カレー屋店主の辛い呟き Vol.14 「カレー道の頂はまだまだ高く.」
大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。
2019年も始まってしまいましたね。
ミナサマ。明けましておめでとうございます。
寒い中いかがお過ごしですか?
ドアが無くて寒いと評判の当店。譲ってもらった2台目のストーブを導入して、この冬ヌクヌクと過ごしておりますヨ。
さて何書こうかね…。全然思いつかない…。仕方ないので、なんかバーカンの中でダラダラ話してる感じで書いてみますね。
てか、いつもそうか。そうなのか。(ヘラヘラ)
んー
そだ!最近、キタの方に行く機会が多くてですね。ってのも背中に薬を塗ったシールを貼る(あ!自分のね)というバイトを友達に紹介してもらって、2日に一回ほど事務所に行って、剥がして、貼り替えて写真を撮られるってヤツなのだけど。(たぶん危ないやつじゃないヨ、知らんけど)その作業時間が約3分。時間あるし、せっかくキタの方まで来たのでって事で友達とカレー屋行ったのが、引き金に。そこから自分の店でランチをやってない日は、シール~カレー店巡りが最近のルーティーンになってしまった訳。
で、食べ歩きを久しぶりにすると、各店それぞれに発見と感動があるのですな。一応カレー屋なので食べりゃ何となくどう作ってるのかは分かるわけですが、その味を出すための積み重ねの大変さも分かるわけで…。
深いぜカレー道!
多少の自分の歯がゆさを感じながらも、いくつかご紹介しておきますね。まずは肥後橋の超人気店の「Ghar」さん。
到着すると平日11時過ぎなのに30名ほどの行列が!(驚愕)普段だったら間違いなくスルーなのですがこの日は友達と一緒だったのでヘラヘラ話しながら並んでみました。頼んだのは「チキチキカレー」という一皿。
美味い!ひと口目から抜群に美味い!ふた口目からは同業者として感動と寒気が押し寄せるような震えを感じながらイタダキました。なんだろコレ。15種のスパイスがそれぞれ主張するのでは無くて、でもヒトツの要素が欠けても成立しないバランス。そしてゴロっとしたチキンのジューシーさ。たぶん今まで経験したチキンカレー史上一番美味いチキン。ある程度決められた原価の中で選び抜いたであろうスパイスを含めた素材と、丁寧を研ぎ澄ました調理過程。ジュースとミニサラダとアチャールが付いて800円は安い!安すぎる!
なんてーか、フェスティバルホールの山下達郎のライブを聴いたようなというか、技術やアイデアをひけらかすことなく仕上げた上質なPOPs。(分かりづらい?)
あーある種の頂だわ。
帰りちとショックで。世の中のカレー屋が全部こんなだったらもう廃業や!と思いつめ、他のカレー屋をハシゴしたら少し自信が回復したのは内緒の話。(ゲラゲラ)あくまで個人的な感想だけどね。
そして、も一つ紹介しておきたいお店が、西天満の「もりやま屋」さん。こちらは僕がカレーを作り始めた頃、たぶん20年ほど前から営業を続けてるリビングレジェント店。個人的に大好きでカレーを作り始めた頃に足しげく通った、目標でありオリジンな店なんです。
まず、店内に入った瞬間に鼻腔から入ってくる芳醇なスパイスの香り。何年かぶりの来店だったけど、変わってないス。なんつーか、入った瞬間の香りだけで「はい美味い!確定!」ってヤツ。
頼んだカレーは「茄子キーマ」
肉の旨みが染み出してるウエット系のキーマで、これだけ芳醇な香りをまといながらも丸みを帯びたスパイス。はー!安定の美味さ!カシミールさんもそうだけど、昔から続く関西スパイスカレーのレジェンド店のカレーに共通するコトって、スパイスが主役じゃなくて旨みを押し上げるための担ぎ手になってることだと個人的には思ってて、そこに独自の風味や具材、このもりやま屋さんの特徴でもあるオイリーさを無くしたさらっとしたソースのキレみたいなモノが加わって各店ならではの味になると。
新世代のカレー界の鬼才たちが作る、あえてノイズを残すようなスパイスを利かせたカレーだったり、出汁をより立てたハイハットで引っ張るテクノのようなカレーとは違う、リズムセクションのグルーヴが際立ったR&B。(喩が難解..。)久しぶりに体験して、自分のオリジンを再確認できる一皿でした。
しかしながら。
昔はこのもりやま屋さんのカレーに近づけようと試行錯誤を続けた時代もあった訳ですが、今のうちのカレーは全く異なるベクトルのものになってしまった事を改めて実感したこの数日。美味いと思うものを追求するうちに生まれたその差に愕然とするやら、納得するやら。ようやく自分の店の味を追求していくスタートラインに立っただけにすぎないのだなと。
カレー道の頂はまだまだ遠く、日々磨かなと。
今後の自分のカレーに期待しつつ今回はこのあたりで。
(なんか最後少しカッコよくなってもーた気が..。ケラケラ)