VINYL日和見日記〜其の1
- 2020.08.01
- COLUMN FROM VISITOR
お初にお目にかかります。
今月から「VINYL日和見日記」というタイトルで寄稿させていただきますノンスモーキー山口です。本業はステージ、ファッションショー、などイベントの演出&制作を行なっているのですが、コロナ禍の影響でイベント事業者の例に漏れずの休業状態!
STAY HOMEな約2ヶ月間を料理とレコード整理に費やすも、さらに持て余す時間を何かしら有効活用できないかな〜と思っていた所、ご縁ありましてコラムを担当させていただくことになりました。
少し自分のことを話させていただくと、普段、演出という仕事をメインでおこなっていまして、ファッションイベントやカンファレンスなど、いわゆる商業演出というものをメインに行なっております。演出家が関わる部分は、構成・台本・映像・照明・音効・特効などなど、本番に至るまでに決めなくてはならない事が色々あるわけですが、その演出を決める工程の中に「選曲」というのがあります。
これはステージ構成毎のシーンに合わせて曲を選ぶのですが、この選曲といのがなかなか大変でして、例えば自分が総合演出を担当する某ファッションイベントだと、シーンに合わせて60〜70曲、ダメ出しがあった時のためにさらに予備曲も数十曲事前に用意するので、仕事としての音楽の聴き方は自分の趣味嗜好も関係なく、掘り下げるというよりはあらゆるシーンに対応するべく、流行り物からオーセンティックなものまで、iTuneやBeat PortなどのAIアルゴリズムにも助けられながら、地引網的に広く集めるという軽薄な聴き方になりがちです。
そんな日々を過ごしていると、自宅で音楽をわざわざ聴きたいと思わなくなるもので、10代後半から細々買っていたレコードも買わなくなるという時期があったのですが、ある日久しぶりに南 佳孝さんの「忘れられた夏」を聞いてアナログ独特の暖かく柔らかい音を聞いて「やっぱり聴くならアナログかな〜」と思い直し「余生はレコードと過ごす」と腹をくくりレコード収集を再開したわけです。
今さら「アナログか?」「デジタルか?」みたいな野暮なことはどーでもいいと思いますが、手にとった感触やインナースリーブから出して針を落とす(SL-1200だったらレコードかけ終わったら針も上げないとあかんし!)みたいな煩わしさもひっくるめて、プロダクトとしての存在感が素晴らしいんだなと改めて思うわけです。前置きが長くなりましたがせっかくこんな機会を与えていただいたので、事象や気分に合わせて新旧問わず色んなレコード(基本は7インチ)をご紹介してまいりますので、気楽にお付き合いいただければと思います。
そんなわけで、第一回目のVINAL日和見日記を書き始めているわけですが、
ちょうどこれを書いている時に全国の祭りが中止の方向というニュースが流れております。緊急事態解除で徐々に普通の生活が戻るのかと思いきや、夏のお祭りはほぼ中止。祇園祭のように、そもそも無病息災を祈願するための祭りが、感染病予防のために中止というのもなかなかの本末転倒な感じですが、まだ有効な治療法がない中で、医療体制のこととかを考えると致し方ないのでしょうかね。フジロックの無い夏。
ただただ暑いだけの夏になりそうですが、気分だけでも盛り上げるような「祭」「音頭」にちなんだレコードをご紹介したいと思います。
祭に飛んでいきたい気持ちが抑えられなくなる!スカッとカラッと気持ちいチータさんの粋な和太鼓ドラムブレイク&グルーヴ歌謡。祭ってそうだよなぁって事をシンプルな言葉で表現するのは偉大な作詞家阿久悠先生。ガーサスです。
あほだらってなんやろね〜?とちょっと調べてみると、あほだら経というのが出てきたのですが、江戸後期によく見られた話芸だそうで、風刺を効かした内容を軽快でリズミカルな口調で歌う?というか独特の節回しで喋るラップみたいな感じなのですかね?。歌詞も韻踏んでたりします。ちなみにこの「あほだらサンバ」も韻の踏み方か気持ちいい感じです。和楽器アレンジもしっくりなじんだ、踊れる民謡サンバ。全国民踊指導者連盟推薦ですって。
アルバムPunch the Clockからのシングルカット「Shipbuilding」のB面。最近はわざわざ邦題をつけるという事はないじゃないかと思いますが、当時これをつけたレコード会社の担当ディレクターのセンスにまずは拍手という感じですね。(一説によるとなコステロ音頭の名付け親はピータバラカン氏という話もあるそうですが、本人は否定されてます。)確かに音頭に聞こえなくもないですが、これが音頭なら他にも音頭を名乗れそうな曲がありそうです。
CITY POP和製ブギーの定番としてとして名曲ぞろいのアルバム「AFTER 5 CLASH」からのシングルカット。アルバム通してアーバンファンクな曲が並ぶ中、アルバムラストを飾るのがこの曲とはなかなか斬新です。とはいえスラップベース、ホーンに和楽器が絡みいい塩梅のアーバン音頭に仕上げる感じはガーサスです。自分的には曲の全体のテーマや世界観が角松敏生(長万部太郎)作の「WAになって踊ろう」に通じている感じがしております。ちなみに角松さんがこれまで提供してきた名曲をコンパイルした「角松敏生ワークス」なるコンピレーションが発売7月22日に発売されましたよ〜。
そんなわけで今回ご紹介したレコード以外のものも合わせてDJ MIXを作っておりますので、ぜひお聞きください!
SET LIST
01:秋田音頭 / リトル・ジョーダン&ジ・オベイコンズ
02:大景気音頭 / クワちゃん
03:バケツのおひさんつかまえた / 大野進,中山千夏
04:祭りになればいい / 水前寺清子
05:Wack Wack Rhythm Island / WACK WACK RHYTHM BAND
06:あほだらサンバ / じんじん
07:日本の祭り / 多田隆章次
08:二十世紀音頭 / 佐良直美
09:FUCK YOU音頭 / サニーデイ・サービス
10:スッポンポン / 憂歌団
11:のってる音頭 / ザ・ドリフターズ
12:ウブウブ(リンダ音頭) / 山本リンダ
13:コステロ音頭(The World And His Wife) / Elvis Costello
14:HEART DANCING(あいらびゅ音頭) / 角松敏生