外の号外 vol.16

外 / 空間現代の山田です。9-10月にかけて空間現代は海外ツアーが立て込んでいたため、更新が滞ってしまっていました。今月からは再び外を稼働させながら新たなプロジェクトも進めていきます。

さて今回の号外では外の宣伝から少し外れて、9月の欧州ツアーについて振り返ってみようと思います。3度目となる欧州ツアー、今回はポーランド3ヶ所を中心にドイツ、ハンガリー、チェコと東欧4カ国7ヶ所でのライブに加え、ポーランドの古都ヴロツワフでの滞在制作も組み込まれ、約2週間様々な東欧文化に触れながら過ごしました。

 

ツアー日程

2019年は日本-ポーランドの国交開通100周年ということで様々な文化交流プログラムが両国で開催されています。今年5月に外で開催されたポーランド人ギタリストのHubert Kostkiewiczと空間現代の共同制作、ライブもその一つでした。今回のツアーはポーランドで10年以上続くAvant Art Festivalへの出演を中心に組まれ、Hubertとの2度目の滞在制作も含めると一週間以上ポーランドで過ごしたことになります。ポーランド国内の様々な都市を周り多くの人と関わることで、ポーランドが欧州の中でもとりわけ思い入れの深い国になったことに自分でも驚いています。

 

ヴロツワフでの滞在制作の様子

そして今年はポーランド民主化30周年の年でもあります。民主化してから30年しか経っていない(チェコ、ハンガリーも同様)という事実に驚きますが、今回のツアーでHubertをはじめ、現地の人たちと話している中でその歴史を何となく体感できる部分がありました。その体感をライブイベントや音楽フェスティバルの時に最も感じることができたのは、会場に集まった観衆が音楽を聞くだけでなく、酒を飲みながら様々な話に興じている様子がとても印象深いことと無関係では無い気がしています。つまりライブ会場は支配とは無関係の場所であること。そういえばどこの会場でも低音が信じられないくらい暴力的でした。ハンガリーでは、終演時間を超えて演奏が続いていると大家さんの怒りによって問答無用でブレーカーが落とされましたが、その瞬間に観客は一番盛り上がっていました。もちろん民主化して30年は経っているわけで、支配なんてことを意識している観客は少ないでしょうが、少なくとも日本とは全く違う空気を感じることができました。

ツアー全7公演のうち5本のライブは音楽フェスティバルでの演奏で、シチュエーションも客層も様々でしたが、総じて前衛的な音楽に対する懐の深さを感じることができました。また空間現代のことを知らないであろう多くの観客が集中してライブを観てくれていることは、終わった後に観客から直接聞く感想から伝わってきます。驚きの感情を伝えてくれる観客が多く、新しい音楽として伝わったような感覚がありとても嬉しくなります。思えば外もこれまでの3年間で様々な国のミュージシャンのライブを行ってきましたが、事前情報の少ないミュージシャンのライブだからこそ生まれる磁場をたくさん体感してきました。今回のツアーを経て、今後も外が多くの観客にとって新たな音楽との出会いの場となるような運営と企画を継続していく意欲をもらうことができました。

ポーランド・クラクフでのライブ

京都はすっかり寒くなり外出するのが厳しくなってきましたが、外では年内まだまだ面白いイベントが控えています。皆様のご来場お待ちしております!!

山田英晶