カレー屋店主の辛い呟き Vol.13 「ボヘミアンラブソティってヒットしてるんだな」

大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。

2018年もそろそろオシマイ。

ミナサマにとってどんな一年でしたか?

当店も相も変わらずの毎日を積み重ねてるうち気が付きゃ一年。3回目の冬を迎えることができるのも、こんなボンヤリとしたお店にご来店いただいてるミナサマのお蔭。ホント感謝しております。はい。来年は、も少し精進しますね…。

さてさて、毎晩いろんな話題が花咲く当店カウンター。最近「ボヘミアンラブソティ見ました?」ってワードの多いこと…。ヒットしてるのですね。幾人にも聞かれ、みんな揃いもそろって大絶賛。「あれなー」「それなー」「でもなー」と微妙に腐しながら天邪鬼な対応をする僕。いや、良かったよ。うん。実は公開初日にしっかりと鑑賞したし。ライブのシーンも良かったし。余韻を楽しみながらラーメン食ったし…。そもそもクィーン好きだしな。

ただみんな大絶賛ってのが。ちと気持ち悪いワケで。あとこの話何回目って…。違う話題でも起こるバーカンの中の人間あるある。精進しなくちゃいけないのはこういうトコ。

先日もそんな感じで、そのまま話は展開してオススメの映画話へ。そこで出てきたのが「音楽系の映画でオススメあります?」って話。一口に音楽系って言っても、ライブのドキュメンタリーから、バンドやその周りのカルチャーをモチーフにしたもの、単純に音楽がいいんだよってものもあるし。だらだらと話してる中で、いろんな切り口でイロイロな映画が出てきた訳です。冬の夜長、映画鑑賞でもって事で。そのとき出てきたり、思い出したりした映画をいくつか今回ご紹介させてくださいね。僕自身もその会話で思い出して、再度見てみた映画も沢山あったしな。

実は、僕がその時最初に思い出した映画がこれ。

『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』

80年代にデビューしたヘヴィメタル・バンド、アンヴィルのドキュメンタリー映画で、彼らが影響を与えた数々のバンドはビッグになっていくんだけど、彼らは地元でバイトしながらロックスターを夢見て音楽活動をし続ける。そんな二人の姿を追った作品なのだけど、彼らの愚直な夢を諦めない感じと、その駄目っぷりが笑えて泣ける名作なのです。個人的にも、僕の最初の野外フェス体験だった「スーパーロック84」。ホワイトスネイク・スコーピオンズ・マイケルシェンカーG、ボンジョヴィ、そして彼等。その当時はアンヴィルにさほど興味もなく、ぼんやり聴きながらメシ食ってた記憶しかないけれど、まさか、そこから劇場公開時約25年ほど経って彼らの映画を見ることになるとは…。泣きました。ドキュメンタリーだけど、「映画」としても成立してる好作。「ボヘミアンラブソティ」を見た後にこの映画も見てほしいんだよな。なんてーか、リアル。だけどファンタジー。

次に紹介したい作品がトライブ・コールド・クエストのドキュメンタリー。


『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ』

伝説的HIPHOPグループの「ア・トライブ・コールド・クエスト」の魅力と確執を追ったこれもドキュメンタリー。

1998年に解散後、2006年に最結成したタイミングで撮られた作品で、もちろん彼らのグループとしての凄さが分かる訳なんだけど。一番のスターだったQ-tipとメンバーのファイフ・ドーグの確執が描かれていて、ほらスターに対して俺はいつまで影にいなきゃなんねーのというありがちな。結局そのまま不仲になって解散しちゃうわけだけれど、ファイフの大病から連絡を取り合うようになって~という流れでね。個人的に好きなのは、再結成に向けてのリハーサルシーン。どんどんグルーヴが合ってグループになっていく姿がなー。おまけに、結局この映画が公開された後ファイフ・ドーグは2016年に病気で亡くなってしまうし。僕みたいなイチ熱狂的なファンからすると宝物のような映画だし、HIPHOP好きじゃなくても、小さな嫉妬から生まれた確執って誰にでもある話でしょ?そんな幼馴染や仲間との関係性が、オーバーラップしてくるような。で、音楽の繋がりの凄さというか濃さが分かるような作品なのです。

今までの2本はドキュメンタリーで、ある意味見る人を選ぶかもなので(音楽のジャンル的にとかね)、冬の夜長そんな音楽好きでもない彼女とふわっと見れる映画も紹介しておきますね。(羨ましくなんてないやい…)

古今東西音楽でメシを食おうとしてて夢破れ、その後、映画監督になったという人って意外と多いと思うのだけど。最近だと、『セッション』や『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼルとかね。ここで、紹介するのもそんなキャリアを持つジョン・カーニーの作品。

『ONCE ダブリンの街角で』

アイルランドダブリンを舞台に、ストリートで出会った地元の男とチェコ系移民の女が音楽を通して心を通わせていくラブストーリー」とウィキペディアに書いてありましたが、まあストーリーはそんな流れ(適当…)。

もともと監督のジョン・カーシーは、アイルランド・ダブリンを拠点に活動するロック・バンド、ザ・フレイムスのバンド結成時のベースで、バンド在籍時からベーシストのかたわらバンドのミュージック・ビデオを撮っていたらしく、この映画の主演のグレン・ハンサードがザ・フレイムスのボーカルという、まさに低予算映画ならではのエピソード。それが全世界でヒットするのだから世の中分からないもの。

彼はその後『はじまりのうた』、『シング・ストリート 未来へのうた』と作品を撮り、後に、この映画を含め「音楽3部作」なんて言われたりするわけですが、共通するのは音楽への信頼とか愛。この作品も恥ずかしいくらいストレートにそれが感じられて、なんか少しほろ苦いストーリーも相まって、おっさん的には「いい映画やでー」と照れながら言うしかない…。

他にもいろいろ紹介したいのですが、今回はこのあたりで。

そうそう、前述した「ボヘミアンラブソティ」。ライブのセットを入れた爆音映画祭が堺の「MOVIX堺」で、1月11日から4日間限定で開催されるみたいですね。

まだチケットあるのでしょうか?行ってみたい…。(結局好き)