カレー屋店主の辛い呟き Vol.16 「演歌!バックミュージシャンのお仕事」

大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。

ミナサマお元気でしたか?

季節はもう3月の終わり、早いものです。
このままだと、桜が咲いて花見だ花見だと浮かれてる間に地獄のGW10連休を迎えそうな予感。繁華街の店舗じゃないので辛いんだ。日曜入れたら月の半分休みだよな…。

と、ボヤいても仕方ないけどね。

さて、最近の当店と言えば良くも悪くも平常運転。店主たる私は選抜が始まった甲子園に日参中。星陵高校の奥川君のピッチングに驚嘆し(一人だけプロ野球か!)、習志野高校の応援団の美爆音に大盛り上がりし(ドラムと太鼓デカすぎ!)と、野球好きのオヤジの王道な生活の毎日でございます。あー平和。お金はないけどな…。

さてさて、今月もそんな呑気な店主のいる当店にも、色々なお客様が来店していただけました。今回はご来店頂いたお客さんのお話です。

ウチのお店があるのは大阪の上本町の駅裏手なのですが、実は近くに新歌舞伎座という劇場があるのですね。その劇場では毎月のように演歌の大御所の方々の公演が行われてて、長いと2か月のロングランの公演があったりします。公演に出演中のバンドのメンバー、スタッフさん達が宿泊するマンションが当店から徒歩30秒という距離感なもので、よくよくメンバーの皆さんが立ち寄ってくれます。

今回も前川清さん&神野美伽さんの公演中、神野さんのバックメンバーの方々が約3週間代わり替わりに来てくれてました。その皆さんのお話が面白くて、興味深いんだな。

そもそも新歌舞伎座で行われてる演歌の公演って、この文章を読んでるミナサマはあまりご覧になったことないよね?大体の公演が歌謡劇と歌謡コンサートの2部構成で、合間合間に演歌の大御所の方々の軽妙なおばちゃんいじりのトーク。(安定のベタ芸!オモロイ)それが毎日行われて時には一日2ステージ。一か月の公演だと30から多いと50ステージ。冷静にキャパシティと入りを考えると、ひと月で30,000人以上を動員する巨大なエンターテインメント。そんな公演に参加してるバックバンドの皆さんは看板(メインの大御所の歌手さんや座長さんのコトをみんなそう呼ぶのです。)から、体調管理の意味もあってあんま酒飲むなって言われてるんだ。(ゲラゲラ)でも、毎日のように飲みに来るんだな。

不良オヤジ達が。だからココでは飲みに来てたメンバーの名前出さないようにしますね。

で、毎回そんなメンバーさん達が来ると必ず聞いてみるのが、どんな経緯で今の仕事をする事になったのかってコト。そこには、皆さん一人一人にすごいドラマがあって、そのキャリアの中でのエピソードや時代背景を含めると一冊の本が書けそな濃密さ。ただ共通してるのはその選択に、ある種の挫折と、その仕事に対しての面白さや奥深さの発見があったこと。

今回の飲みに来ていたメンバーの皆さんもすごいキャリヤとドラマをお持ちでした。

例えば、あるメンバーさんのお話。音楽に目覚めたのは、ビートルズが来日するちょっと前の時代。
音楽をするってことはやっぱり確実に不良とされて、音源も自由に聞けず圧倒的にマイノリティ。
どんどん洋楽が好きになって、演奏が好きになって。今ならバンド組もうぜってなるわけだけど、その当時は東京でもライブハウスなんてものはほとんどなくて、いや、そもそも自分たちで組んだバンドでデビューするってコトが世の中的にほとんどなくて…。てか、楽器してるヤツいなかったし周りに…。

ゲラゲラゲラ。大爆笑。

うーん。そだよな。笑ってもーたけどそうなるのか。
ちなみに洋楽好きだったから「演歌ダサい。ポップスダサい。フォークとかもピンとこねー。グループサウンズとか死ね」って思ってたみたい。実はご来店の他のメンバーさんもみんな言ってることだけど、あの当時音楽やってる人間が演歌好きなわけないでしょ!って話。

今の演歌の大御所さん達も、実はみんなそうだよって。改めて考えると、テレビなんかで演歌の歌手の皆さんが、ロックなんて聞くんですね、へーなんてシーン時々見るけどそりゃそうだよなと。

なんか、僕たちと同じって分かって少し演歌へのアレルギーが無くなって、逆に僕たちの大先輩に向けてのリスペクトの気持ちが出てきたり。

で、そのメンバーの方はキャバレーの箱バンドなんかで、音楽活動を続ける訳ですが、アマチュアバンドマンのお約束の通り結婚と出産の時を迎えます。ライブハウスをやってる時にもよく相談を受けたシビアなシーン。“このまま続けてもメシが食えない”ってヤツ。
そして、その方はそこで大きな出会いがあったそう。「自分の好きな音楽はできないかもしれないけど、音楽で家族みんながメシを食う方法があるよ」って。

それが“ダン池田とニューブリード”への誘いだったそうです。

今の方は知らないだろうけど、僕の世代より上の人たちは誰でも聞いた事のあるその名前。
この山本リンダさんの映像のバックバンドが“ダン池田とニューブリード”。
今のライブと違って映像や演出が少なかったこの時代。バックバンドの演奏が今より立って聴こえるような気がしませんか?(本筋とは関係ないけど山本リンダさん存在感ヤバっ!)

カラオケで歌う、又、収録で歌うってコトが少なかった昔のテレビの歌番組。
ほとんどの歌番組のバックはこのバンドだったような。ちなみにCMに出たりとか。


歌番組のバックバンドが家庭用カラオケのCMをやる。カラオケがなかった時代ならでは。

ミュージシャンとして独り立ちしたその方は、その後フジテレビで夜のヒットスタジオで色々な方のバックとして演奏。その当時、ほとんどの歌手のバックで演奏された方のいろんな裏話やゴシップの話は、勿論書けないけど、驚くべき話ばかりで、その日店にいた他のお客さんとともに楽しませてもらいました。

その方だけじゃなくてご来店されたバックミュージシャンの方々それぞれにドラマがありました。
ミュージシャンとして色々葛藤はあったようだけど、音楽をやりながら生活できる自由を選んだと。
その楽器一本にかけた覚悟と、日ごろの努力。
ただのご機嫌なおじさんミュージシャンじゃないだなと尊敬します。

個人的にも下手くそながら若き日バンドで夢見た経験や、音楽を色々な理由で続けられなくなったいろんなバンドのメンバーを思い出し、せつないやら、甘酸っぱいやら。バーカンの中でお酒が進みましたヨ。

演歌に全く興味の無かった僕も、そんな話を最近聞くようになりちょくちょく劇場の一番上段一番安い席(3000円とか?)を買って、弁当片手にぼんやり見たりします。勿論演歌が中心なんだけど、ところどころラテンやロックなアレンジもあったりして。新喜劇のような様式美とお約束の笑い、演歌の大御所さん達の圧倒的な歌の存在感。好みかどうかは置いといてプロのお仕事が見れますよ!

一度ご覧になってみてはいかが?(ダメ?)

今回はこのあたりで。