第31回 サピエンス全史(上/下)文明の構造と人類の幸福 (日本語)ユヴァル・ノア・ハラリ 著・柴田裕之 翻訳

サピエンス全史(上/下)文明の構造と人類の幸福 (日本語)ユヴァル・ノア・ハラリ 著・柴田裕之 翻訳
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コロナ時代です。

しかし、何とか一息出来る感じがして来ましたね。一時はどうなることかと思ったのですが。

コロナが中国で大変なことになっている頃、まさか日本、ヨーロッパ、アメリカまでこんなことになるとは思ってなかったですよね。

SARSやMERSの時のような感じで、心配しすぎやったねという感じで終わるのかなと思っていました。ソダーバーグの感染症映画『コンディジョン』でもWHOの偉いさんが「SARSの時も大変なことになるといってたけど、たいしたことなかったやん、今回も一緒ちゃうの」という会話から始まってました。

そりゃ僕もあの時、中国の人たちの入国を止めてたらよかったのにと思ってましたよ。でも日本は中国の人たちの春節のお金が欲しかったんだと思います。安倍首相というか、経済界の人たちでしょうけど、経済界の人に何と言われようが、アベノマスクを配るって決めたように英断して欲しかったです。誰が首相でも中国からの観光客を止めるようなことは出来なかったでしょうね。

中国との行き来を止めたとしても、アメリカ、ヨーロッパからの流れを止めることは出来なかったから、結局一緒だったと思います。ウィルスはどんなことしても入ってこようとします。SARSやMERSが広がらなかったのは重症化する人が多くって、発病した人は動けなくなったから広がらなかっただけです。コロナみたいなほとんどの人が軽症ですんでしまう病気はこんな感じで世界に広がってしまうんでしょう。その光景はブラッピが主演したゾンビ映画『ワールド・ウォーZ』みたいです。世界中の人がどんどんとゾンビになっていく中、唯一阻止している国は特殊な状況で孤立している国だろうと北朝鮮、イスラエルに行くのですが、そんな国もゾンビにやられていく展開がリアルでした。『ジェラシック・パーク』のサブテキスト“生物はどんなことをしてでも生き残ろうとする”と同じでゾンビ、ウィルスも生き残ろうとするのです。

北朝鮮、イスラエル、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、ロシア、南米、色んな国で今の状況がどんな感じなのか分かりません。色んな国の識者がこれからの未来を語っていますが、どれもピンとくるものはありません。一番トンガっているイスラエルのユヴァル・ノア・ハラリのコロナに対する発言もあまりピンとこなかったです。

彼が寄稿したファイナンシャル・タイムスのタイトルはこんな感じでした。

“新型コロナウィルス後の世界 ー この嵐もやがて去る。だが、今行う選択が、長年に及ぶ変化を私たちの生活にもたらしうる”

前回の世界規模のパンデミックはスペイン風邪で、この流行によって世界はブロック経済となって、ファシズムが台頭したからこういう論説を書くのでしょうが、なんか今の人たちを見ているとそんな感じは全くしません。

ワクチンを一番最初に開発した国の出方でそんなことになるのかも知れませんが、これくらいの死亡率の病気で戦争になるくらいワクチンの取り合いになるとは思えないです。アメリカ、ヨーロッパでたくさんの人が亡くなったのか僕には分かりませんが、緊縮のせいで医療体制が脆弱になってたとしか思えないのです。今回のパニックはウィルスのせいと言うより、医療を削減してきた人災のような気がしてならないのです。

自分は楽観的すぎるから、間違った答えを出してしまっているんだと思いますが、このまま嵐は過ぎ去って、また元の状態に戻っていくような気がしてならないです。

僕たちがどんな動物なのか全くわからないですが、それを解き明かしたのがユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』です。音楽、いや表現をやっている人なら絶対読んでおいた方がいい本です。昔でいうとマクルーハン『メディアはマッサージ』であるとか、そんな本です。

どんな内容かと言いますと、みなさん、僕らって、ネアンデルタール人とかそんなのが進化して最終形がホモ・サピエンスみたいに思ってる方がほとんどだと思うのですが、実は違うんですよ、ネアンデルタール人以外にもホモ・ソロエンシス、ホモ・デニソワとか色んなのがいたんですけど、どうも僕らホモ・サピエンスが登場して、僕らが移動するとそこにいたホモなんたらはどんどんいなくなっていったのです。どうも僕らの先祖が全部殺したらしいんです。で、なんで殺したかというと、他のホモ・なんたらの匂いが嫌いだったそうです。そりゃ一部にはそんな自分らと匂いが違う奴も好きな奴はいたみたいです。

これ今でいうと変態と言われる奴ですね。「あいつホモ何とかが好きみたいやで」とか言われていたんでしょうね。だからそうした感じで、ホモなんとかも僕らの遺伝子の中に数パーセントは残っているそうです。

なぜ僕らが勝ち残ったかというと、僕らはどうも物語を語れる、そしてその物語を信じれる才能があったみたいです。ユヴァル・ノア・ハラリはこれを認知革命がおこったと書いています。

どんな動物にも言葉はあるそうです。「虎がいるぞ」「鷹がいるぞ」とかの言葉をみんな持っているそうです。猿に録音された「鷹がいるぞ」という声を流すとみんな一斉に空を見上げるそうです。

僕らの言葉と何が違うかと言うと、僕らの言葉には虚構を生み出す力があるのです。「あの力の強いネアンデルタール人の軍団をやつけるのだ。もしお前がこの戦いに敗れて死んだとしてもきっと天国に行けるぞ」という言葉を信じる力があるみたいです。猿とかににはこんな能力はないそうです。大きなチンパンジーに負けたらもうそのままらしいのですが、ホモ・サピエンスは「きっと次は勝つ、また負けたとしても極楽へ行ける」みたいなことを言われるとみんなで「エイ・エイ・オー」とか行って、前回ボロボロに負けたのにまた立ち向かうことが出来て、地球の王となって行ったというのが『サピエンス全史』です。

『2001年宇宙の旅』で、ホモ・サピエンスは宇宙人から知恵を伝授され、道具を持つことを覚え、それが宇宙船まで作れるようになったというあの有名なシーンが全部ウソなんです。ホモ・サピエンスが宇宙船を作れるようになったのは「絶対作れるし、やれば出来るから」という励ましによって、やれるようになったってことなんです。

こんなことが書かれているのが『サピエンス全史』です。まさにロックでしょ。僕らそうやって20万年から180万年くらい生きてきたんですから、僕らの芸術に虚構がたくさんあるの当たり前ですよね。

ユヴァル・ノア・ハラリはこの続編として『ホモ・デウス』というのを書いています。ホモ・サピエンスが神様になるという話、しかも全員じゃなく一部の人間だけがそうなる可能性を持っているという話です。その時神になったホモ・デウスは僕らホモ・サピエンスをアリンコみたいに殺してしまうんじゃないかと言う話です。詳しい話は次回ということで、今月はこの辺でまた来月よろしくお願いします。