【神鳥孝昭のディグごろディグられごろ】第5回

レコード屋や音楽活動を通じて広島や周りの面白い人を【ディグ(掘る)】って紹介する第5回は全国的にその名を聞く人もきっと増えたに違いない、広島の新たな盛り場「音楽食堂ondo」をご紹介したいと思います。

「音楽食堂ondo」は2015年にオープンした広島にこれまで無いタイプのお店でして、平日はバー営業と減農薬を心掛けた食事メニュー、週末はクラブやライブ営業をしている文化交流の場として機能し始めた注目のお店です。

 

僕がお店を作った14年前に話は遡りますが、移転する前に当店のあった並川ビルの3Fには2軒のレコード屋が連なっており、後の「音楽食堂ondo」オーナーになるサトシ君は隣のレコード屋でアルバイトをしてました。主な業務が通販発送で修行僧の様にひたすら出荷してたらしいです(笑)。レコード屋は皆が思ってる以上に地味な仕事多いですよね(笑)。

 

それまで年代やそれぞれのバック・ボーンが違う僕とサトシ君は初めましての状態だったのですが、サトシ君はたまにお店に来てくれて話をしたり、買い物してくれたりしてました。当時から気さくな感じでしたね。彼はレコード屋で働く以前の2003年にNEW YORKに1年住んでる経験もあり、そこでアンダーグラウンドな音楽の魅力に目覚めたそうです。

 

そんなレコード屋でのアルバイト時代にDJ活動の本格化を決めたサトシ君は07年に上京した後に、中野heavysick ZEROでバイトしながら高円寺GRASSROOTSでのレギュラーDJを目指して精力的に活動していたと聞きます。2010年には自身初のMIX CD「UNNATURAL HIGH」を製作して当店に納品に来てくれたり、当時の東京での活動状況を聞かせてくれました。

 

上京したてでDJ修行中のサトシ君

 

東京での活動を基に広島に音楽スペースを作りたいと29歳で帰広、それからの2年半、僕とサトシ君の関係はレコード屋とレコードを運搬する運送会社アルバイトという関係でした(笑)。お店オープンの為に地道に努力している姿を毎日見てましたね。

 

そんな感じで機材を少しずつ買い揃えたサトシ君は念願の「音楽食堂ondo」を2015年3月にオープンさせます。コンセプトは「有機的」である事。東京で経験した事の全てを掛け合わせたコンセプトで、そのルーツには先述の高円寺GRASSROOTS、青山蜂、吉祥寺cheeky、中野heavysick ZERO、bar bonobo、高円寺パチカ村があると伺いました。

 

開店当時の店内。今となっては想い出せない~。

 

オープンしてからは「運営資金」、「集客問題」、「人間関係」等々、商売やってたら誰でも行き当たる問題に直面しつつも、持ち前の明るさとガッツで少しずつ改善した事が想像出来ます。現在の「音楽食堂ondo」をご存知の方にはすっかりお馴染みのライブ・スペースですが、オープン当時のコンセプトには無く、こちらも運営して行く中で産まれたアイデアとの事でした。

 

ライブ・スペースでのasuka andoさんのライブ。「音楽食堂ondo」ではお馴染みの存在に。

更にサトシ君は2017年に「ONDOMUSIC」というDJ MIX専門のレーベルをスタートさせます。このアイデア自体は僕も何年も前に持っていて「レコード買いに来る地元DJのMIX CDをリリース出来るレーベルが広島にあれば良いのにな~、、そしたら既に当店が流通を持っているから広島から全国のレコード屋にお届け出来るのにな~」って感じで。ただ僕にそんな時間は何処にも無く(すみません)、流通だけならお手伝い出来ると思い「ONDOMUSIC」の流通を当店がお手伝いさせて頂く事になりました。

 

サトシ君の歴史を駆け足で紹介しましたが、僕が思うサトシ君像って「形にする力がある人」です。

 

色んな事をイメージしている友達は僕の周りにも多いのですが、音楽好きな人って繊細故に引っ込み思案な方が多く、形にするのが不得意な方が多いと個人的には思っていて、、。

 

簡単に形にすると安易な物が出来たり、その辺の想像と創造のバランスが非常に難しいんですよね。

 

長生きしてて少しだけ経験値が上の僕から見ると、サトシ君が形にしている事って充分じゃないと感じる事もありますが(あくまでも個人的な主観なので反論の余地ありです)、それでも形にしてくるんですよね。そうやって、これまでもお店やイベント、レーベルを形にしてきました。

 

これってひょっとすると僕が通ってきた道と近いかも(笑)。

僕も先輩にこんな感じの事を思われてたかも~(笑)、とコラムを書きながら今更気づきました(爆)。

 

あと昔から上京のタイミング、MIX CDをリリースするタイミング、お店を出すタイミングと、その都度のタイミングで僕に報告してくれてる気がしますね。僕だけじゃないと思うけど、凄く根が真面目なんだと思います。

 

そんな「音楽食堂ondo」に集う人、そこで流れてる音楽を僕は勝手に「音頭系」と呼んでます(笑)。

 

「音頭系」のレコードって当店でも爆発的じゃないけど確実に売れてて、広島に1つのジャンルを誕生させているんです。これって中々凄い事ですよね(笑)!

 

そんな「音楽食堂ondo」が4周年を迎えます!!

「音頭系」の産みの親、サトシ君に「良い空間のパーティー」の条件は??と聞くと「愛」との事。

愛ですね。愛。

 

な・な・なんと!!今年の周年は僕が大好きなラッパー田我流が広島初登場です(涙)

 

最後になりますが、奥さんあゆみちゃんのご飯は本当に本当に本当に美味しいです。

 

僕が認定する広島ベスト夫婦、サトシ君とあゆみちゃん。顔がそっくり(笑)

 

STEREO RECORDS

 

神鳥孝昭