[第3回]パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズ ウィル バーチ (著), Will Birch (原著), 中島 英述 (翻訳)

パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズ
ウィル バーチ(著)

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第三回目ですが、自己紹介するの忘れてました。久保憲司と申します。カメラマン、ライターなどやっております。スマッシュの日高さんが初めてグラストンベリー・フェスティバルに行った時、一緒に行ってました。それぐらいの年よりです。第一回はチャールズ・マンソンのドキュンタリー本『ファミリー』、第二回はアナーコ・パンクのクラスのドキュンタリー本『クラス』を紹介してきました。チャールズ・マンソン、クラスとロック・フェスと関係していて、その続きとしてウィル・バーチの名著『パブ・ロック革命』を紹介したいです。

 

クラスの時と同じようにパブ・ロックとロック・フェスになんの関係があるねんというという声が聞こえ気そうですが、この本を読んでもらえば分かると思います。

 

この本でのニック・ロウの「(パブ・ロックという現象は)ヒッピー・アンダーグラウンド・シーンを経験し、それが自分たちの趣味に合わないと気付いたかつての中堅モッズ・ミュージシャンたちが大挙して再結成した現象」という発言からも分かるでしょう。

 

でもパブ・ロックの物語の始まりが面白いのはヒッピー文化に影響されてそれで金儲けをしようとしていた胡散臭い人物エドワード・モルトンと、彼にプレジャー・ドームというヒッピーたちが自由にマリファナを吸えるようなリゾート施設を作ろうと持ちかけたスティーヴン・ワーウィックの物語から始まるんです。クラスの時に書いたウッドストック・フェスティバルの始まりと一緒で笑うでしょう。マリファナを自由に吸える場所なんか作れたのか謎ですが。ロックの殿堂として歴史に残るフィルモアがヒッピーたちが安心してマリファナを吸えることに命をかけていたことを考えるとそんなことがイギリスでも出来ると思っていたのでしょう。

 

この胡散臭い二人が、そんなアイデアはなかなか実現しないからと、バンドに投資しようと、スティフ・レコードを作ったディブ・ロビンソンを仲間に入れることから物語は転がります。僕が知っているディブ・ロビンソンは海千山千をくぐり抜けたすごい人物と思ってたのに、こんな胡散臭い人たちに騙されるのかと笑ってしまいます。デイブ・ロビンソンよりももっとやり手と思っていたコステロとニック・ロウとともにFビートを立ち上げるジェィク・リビエラも一緒になって騙されています。まだみんなヒッピーでナィーブだったんでしょうね。

 

デイブ・ロビンソンが見つけてきたバンドがブリンズリー・シュウォーツ、そして、そんな彼らを売り出す方法として考えたのが、レコード契約も決まっていないのに、ロックの聖地フィルモア・イーストでアメリカ・デビューさせようというもの、しかもメディア関係者を百人も連れて行くという。80年代の日本でよくあったようなことをイギリスもやってたんですね。日本とイギリスの違いはNYまで連れて行ったからと、提灯記事は書かないことなんすよね。酷かったとちゃんと書く、偉い、ちゃんとジャーナリスト魂がある。どこの馬の骨とも分からない人たちだから、別に何書いてもいいと思ったんでしょうね。大きな事務所だったら、ちゃんと書いたんでしょうかね。いや、そんなことないか、当時一番デカかったバンド、レッド・ツェッペリンのことをメディアが批判的なことを書くから、レッド・ツェッペリン対メディアの構図が出来上がってしまっていたから、ダメなものはダメと書く風潮が西洋にはあるんでしょうね。レッド・ツェッペリンがダメというのはどうかと思いますけどね。レッド・ツェッペリンの4枚目にバンド名が書かれていないのは、メディアがレッド・ツェッペリンという名前だけで批判するから、ブチ切れて、バンド名もアルバム・タイトルも載せないということになったのです。すごいでしょう。レコード会社がそんなジャケットじゃ絶対売れないから、なんとか名前を入れようとしたら、マネージャーのピーター・グラントが「お前ら勝手に名前を入れたら、そのレコード紙袋に包んで、店頭に並ばせるからな、分かったか」と脅したという。後にこのアイデアは『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』に採用されたんですけどね。とんでもないでしょう。

パブ・ロックの話からレッド・ツェッペリンの話になってしまいました。僕が言いたいのは西洋のロックの奴らは狂っているでしょうということです。この本にもそんなエピソードが満載されております。

頭のおかしな人たちが能天気に頑張っていく物語ですが、唯一僕が悲しかったのはピーター・サヴィルよりも誰よりもすごいデザイナーと思っているバーニー・バブルスがナィーブ過ぎて成功しなかったことです。パブ・ロックが好きな方はあまりデザインとか興味ないかもしれないですけど、バーニー・バブルスの作品を再評価してください。ファクトリー・レコードがやろうとしていたことって、ジェイク・リビエラとバーニー・バブルスがやろうとしていたことの真似なんですよね。クリエィションも。

Reasons to Be Cheerful-The Life and Work of Barney Bubbles (英語)
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