第4回 映画の見方がわかる本 ー『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』までー 町山智浩(著)
- 2018.02.27
- COLUMN FROM VISITOR
- ロフトプラスワンWEST, 丸屋九兵衛, 町山智浩
今度ロフトプラスワンWESTで映画評論家の町山智浩さん、音楽評論家の丸屋九兵衛さんとトークショーをします。
スマッシュ・ウェストのイベントによく来ているみなさん、関西のイベントなので遊びに来てください。
映画ファン、音楽ファンなら絶対満足する話しまくります。
ロフトプラスワンWESTって、皆さん知ってますか?関西の人は「日本のロックを作ってきたロフトさんがなぜ関西に進出するのに、ライブ・ハウスちゃうねん。しかも喋りの本場大阪で、喋りの小屋って、吉本か」とツッコんだと思います。
これには深い裏事情があるんです。でもスマッシュともちょっと関わりがなるので読んでやってみてください。
でもこれ僕の憶測ですけどね。本当の裏事情は知らないですよ。
話は3.11から始まります。
福島が大変なことになった日です。みんなショックを受けて何かしないといけないと思った日です。
で、素人の乱という人たちが翌週くらいに原発反対のデモをしたわけです。そしたら高円寺に9千人くらいの人たちが集まったのです。しかも今までのデモに集まっていた労働組合なおじいちゃん、おばあちゃんじゃなく、パンクスからラッパーと言った普段デモには行かないような人たちがたくさん集まったのです。
あの日の光景はなかなかいいもんでしたよ。高円寺の駅前がフジロックみたいになってました。
僕はこの光景を見て、これは世の中変わるんじゃないかと思いました。
僕にとってこの日はクラッシュの映画「ルード・ボーイ」のワン・シーン、ロック・アゲンスト・レイシズムのフリー・ライブのようでした。
素人の乱の企画するデモは毎回デカくなっていきました。そうすると逮捕者も出ます。デカくなるとアホも集まり、もっと騒ごうぜというバカが出てくるわけです。そうすると主催者はそのバカと機動隊の揉め事を収めようとして、逮捕されたりするわけです。その時の保釈金とかを出していてくれたのが実はロフト創始者、ロフトプラスワン席亭の平野悠さんなんです。デモの時の先導する車を運転してくれていたののも平野さんでした。一回目だけだったかな?、ちょっと覚えてないんですが、ていうか調べろやですが、まっ、大体で。
こんな動きがあの官邸前に何万人も集める抗議活動や、シールズ、しばき隊(元C.R.A.C.)などを生んでいったのです。
そんなみんなの討論の場として使われていたのが、ロフトが運営する会場でした。
みんなで討論する場所が必要だ、東京だけじゃなく、大阪、名古屋など色んな場所でロフトプラスワンのような場所が出来れば、きっと日本に革命の日が来ると思ったのです。
革命、嘘です。でもきっといいことがあるんじゃないかと平野さんを焚きつけていたのが元スマッシュの社員、現在は物書きの松沢呉一です。
松沢呉一というのがとんでもない人物で本人はすっかり忘れていますが、忌野清志郎さんを反核に変えた男なのです。広瀬隆著の「危険な話」を読んだ松沢さんはこれは大変だ、どうしたらいい、そうだ、この本をミュージシャンに配ろうと何十冊も買って、意識ありそうなミュージシャンに送ったのです。そして、それを読んだのが清志郎さんだったのです。昔売れてない頃のRCに感動した糸井重里がRCを広めるためにどうしたらいいとRCのレコードを何十枚も自分で買って配ったと同じ方法で、今度は清志郎さんが反核への道を進んだのです。
多分松沢さんには糸井さんの方法が頭にあったんでしょうね。これが松沢さんと糸井さんの違いですね。
広瀬隆著の「危険な話」を僕は読み返していないですが、のちの広瀬さんの本がロスチャイルドの陰謀論とかの本になっていきますので。僕はトンデモ本だと思ってます。だから今別に今読まなくてもいいと思います。
ロフトプラスワンWESTに話を戻します。松沢さんの扇動からまさかあんな大きなものが出来ると思いませんでした。新宿というより新大久保に近いネイキッド・ロフトくらいの50人くらいでいい感じになるサイズを期待していたのですが、場所もあんなところ(失礼)じゃなく、アメ村とかがいいような気がしたんですが、もしくはオシャレな堀江とか、今からもっと伸びるであろう中崎町とか、どうも平野さんはホストとキャバ嬢の町が好きみたいですね。新宿スワンか!
会社というのはこういうもんなんでしょうね。銀行から金を借りてやるので、規模もあれくらい、場所もああいう所じゃないと金を貸してくれないのでしょう。
若い人たち50人くらいが集まれる規模の場所を日本中に作ってください。それがきっとダダ、キャバレー・ボルテールとかシュールリアリストとか、そういう場所になっていくでしょう。
状況主義者の名言です。「ハシエンダを作らないといけない」です。
この言葉を信じてマンチェスターに当時ヨーロッパで一番デカいクラブを作った人がいましたけど。
そんなものです、それでは今回はこのへんでじゃなかった。
今回紹介したい本は町山さんの『映画の見方がわかる本ー「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで』です。音楽の本ではないですが、この本を読むと作家さんがどういう理由で作品を作っているのかが分かるので、音楽ファンもきっとアーティストはこういう理由で作品を作ったり、苦しんだりしているのかがわかって楽しくよめると思います。る評論集になっています。
この本は次に「〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀」(こちらは文庫になっているので、お安いですよ)と続いていて、この2冊を読んでいくとアメリカ映画がどう変わってきたかというのが分かります。
次はエディ・マーフィーの『48時間』から始まるアメリカ映画が完全に金儲けだけに走る時代、そして、ハリウッドの崩壊となっていくのでしょう。
僕の『ダンス・ドラック・ロックンロール〜誰も知らなかった音楽史〜』は町山さんのこの2冊の音楽版が出来ないかと作りました。
パイ投げ犯と鼻血ブーのトークー・ショー見に来てやってください。
丸屋さんとのトークー・ショーもお楽しみに今のところアメリカのTVアニメの話になりそうです。僕はケンドリック・ラマーについて喋りまくりたいんですが、そっちにうまく持っていく自信はありません。