カレー屋店主の辛い呟き Vol.32  「昔話と10万円の使い道」

もーすぐFUJIROCKがない夏がやってくる。オリンピックも本当だったら今日開幕なんすね。コロナ前と後では来ている常連さんの顔ぶれも微妙に違うし、自粛期間暇すぎて店頭に植えたゴーヤも暴れまくってる。店で流れてたコロナ前のグルーヴ感は、たった3、4ヶ月だけど違うグルーヴに確実に変わってきてるし。つっても、ゴリゴリのハードコアからAORに変わったワケじゃないけどさ、どっちがいいとか悪いとかじゃ無くて。そもそも店ってお客さんによって、日々、ゴリゴリのロックな日もあれば、パーティーチューンな日もあるわけで。流れる音楽が違っても、お店としていい感じのグルーヴ感を保ち続けるのが大事なんやろね。お店ってDJとよく似てるわ。いいお店には、日々、形は違えどその店独自のいい感じが流れてるし。一年後、オリンピックが、FUJIROCKがどうなるのかわからんけど、中止になった今年とは少し違うモノになるだろーし、どんな形であっても、今までのとはちょっと違っても、いい感じのグルーヴ感があったらいいっすね。今まで通りやる事が重要じゃ無くて“いい感じ”が重要ってコトだわな。やっぱ。

■盟友との再会

大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。ミナサマはいかがお過ごしでしょか?

今回、いろいろな偶然と状況が重なって、このsmashwestのコラムに新たな2人のコラムニスト?(って言うのか??)が今月から登場してるんだけど、実は2人とも長年の仲間だったりします。ノンスモーキー山口さんとは知り合ってもう25年ぐらいになるんやろか?出会いはたぶんFM802。僕はぴあという会社で営業マンをしてたのだけど、まだチケットぴあってなんなん?って時代。まず顔と会社名を覚えてもらわなと、毎日ライブ会場に潜り込んで。ふわっと会場に残って、しれっと打ち上げに参加して。最後の最後まで打ち上げに残って酒を飲み続ける毎日。ちょっと話が脱線したけど、なんかいろんなコトをしなければいけなかったそんな時代。毎週末FM802の番組スタッフとして働きながら、コーナー出演してラジオで話すという仕事があって、そんな中、番組の打ち合わせで「これからはもっとワールドな音楽を!そや中華圏来てるしJ-POPやなくてC-POPや!香港も返還前やし、返還の時生中継で香港行けるかもしれんよなー」なんてアホなトークから出来上がったC-POPのコーナー。そこにC-POPの専門家というテイで笑、あるイベンターさんから派遣されてきたのがノンスモーキー山口さんやったな。

その頃紹介した映画「恋する惑星」から王菲の「夢中人」。クランベリーズのカバーやけどこっちのがスキ。最近「恋する惑星」を見返したけど、この頃のウォンカーウァイってキレキレだ。いろんな映画のオマージュが入ってるんすね。

そんな山口さんと、その後一緒にイベントなんかをすることになるんだけど、約25年後の今、カレー屋とステージの演出家って立場で、同じコラムを書くってよく考えたら不思議なもんです。はい。

そして江頭さんともいろいろとドラマが。今はカエルスタジオミュージックってゆー今や老舗のレゲエレーベルで日夜イベント制作や、マネージメントetcで大活躍中の彼とも出会ったのはかなり昔。思い返してみると、ベイサイドジェニーの頃だったんやろか?。てか、ベイサイドジェニーって知らん人もおるんかな?大阪の天保山にあった、もはや伝説的な小屋。普通のブッキングもあったけど、週末は今ならちょっといろんな意味で、無理目なオールナイトイベントが沢山。

ベイサイドジェニーの重たいドア。この入口前とここを抜けた2Fへの階段に山盛りのお客さんが。いろんなドラマがあったよな…

僕もこの時期、会社に許可をもらってたかどーかは忘れたけど(たぶん内緒だよな…)、その時期チケットを売る立場の営業マンだったはずが、なんかイベントでもするかーと、某イベンターM氏と、ベイサイドのO氏とそれぞれの看板を勝手に使いながら、あちらこちらでイベントをやってたのだけど、その一環でベイサイドジェニーのシリーズのイベントの時にあったのが最初やったんやろか?その後、アメリカ村でmopとゆー組織を立ち上げて、江頭さんとも机を並べることになるわけだ。この当時の話を、その頃の音楽とともに書こうかと思ったけど、なんかエモすぎてマトメきらん笑 ただ僕にとっては強烈にオモロく、強烈にマヌケだったこの時期。思い返すといろんなシーンが、まだあの頃の色彩のままよみがえってくるわけで。もっとボヤケてからでもいいんかなー、昔語りはと思ったりも。うん。んで、何年かぶりで彼ともここ数ヶ月で再会。そしてこうやって同じコラムを書くというこの機会。なんなんやろね。ただ、音楽とか、イベントの制作であった人達って、何年かぶりで会っても昔の感じで会える人が多いとゆーか。この仕事って、ひとつひとつのイベントや仕事の同じ空気を吸った同士感とか、共犯感があるんやろなと。ほんまいい仕事をさせてもらってたんやな。まぁ、なんにせよお二人のコラムがどんなことになるのか?楽しみっ!。

■10万円の使い道

最近、いよいよ僕が住む大阪市でも10万の給付があって、子供の頃からの癖なのか欲しいモノリストを作ってみると見事に娯楽なモノばかり。いい大人なのにね…笑 で、その最上位にあったのがテオ・ヤンセンの「ストランドビースト」の組み立てキット。ずっと楽しみにしてた7月からの神戸の展示会も中止になって、そのモヤモヤを少しでも解決してくれる展示会限定販売のキットが、今、期間限定で売ってるのさ。そら買わなアカンやろ!と。ん?店で話してみても反応が薄いとゆーか。ないとゆーか。てな訳で、“テオ・ヤンセン氏”のオモシロさをご紹介。マジ偉大だよこの人。

彼が作り上げた「ストランドビースト」というもはや種族。動きヤバないですか?

テオ・ヤンセン氏は、オランダの彫刻家であり物理学者なんだけど、彼が作り名付けた「ストランドビースト」はポリ塩化ビニールの管で出来てて、風の力だけで動くんよね。で、彼はそのポリ塩化ビニールの管をタンパク質と考えてて(つまり生物ってだいたいタンパク質から出来てるからなんだけど)、たった一つの素材から、この世界に生きてる生物のように様々な多様性を生み出すコトを目的としてるそう。そして「ストランドビースト」を人工生物と考えると(てか普通考えないと思うのだけど…)、やはり繁殖が一番大切やんってコトで、自身のサイトでクランク状の歩行システムに使用してるパイプの長さの比率「ホーリーナンバー」を公開。

これによって「ストランドビースト」を世界中の誰もが作り、進化出来ることが可能になった(つまり繁殖と進化)と彼は考えてて、最終目標として進化の結果「ストランドビースト」が人間の手を借りずに生きられるよーに“自己複製”して「この動物が私から完全に独立して生きること」を夢見ていると語ってるんよな。うー。芸術作品なんだけど、なんかサイエンスやし。めちゃMAD。でも、哲学も感じるし、生命の最低条件ってなんなんやろ?ってな。その独自の世界観からいろんな刺激をもらってるワケです。僕も未だ現物を見たことがないテオ・ヤンセン氏の「ストランドビースト」。その日が来るのをワクワクしながら待つために通販のボタンをポチッと押すことにします。てか、もう自分で連絡してみて何かのイベントに呼んじゃおーか?笑 それではまた来月。

TEDでも語ってますね。彼の解説オモロい!