特殊音楽の世界11「アジアの特殊音楽その1」

今回はアジアの特殊音楽について。

まずは、日本でもすでにかなり名前を知られてますがインドネシアのセンヤワ(senyawa)を。

ヴァキールの使っている楽器は竹製の自作楽器です。彼らは欧米やボアダムスやグランド・ゼロ等の日本のオルタナティヴな音楽にも影響を受けたらしいです。しかしインドネシアの土着的な文化も強く意識してるようにおもいます。

「アジア」という言葉から多くの日本人はエキゾチックなものを連想しがちですが、アジア各国の文化、歴史の流れからみると伝統的文化を意識することは日本とは違いかなり政治的、先鋭的な意味があるようです。

F.M.N.からもリリースしている大友良英とSachiko MのFilamentというユニットは海外でも著名ですが、欧米人によく訊かれるのは「禅」との関わりです。全く関係ないのに。

日本の伝統文化と結びつけて簡単に理解したことにしてしまうんでしょうね。これは日本でも、前衛的な音楽だと簡単に「ジョン・ケイジ」と結びつけられることと同じです。多分、「禅」も「ジョン・ケイジ」もよく知らずにその人の持つあやふやな印象だけで結びつけているでしょう。

それと同じようにある国の今の先鋭的な文化を簡単に伝統と結びつけることの危うさはあると思いますが、どうも東南アジア諸国ではちょっと状況が違うようです。

伝統をちゃんと把握して、しかもそれを今やる意義をちゃんと考えて、しかもそれを新しい音楽として昇華させているように思えます。

それは音にも表れていますね。Senyawaの音楽と、欧米人にウケるように日本の文化を捻じ曲げて「ジャパン風味」にしてる音楽を比べてみれば、音の説得力がまるで違うのは一目瞭然ですよね。

東京オリンピックの開閉会式でそんな欧米向けの「ジャパン」を出したら世界の笑い者になるどころか日本のしっかりした「伝統」も崩すことになるんじゃないかな、と勝手に心配してます。

話が逸れました。

でも「伝統音楽」と全く関係なく(いや住んで生活してるんだから全く関係ないことはないんですが)、しかも欧米の教育機関で学んだ「前衛」でもなくノイズや特殊な音楽をやっている人達はアジア各国にいます。

大友良英は、そういうミュージシャンのネットワークを作ろうというAsian MeetingFestival を2005年に始めました。2015年からは国際交流基金の援助も受けるようになり(しかし去年に援助打切り、再び自費での開催に戻りました。)現在はシンガポールのユエン・チーワイとDJ sniffがディレクターになり活動を続けています。今年は台湾でフェスティバルを開催したばかりです。

そのAsian Meeting Festivalの2015年の京都の様子がこれ。

Asian Meetingのことについて大友自身がjamjamラジオで語ってます。

https://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/jam/

ここの#442です。Podcastで聴けます。

ここで語られている通り「実際に顔を合わせること」がどれだけ重要なことか。なんでも知ったつもりになっていることが一番よくない。アジア諸国の音楽のことも知ったつもりになっていることが一番よくない。こうやって未知の音楽家によって未知のしかも「今」の文化の「顔」を合わせること、そういうこと足元から始めないと巷に溢れてるヘイトもなくならないと思います。

長くなりそうなので次回に続きます。

アジアの音楽文化についてもっと詳しく知るにはSTUDIO VOICE9月号の「今アジアから生まれる音楽」は必読です。特殊音楽だけでなくヒップ・ホップやインディー・シーン等いろんな音楽文化がわかりやすくまとめられています。

アジアの音楽や文化についてはまずこの人offshoreの山本桂奈子やAsian MeetingのディレクターでもあるDJ sniffも執筆陣にいます。

最後に一つ、好きな動画を。2015年のAsian Meeting にも出演したTO DIEもいるノイズ公園ライヴを。盗電してます。途中で管理人に怒られてやめてます。終わってメンバーの一人が「succsess」と呟いてます。傍迷惑だけど、なんかいいですね。

では次回、続きを。

F.M.N.石橋

:レーベル、企画を行うF.M.N.SoundFactory主宰。個人として78年頃より企画を始める。82~88年まで京大西部講堂に居住。KBS京都の「大友良英jamjamラジオ」に特殊音楽紹介家として準レギュラーで出演中。ラジオ同様ここでもちょっと変わった面白い音楽を紹介していきます。

(文中敬称略)

ONJQ(大友良英g、類家心平tp、今込治tb、水谷浩章b、芳垣安洋ds)東名京ツァー

11月26日(月)@東京スーパーデラックス
開場 19:30 / 開演 20:00
料金 予約2800円 / 当日3300円(ドリンク別)
Tel 03-5412-0515

https://www.super-deluxe.com/room/4548/

11/27(火)@名古屋得三
18:30/19:30
¥3,800/¥4,300
Tokuzo予約・販売:052-733-3709/mail@tokuzo.com
チケットぴあ:Pコード:123-455/0570-02-9999
ローソンチケット:Lコード:45293/0570-084-004

11月28日(水)@磔磔
18:00 Open 19:00 start
Adv:3800 door:4300 drink別
磔磔店頭
チケットぴあ Pコード:123303
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