気分はどうだい? Vol .23 「ビートルズの幻影」

1969年10月、ビートルズ12作目のオリジナル・アルバム「アビイ・ロード」を大阪梅田にあったレコード店「LPコーナー」で購入。

2019年9月27日、ビートルズ50周年記念エディション「アビイ・ロード」をタワーレコード梅田大阪マルビル店で購入。

50年もの時間の経過・・

 

2019年9月27日、タワーレコード梅田大阪マルビル店

当時はミーハー感覚で大好きなグループが新譜を出したから即買っただけのことで、このアルバムも友人皆が買っていたわけでもないし・・さらにこのコラムにも以前書いたのですが1969年は前回書いたウッドストック・フェスのような大きなイベントがあり、むしろ関心はそういったフェスに出ているグループの方に有りました。大きく「ロック」が変化した年、ビートルズに変わる新しいスターグループ達が登場。そして現在いまだに名盤と呼ばれるレコードが多くリリースされた年。そのため今年は50周年ラッシュとなっています。

この60年代最後の年のビートルズ、ライブ活動をやめたとはいえ彼らがリリースするレコードは世界中のミュージシャン達が注目し、別格としてその存在感は以前のままでした。特にロックの世界においては矢沢永吉がこの前のNHKのドキュメンタリーで言っていたように「全てはビートルズから始まった」わけで、まだ団塊の世代=ビートルズ世代が中心の時代だったのです。

どのくらいのビートルズを知らない若い連中がこの記念盤を買うかは知らないけれど、まー圧倒的に何らかの影響を受けたミュージシャンやリスナーが中心であることは明らかです。現在、神戸のラジオ関西でやっている番組でこのアルバムをかけるということで久しぶりに新譜としてのアナログ・レコードを購入したのですが多分自分で購入する最後のビートルズのレコードになると思います・・

 

写真左が9月27日発売の2019年記念エディション。右は局にある1969年発売の放送用見本盤(東芝赤盤AP-8815)

2019ミックス、新たなアウトテイクが23曲といっても、もう既にブートで聴きまくった音源も多く、もちろん新しくミックスされた音的なことに反応する連中もいるわけですが、当時は音がいいとかドルビーだとか、そんな聴き方をしていたわけではなく、皮膚感覚だけで「かっこいい」ただそれだけだったと思います。今回も色々なところで評論家然とした連中がいつものようにトレビアぽいことや、重箱系の分析や解釈を書いています・・もちろん当時に書きつくされたというのもあるし、69年発売時点の時代の空気感を伝えるのはやはり難しいのです。そしていつも思うのですがこういったリイシュー企画物は映画のメイキングやリストアで再上映されている作品を見るような感覚です。現在の技術で再構築、クローン再生された商品(否定してるわけではなく)だと思うのです。現在亡くなったアーティストのフォログラム再生によるコンサートが行われ始めていますが、それが主流になりブームになるかもわかりません。

日本においても美空ひばりや石原裕次郎などのファンだったリスナーや購買者がいなくなりつつある今・・ビートルズといえども最近は1995年のアンソロジー発売のようなメディアを巻き込んだ盛り上がりもなく、今日の話題としてニュースで若干触れられただけです。

ロックと呼ばれるカテゴリーは残るけれど時代が共有していた「ROCK」は消滅し、特に洋楽と言われるシーンはライブ(来日)においては勿論残るけれど、商品に関してはますますだめになるのではと思います。メインのターゲットだった団塊の世代のビートルズ(洋楽ロック)ファンもそれらから離れ(亡くなる)、時代の幻想と郷愁だけが残るような気がします。50年後の100周年、ビートルズは20世紀の音楽としてバッハやモーツァルトのように扱われるのかもしれません。