カレー屋店主の辛い呟き Vol.19 「カレー屋の私的フジロックレビュー」

大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。

梅雨に入った昨今。ミナサマはいかがお過ごしですか?

G20だかなんか知らないけれど、近鉄の上本町駅裏の当店の前は、ぷらぷらと警棒を振り回してお喋りしながら歩く警官の皆さんが沢山(笑)。そんな感じで10分に一回ぐらい店の前を通過する厳戒態勢(笑)どーだテロリストさん。平和だろ!

おまけに「何か変わったことないですか?」って何故か近隣の店舗でウチにだけ何度も立ち寄られる始末。これどっちかというとウチがマークされてるの?と疑心暗鬼になる今日この頃。心当たりもあったりなかったりで、とりあえず打ち上げ花火大会でも店の前で開催してみるかと計画中でございます。(なんて嘘)

 

さてさて、そんな6月が終わるとフジロックの季節まではもうすぐ。先日も、先輩が配っておくようーにと置いていったフライヤーを見ながら、あーだこーだとお客さんと話しておりました。これ見とかなあかんヤツとか、これは外されへんとか。僕も負けじとこれは見なあかん!見な負けや!と熱弁を奮う楽しい時間。いいお酒のアテになりました。よく考えたら誰トク?って話なんだけど(笑)

今回はそんなノリでフジロック出演アーティストさんを何組かレビューさせてくださいな。

 

■キング・シャバカがフジに来る!

「THE COMET IS COMING」7/28@RED MARQUEE ”SUNDAY SESSION“

今回のフジロックのラインナップの中で、個人的に一番アガッたのは「THE COMET IS COMING」。一年ほど前のこのコラムの中でも紹介していた、キング・シャバカこと現在のUKジャズの中心人物シャバカ・ハッチングス率いるユニット。今年3月に出たメジャーデビュー盤は今年上半期一番聴いたアルバムかも。

 

メジャーデビュー盤「TRUST IN THE LIFEFORCE OF THE DEEP MYSTERY」

 

元々エレクトロニカユニットを組んでいた、シンセサイザーのダナログ、ドラムのベータマックスの2名に、サックスのキング・シャバカが加わるような形でよりジャズ〜即興色が強い「ザ・コメット・イズ・カミング」になったんだ。

 


今年のライブから! Live at The Moroccan 3/12/2019

トライバル且つファンキーなビートの上に、シャバカのフリーキーなサックスのブロウがギュン。シャバカ本人も公言してるようにサン・ラの影響を深く受けてる事が感じられるスペーシーな浮遊感と魔人的な攻撃エネルギーが同居してて、LIVEでこそ、より本領を発揮するバンドだと思うのです。

登場が日曜日のオールナイト枠の「SUNDAY SESSION」ってコトで、とりあえず月曜日からの仕事は一旦置いトコってゆーバカばっかり(ゴメンナサイ…)の前で振り切ったステージになると思われ、今年のフジはこの人達見ないと終われないんじゃないかと思う訳です。

 

■BIGYUKIって何モノ??

「BIGYUKI」7/26@ RED MARQUEE”PLANET GROOVE “

お店で話した時も「BIGYUKI???」な感じだった彼。意外と知られてないのですね。どんな感じの人かというと…。(以下メーカーさんのHPより)

今をときめくRobert Glasper氏「今一番の注目株はYUKI。アイツは日本のグラスパーだ。」とか、伝説的HipHopグループ=A Tribe Call Questのラッパー/プロデューサーのQ-TIP氏は「ライヴはマジでクレイジー。スキルは別次元だ。先祖がアフリカにいたんじゃないかと思うぜ。」とか、

Bilal氏は「YUKIは音楽界で最高に素晴らしいアーティスト。」とか。

まぁなんてーか、よくありがちなコメントがHPには並んでいるわけですが、今のジャズ~HIPHOPのクロスオーバーな流れの中で語られる主要人物達と仕事を重ねる中で、アイツやばいでってなった訳。フロントマンとしての彼のバンドのライブの映像を見ると、クロスオーバー化した今のジャズ~HIPHOPの状況を体現したようなモノで、あーこのシーンの中核にいる人なんだなーと感じます。フジロック後の7/30にはwwwでD.A.N.とのコラボ公演も行われるそうで(これ見たい!)正に旬のタイミング。1月の来日公演を見た友達も絶賛しておりましたよ!

 


Live at Mercury Lounge, NYC 8/28/2018 後半の上がり方圧巻ですゾ。

どーでもいい話だけどこの文章を書くためにBIGYUKIとぐぐったら、ア・トライブ・コールド・クエストとJ・コールの2枚の全米チャート一位獲得アルバムに参加した。全米一位作品に参加した日本人としてはオノ・ヨーコ以来、2作品となると史上初となる快挙を成し遂げた~。って書いてあったけどそれって売りになるんだろか…。へー!オノ・ヨーコ以来なんだー!ってな。

 

■KID FRESINOの今

「KID FRESINO」7/26@ RED MARQUEE”PLANET GROOVE

こちらも7/26レッドマーキーの深夜枠のアーティスト。シーンから一つ抜けた感じもする彼がバンドセットで登場します。彼の事を初めて知ったのは5,6年前のミナミ時代。ラッパーの子だったか、スタッフの子だったか忘れたけど彼の1stを聴かせてもらって、ラップ歴10か月!って聞いて驚いたのを覚えてます。サンプリング中心のトラックの上を、軽やか且つテクニカルに英語と日本語を行き来するフロウ。友人febbそしてJJJと組んだユニットFla$hBackSのビートメイカー / バックDJの活動も含め一気にシーンにその名前を知らしめることとなります。世代的におっさんの域に達していた僕は、達者やなーと思いながら、若い世代の盛り上がりを見ながらピンと来んなーと思っていたのですけどね、最初は。ある意味若手とのギャップに気が付かせてくれたアーティストの一人かも(笑)

 


1stから。なんてーかクソガキ感満載。

 

その後、彼はNYに渡りエンジニアを目指す訳ですが、その頃日本とNYを行き来しながら作られた2作目となる『Conq.u.er』。その後発売されたC.O.S.A.とのダブルネームのアルバム「Somewhere」と作品をリリースしていく中でアーティストである自分と向き合い、どんどん視野が広がっていっているように感じました。なんてーか説得力が増してな。

 


2017年リリースのEP「Salve」。バンドとの共存。

 

2017年5月。彼は幼馴染febb、JJJとのユニットFla$hBackSからの脱退を発表します。
soundcloud上で発表された「Eazy Breezy」。この曲は仲間達との道が分岐していく心境を素直にぶつけた一曲で、それをサウンドクラウドで発表するというラッパーというか表現者らしい行動。
「1人で始めたわけではねえが、1人も悪くはねえか~」というラインに彼の寂しさや決意が感じられる。やっと生身を剥き出しにした彼個人とKID FRESINOというアイコンが一致した瞬間。
2018年2月に幼馴染febbの不慮の事故による死去によって彼にとっても、ファンにとっても違う意味を持つ大切な一曲となります。


2018年5月の森、道、市場のステージから

そして2018年11月に発売された最新作である『ài qíng』では、日本のHIPHOPの作品では珍しいくらい多彩なアプローチのビートに、自分に真っすぐ向かったリリック。んで、今回のFUJIはBANDSETでの搭乗。成長し続ける姿を見せ続けてくれる彼がどんなLIVEをするのか、個人的には久しぶりで楽しみです。

BANDSET。ゲストで誰が来ますかね。

レッドマーキー出演3アーティストのレビューを書いてみましたが、他にも見たいアーティストが沢山。
初日だったら、何度か見てるTYCHOはもう間違いないし。

taicoclub’16のステージから

ジャネール・モネイもLIVEの映像見るとかっこいいしな。

もちろんヘッドライナーのケミカルで鉄板の多幸感を味わうのもアリ。

ちょっと昔の日本のLIVE映像。Starguiter!!!

2日目とかGEZANからずーっとホワイト居てもいいかもとか、いろいろ考えるのも楽しいこの時期。ただ、現地に行くと雨にもマケ、足の痛みにマケ、酒にもマケと考えた通り動けないのがフジロック。あのステージの距離感と、天候含めた山のシチュエーションが時にそのアーティストへの熱を試されるような。ほら「この土砂降りの中お前はめっちゃ歩いてそのステージを見るのか?」的な(笑)状況が続くんだよな。でも負けた結果偶然いいステージに巡りあったり、旨いごはんに出会ったりするコトもある訳で。まぁ個人的にはいつもお酒に負けとるわけですがね…。(ワハハ)

何にせよ、個人的に紹介させてもらったこの3アーティスト。興味を持ってもらえたらうれしいです!(何得?)ではまた来月!