特殊音楽の世界5「管楽器の特殊奏法」

今回は管楽器の世界で特殊な奏法をしてる人達を紹介します。

まずはこの間来日したばかりのコリン・ステットソン。残念なことにその来日公演は見逃してしまいました。

コリン・ステットソンはボン・イヴェール、アニマル・コレクティブ、LCDサウンドシステム、アーケイド・ファイア、のアルバムにも参加していたりするのでご存知の方も多いと思います。

ちなみにこの演奏、エフェクター類一切なしだと思います。喉や管のいたるところからシールド出ていますね。

サックスの可動部はもちろん喉に至るまでピックアップを接続、それを拡大かつ変化させてリズムを刻んでいます。

強力な音ですよね。しかもソロの音とはとても思えないし。

 

次は大友良英のNEW JAZZ ENSENBLEにも参加していたアクセル・ドナー。

ご覧の通り、呼吸音の拡大、倍音、バブルの音等を使い、トランペットという単音楽器とはとても思えないくらい複雑な音を出しています。

これ、生で聞いたことがある人はお分かりだと思いますけどアクセルの出す音はとても大きいんです。そして綺麗。ただの息を吐く音なのになんでこんな音がするのかと驚きます。

パン・ソニックのミカ・ヴァイニオやケヴィン・ドラムとも共演したCDもあるのですが、聴いているだけではどちらが電子音か分からないです。

4月に旧グッゲンハイム邸で来日公演があるそうです。もし興味が出た方は是非に。

http://www.nedogu.com/blog/archives/20612

次はジョン・ブッチャー。

どれだけ複雑な音を出しているかソロの方がわかりやすいかもしれません。

日本でのライヴの動画です

一見、というかかなり地味ですが音はとてつもなく複雑で豊かです。

ものすごいテクニックの持ち主だということはわかってもらえるかと思うのですが、単に技術のひけらかしではなくソロの管楽器でこれだけ重層的な空間を創り出しているのはすごいことだと思います。

 

3人紹介しただけで終わってしまいましたが、(フランツ・ハウジンガーも紹介したかったです。)3人とも、何か無理やり個性を出そうとして特殊奏法を行なっているのではなく、楽器と自分の演奏の可能性を広げようとした結果ああいう特殊な奏法に行きついたということですね。

実際に生で聴くと音の大きさと美しさにまず驚きます。エレクトロニカ等の電子音楽に馴染んでいる方にも十分に楽しめる音楽だと思います。

こういう音楽を前衛やアートとして捉えるのではなく純粋に美しく楽しい音楽として楽しんでいただければ嬉しいです。

 

F.M.N.石橋

:レーベル、企画を行うF.M.N.SoundFactory主宰。個人として78年頃より企画を始める。82~88年まで京大西部講堂に居住。KBS京都の「大友良英jamjamラジオ」に特殊音楽紹介家として準レギュラーで出演中。ラジオ同様ここでもちょっと変わった面白い音楽を紹介していきます。