26日
バンドがライブハウスを持つということの意義と可能性について改めて考えさせられた一日でした。この日はじめて「外」は本来の役目を果たしたのかもしれません。終演後、私はこの作品の作り手が空間現代であり、それと同時に外でもあるのだという事に気付きました。きっと外がなければ生まれ得なかった作品だろうと思うのです。
『オルガン』は、去年発表の前作『擦過』に続く2作目のレパートリー・ライブ作品です。いずれも音源化を前提とせず、「外」で繰り返し上演されるものとして作られました。どちらも全編書き下ろしの1時間、照明演出も重要な役割を担う構成になっています。その為、制作過程一つとってみてもこれまでやってきたライブとは異なり、苦戦を強いられ続けました(その辺の事は下記リンクのインタビューにて詳しく語られていますのでご覧いただければと思います)。
《外》という身体の中で蠢く臓物/器官(organ)
空間現代の新作公演「オルガン」とは何か?
http://turntokyo.com/features/interviews-kukangendai
ライブハウスの運営計画を立てている際、真っ先に思いついたのがレパートリー・システムの事でした(今のところまだ2作品しかありませんが、今後も新作をどんどん作っていき、たとえば月替りで異なる作品の上演を行う事も可能にしたいと思っています)。制作・練習・本番が同じ場所で行える環境だからこそ取組めるこのアイデア、ある意味では外を作る上での大きなモチベーションの一つだったような気がします。
動き始めて分かったことは、これがバンドの運営するライブハウスとして、あるいはライブハウスを運営するバンドとしてできる、最大の実験であり挑戦だという事です。音楽との関わり方が劇的に変わってきたこの数年間、その変化に抗わず、かといって依存もしない活動の在り方として、外及び空間現代はレパートリー・システムの構築をじっくり進めていこうと思います。ライブハウスに足を運ばないと味わえない音楽の魅力と、その楽しみ方の新たな可能性を求めて。
細馬宏通による『オルガン』評(外 Webサイト「ARCHIVE」ページ掲載)
http://soto-kyoto.jp/archive/kukangendai_organ/
《ピックアップ・イベント》
今後開催予定のイベントの中から、特におすすめのものを紹介していきます。12月は空間現代の海外ツアーがあるため、外の営業日はかなり少なくなっておりますが、どれも濃いイベントばかり。ツアー帰りの空間現代と山本精一による忘年イベントと、今夏音源を発売し話題騒然のGOODMOODGOKU&荒井優作によるライブ。どちらも必見です!
12月17日(日)
《Torus》
[LIVE]
GOODMOODGOKU
荒井優作
odd eyes
Kazumichi Komatsu
[DJ]
pootee
GOKU GREENの鮮烈なデビューは今でも覚えています。当時受けた衝撃は「現役高校生ラッパー」というその肩書もさることながら、彼のラップの魅力そのものにあったと思います。現在ではGOODMOODGOKUと名義を変え、シンガーとしての魅力を発揮する彼のライブへの期待値は、今夏発売されたばかりの荒井優作との共作音源『色』を聴けば聴くほど高まっています。共演は「外」でもおなじみとなったmad eggことKazumichi Komatsuにodd eyes、そして初登場のDJ pootee。
外、本年最後の営業日です。一年の締めくくりとして行われるこのイベント、空間現代は海外ツアーを経て磨かれたライブセットを拠点に持ち帰り演奏します。
共演は山本精一さん。これまでも度々ご出演頂いてますが、実はこの組み合わせは初めて。ソロの演奏、ということ以外はまだ何も分かっていませんが、きっとこの日も深遠な音を響かせてくれると思います。
終演後は外スタッフによるDJ外出も。年忘れに是非!
text:野口順哉(空間現代/外)