第14回 The KLF: ハウス・ミュージック伝説のユニットはなぜ100万ポンドを燃やすにいたったのか ジョン・ヒッグス 著・中島由華 訳

The KLF: ハウス・ミュージック伝説のユニットはなぜ100万ポンドを燃やすにいたったのか ジョン・ヒッグス 著・中島由華 訳
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本屋さんで『ハウス・ミュージック伝説のユニットはなぜ100万ポンドを燃やすにいたったのか』を手に取りました。この本の存在はずっと知っていたのですが、ハウス・ミュージック伝説のユニットことThe KLFは100万ポンド=1億4千万円くらいは燃やすだろうと思っていて気にも止めずにいたのです。

 

The KLFのビル・ドラモンドとジミー・コーティーの二人も元パンクだし、僕もパンクだし、お金こそ諸悪の根源という思想は普通に持っていて、そんなこと当たり前、芸術だよねと思っていたのです。

 

パンクに一番影響を与えた芸術運動といえば状況主義で、シチュアシオニストならばお金を燃やすという行為は「スペクタクル=見世物」でしかなく、僕たちにわかるのは実際に何が起こったかではなく、何が起こったかに関して知りうるのはそれのみなのです。シチュアシオニストの考え方からいえば、誰しもスペクタクルのみをもってやっていくしかないのです。

 

この思想かっこいいでしょう。

 

セックス・ピストルズのアナーキー・イン・ザ・UKに出てくる“NME(音楽雑誌)を使え、通行人を利用しろ”であり、パンクの印刷物の言葉をハサミでカットして作るパンクのデザインこの状況主義の思想を体現したものです。

 

状況主義を一番体現しているのはセックス・ピストルズの映画『グレイト・ロックンロール・スウィンドル』です。映画の最後にシド・ヴィシャスが

オーディエンスをピストルで撃ち殺すというシーンが出てきますが、The KLFもブリット・アワードで「最優秀バンド」を受賞した時、ステージで本物の機関銃を打ちまくったのです。流石に空砲だったが(当たり前だけど)、今から考えると本物の機関銃なんかよくステージに持って上がれたなと思うのです。そして、今これをやったら非難轟々で洒落にならないです。

 

状況主義に影響されている彼らは完成しなかったが『ザ・ホワイト・ルーム』という映画を撮っていました。サウンド・トラックだけは完成し、全英NO1となりしました。

 

状況主義者であり映画作家だったギー・ドゥボールの「フィルムは存在しない。映画は死んだ。もはやいかなるフィルムもあり得ないのだ。お望みならば、議論へと移ろう」という言葉から映画が完成しないということは問題ないのですが、この本を読んでいるとThe KLFは脅されて映画を作るはめになったとしか思えないのです。

 

誰に脅された!?そんなもの決まっているじゃないですか、この連載にもよく出てきますが、イルミナティなどの秘密組織です。

 

イルミナティ!!!!!!

 

そんなの本当にあるわけないでしょう。やりすぎ都市伝説は僕も大好物ですけど、そんなの全部嘘ですからね。イルミナティというのはロバート・シェイとロバート・アントン・ウィルスンのポスト・モダーンSF小説『イルミナティ』三部作で作られた話で、The KLFもその前身ユニットJAMはこの小説に出てくるジャスティファイド・エンシャンツ・オブ・ムンム(ムンムの正当なる古代人)からとられているんですけど、本気にしてたのかと笑ってしまいました。

 

ディスコルディア信望者と呼ばれる『イルミナティ』ファンたちは二人にこのままJAMの名前を使い続けたら不吉なことが起こると、いたずらの手紙を送り続けていたのです。

 

こんな手紙も来たそうです。『エターニティ』を名乗る法人もしくは個人との契約書が送られてきた。文面は音楽業界でよく見かける法律文章のそれだっだが、そこに記載されている条項や要求されている権利はもっとずっと奇妙だった。法律に明るいJAMのファンによる巧妙ないたずらである可能性もあったが、ドラモンドとコーティーはその点をほとんど気にかけなかった。彼らにとってこの契約書は、それまで自由奔放にやってきた彼らが今後どの方向に向かうかを定めるときのいい指標になった。契約書の第一の条項で、『ザ・ホワイト・ルーム』という場所への旅をテーマにした芸術作品を制作することが求められていた。メディアの選択は彼らに任されていた。解釈は彼らの創造性に委ねられていた。その芸術作品を完成させれば、彼らは報酬として『現実の』ホワイト・ルームにアクセスできるのだった」

 

えっー『ツィン・ピークス』のブラック・ロッジみたいなのが本当にあると思っての!!!

 

みんなエクスタシーで頭おかしくなってたんでしょうね。僕もちょっとおかしくなってたので分かります。

 

こんなことを色々考えていくと、The KLFの二人は悪魔と取引して、NO1のレコードを何個ももらったが、その代償として悪魔に魂を取られる契約をしていた、魂を取られてたくなかったら、1億円燃やさないといけないという指示をもらっていたと読み取れるやん。

 

信じるか信じないかはあなた次第です。

 

本読んでみてください。他にももっとおもろいこと書かれています。