カレー屋店主の辛い呟き Vol.37 「ザ・エレクトリカルパレーズ」

“新年あけましておめでとうございます” なんて書いてみるけどさ。なんで“おめでとう”なんやったっけ? “無事生きて新しい年を迎えられてなんしか感謝!みんなにおめでとう!” って意味やんね?違うのか? はー無学。でも、そんな意味やったら、今年はいつもに増して実感。昨年は、当店も自粛営業の嵐で「あー暇やな」と思う毎日。 “金もらえるからえーやん” なんて考え方もあるんやろーけどさ。いやめっちゃ有り難いし、えーねんで。えーねんけどさ。なんか複雑で違和感。「俺。別に助成金もらう仕事したいわけや無いけどな」と。まぁそーゆー世の中やからしゃーないけど。どっちかゆーたらコソコソ闇営業するほうが性分にあってるとゆーかさ (笑) そんな中でも“しんどいやろー”といつもよりペースを上げて来店してくれた常連陣。一切仕事が無くなる中、“逆に暇なったしー”と久しぶりに足を運んでくれるエンタメ系のお仕事をしてるミナサマ。カウンターの中で「お金もらえるから何買おかな?」なんて嘯いて、ミナサマの感情をずーっと逆撫でしてたけど笑、ホンマにお客様の有り難みを再認識して、励みにさせてもらった一年。全てのご来店のミナサマに感謝してます! んでさ。「このままコロナ続いてずーっと助成金や協力金出たらえーのに。まっ店締めトコ」なんて言ってる馬鹿店主ども。本音とは思わんけどさ、誰かに食べさせてもらうコト続けたら、自分の夢や、やりがいまで食べられてまうで。これホントに昨年実感したコト。まぁそれが幸せなことやったらえーねんけどさ。

大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”と申します。コロナなご時世、あんま年末感もない年の瀬でしたが、ミナサマいかがお過ごしでしたでしょか?相変わらずの政治や、いろんな状況に言いたいことも沢山あるけど、ここでゆーてもまぁしゃーないか…。今年も、少しでもミナサンのお楽しみになれるよーなエンタメネタなんかを書いていけたらなーと思ってます。んでね。年末と言えば、今年のM1どやったスか?個人的にお笑いが大好きで、おまけに性分の深堀癖が存分に発動して、年間を通じてベテラン勢〜若手のネタやラジオ、SNSを日々チェックし続けてるワタクシにとっては、やはり一大イベント。なんか、感情移入してまうねんな。よしもと的に今年大本命だった“ミキ”が準決勝にも進めなかった時から、やっぱガチなんやなーと思うとともに、何か大きなうねりを感じてた今年のM1。準決で優勝した「マヂカルラブリー」のつり革ネタのハネッぷりを映像で観た時から、一発あるかもなーと思いながらもさ、これどんな評価されるんやろか?とかな。ある種異端な「錦鯉」と「おいでやすこが」も濃いお笑いファンが多い準決のステージの爆発的なウケで決勝に残ったし。審査員にとゆーか、一般の視聴者にどー見えるんやろなーとな。んで、放送直後から巻き起こった「あれは漫才なのか論争」。ある意味想定内やったけど、この論争あんま意味ないよな…。ある意味日本的とゆーかさ。カテゴライズするの好きやなみんな。ぶっちゃけ大事なんは、オモロいか、オモンないか。「しゃべくりじゃないから漫才ちゃうやん?」ってそれ何なん?「これはロックだ」「いやロックではない」論争と一緒やで。どっちゃでもいいけど「で?」って話。あえて言うなら、「漫才やない」じゃなくて「新しい漫才」と思った方がオモロいよな。まぁこれ漫才だけの話じゃないけどさ。

まぁそんな些末なことは置いといて。個人的には今年のM1も腹抱えて笑わしてもらいました。「インディアンズ」のアドリブ満載な田淵の荒れ玉を、後ろに逸らさない阪神の梅野ばりのきむの突っ込みに。「見取り図」の盛山とリリーのave135kmのピッチャーが3年でave150kmの剛球を手にしたかのよーな、ステージをこなし続けた結果のお笑い体力の強化に。何にもオモロいフレーズを言ってないのに笑てまう130kmの剛球投手元中日の山本昌ばりの「おいでやす小田」の突っ込みと人間力に。阪神の西ばりの精密なコントロールと、打者への投球術を磨き続けた「オズワルド」と、隠し球と牽制を磨き続けたよーな毒を持つ「ニューヨーク」の漫才に。エラーした後ベンチでしょげること無く声を出し続けムードを上げたような、漫才後の「アキナ」の平場の強さとその姿勢に。そして、自分のスタイルを崩さず磨き続け、振り子打法を手にしたイチローや、トルネード投法を手にした野茂のような「マヂカルラブリー」のスタイルに。なんで野球で例えてもーたのか分からんけど…笑(分かりづらいっスね)漫才師達が一攫千金を夢見て真剣勝負を繰り広げた今年のM1もやっぱり素敵でオモロかったわ。

さてさて。相変わらず前置きが長くなりすぎたもーたけど…。今回はM1のよーな大舞台を目指して、お笑い界の虎の穴NSCの門をくぐった若者達のある事件?を追いかけたドキュメンタリー作品をご紹介しよかと。それは2年続けてM1決勝にも出て、ずっーとオモロいなーと追いかけてた「ニューヨーク」のyoutube チャンネルで11月に発表された作品。M1決勝でもそうやったけど、誰もが日常感じる毒を代弁するような悪ガキ感と、東京よしもとの中の若手芸人から信頼を集める彼らの関係性がベースにあるからこそ生まれた快作。もちろんこの「ニューヨーク」チャンネルの作家でもある、監督の奥田氏のストーリー構成も抜群なんやけどさ。個人的には2020年のベストドキュメンタリーで、あの名作『桐島、部活やめるってよ』に並ぶとも劣らない作品性もあると思うんよ。言い過ぎたかな…笑

■“お前らがいるから笑顔になれる” 「ザ・エレクトリカルパレーズ」

「ザ・エレクトリカルパレーズ」本編  “ジ”じゃなくて“ザ”なんよなー…笑

youtubeのコンテンツとしては、ちと長い約2時間のこの作品。ファンながら長げーなと、しばらくほっぽらかし、何気に見始めた12月頭の深夜。見始めると2時間はあっちゅーま。そこから数回見返してるワケなんス。そんな魅力的なドキュメンタリーの舞台は、よしもとの芸人養成所の東京NSC。昔の仕事柄大阪のNSCには何度か行ってたし、芸人や作家の知り合いもおるからNSCってこんなトコってある程度知識はあったけど、ただの学校では無くて。クラスメイトは基本蹴落とす存在とゆーある種特殊な空間で起こったお話。この前提を知ってるか知らないかでオモロさは多少変わってくると思うんやけどさ。

話のあらましは “2011年。NSC東京校17期生に謎のグループが現れた。ザ・エレクトリカルパレーズ(エレパレ)はメンバーの名前を記した揃いのTシャツやオリジナルのテーマソングを作成し、複数の女生徒と関係があると噂される。その噂は芸人たちの間で話題となったが、誰も正確な情報を掴めないまま忘れ去られた。9年後、ニューヨークチャンネルはエレパレの正体を探るべく調査を開始した。お笑いを志した若者たちは、なぜそのような組織を作り、何をしようとしていたのか。取材を進める中で17期生が隠した真実を解明する。”(wikiより)ってことでニューヨークがインタビューを行ってく中で真実と、それぞれの「エレパレ」に対しての思いが明らかになって「エレパレ」とは何だったのか?が浮かび上がってくるんやけど。当時の17期の「空気階段」鈴木もぐら、「オズワルド」、「ガーリィーレコードチャンネル」ら17期の面々は、エレパレを憎み、蔑んでいたワケ。養成所でそんなグループを作るのはイタいやろってな。これ青春期によくある“あるある”。「ニューヨーク」や奥田氏も、当然“イジる”つもりで始めたこの企画。そんな企画とニューヨークにある種忖度するよーに、どれだけイタかったかを語る同期の“非エレパレ”の面々。ストーリーは進み、元エレパレメンバーだった「侍スライス」のインタビューにたどり着き、彼らが抱えていた本当の気持ちに気がついた「ニューヨーク」や、監督の奥田氏の「エレパレ」に対しての心証も、そしてたぶん視聴者の感じ方も逆転していく。そして浮かびあがってくる黒幕の存在…笑

キラキラした “一軍” への強い嫉妬と、そこから来る同調圧力。逆に、“一軍”と見られていた人間達の苦悩と孤独。長く生きてると、どちらの立場も経験するし、基本、人間だれもが “イタい” とこ持ってるやろしな。(俺ずーっとイタいし…笑)誰しも経験を持つイタかった頃へのノスタルジックさと、視点を変えると風景が違って見える心理の移り変わり。そして10年経って笑いへと昇華できるようになった芸人としての成長。いろんなモノが画面に詰まってて、マジ全ての登場人物が愛おしくなるんよな。作品としても、人をイジる毒のあるネタが持ち味の「ニューヨーク」が「エレパレ」にどんどん感情移入をしていく姿がスパイスになってて、おまけにインタビューされてるのが芸人さんだけに、真実と笑いの間に隠された感情を視聴者はより深読みしてまうところも、この作品の魅力。あとこの1テーマで2H引っ張れる出演の芸人さん達の技量と、構成にも拍手。

昨今、なにかとイジるだけですぐ非難される世の中。傷つけない笑いとかさ。それは、何も本音を言わず、誰もイジらんってコトじゃなくて、笑いで包むってゆー大事なスキルのコトやと思うんやけどな。この作品を見るとそんなコトを考えます。では今回はこの辺りで。

ホイミカレーとアイカナバル / 店主ふぁにあ
〒543-0031 大阪府大阪市天王寺区石ケ辻町3−13
ホイミカレー:毎週火木金12:00-売り切れ次第終了 
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