シロート・クロート・グレーゾーン Vol.13

毎日暑い。こんなに暑いと熱中症になる。江頭です。オリンピック始まりましたね。開会式が7月23日に行われて、この原稿を書いているのが24日ですので、まだ始まったばかりなんですけど。これが掲載される頃にはオリンピックも佳境かな。もしかしたら閉会しているかもしれません。開催までにあまりにも問題がおこりまくったので、自分の備忘録的な意味合いも含めて時系列をまとめておく。たぶん何年か後に読むとおもしろいはずなので。

2015年7月。メイン会場問題が勃発。新国立競技場の建設費がべらぼうに予算オーバーしてザハ・ハディドさんデザインをボツにする。ハディドさんは16年の3月に心臓発作のため死去された。一回決めたのにボツ。ひどい…

2015年9月。東京オリンピックの公式ロゴマークのパクリ疑惑勃発。佐野研二郎さんデザインが盗作ちゃうかコレ?と槍玉にあがる。ベルギーの劇場のロゴマークと酷似していた模様。最終的に大会組織委員会がボツにした。そして“佐野る”というワードが少しだけ流行った。“佐野る”というのは“パクる”という意味。苗字やん。親も家族もおるやろし、他の佐野さんもいるやん。ひどい…

2019年10月。オリンピック期間中の東京の酷暑が問題視されていたが、にわかにマラソンを東京ではなく札幌で開催することをIOCが発表。小池東京都知事オコ。知事が不機嫌なのはどうでもエエけど、東京オリンピックっていうてるやん。マラソン1位のランナーがメインスタジアムに戻ってくるのはオリンピックのハイライトやんか。ひどい…

2020 年1月。年末から年始にかけて中国武漢での新型コロナウイルス発生の報道が出る。1月15日には日本国内で初めての患者がでた。まだこのあたりでは、皆てきとうに軽く考えてたよねっ。

2020年3月30日。新型コロナウイルスによりオリンピックの延期が決定する。ほんとは7月24日に開幕の予定だったが史上初の延期となる。オリンピックが東京に決まった時には、まさかこんな事になるとは誰も予想していない。志村けんさんが亡くなったのもショックだったが、オリンピック延期もショッキングだった。ひどい…

2020年4月7日。オリンピック問題にかたをつけて、一気に緊急事態宣言の流れへ。だれもいない閑散とした心斎橋は夢のような景色。宣言は7都府県に発出。あと家族分あわせて40万円もくれたのでパソコン買ったり、無駄遣いをした。布マスクは記念に保存しておこうと思っていたが、ゴミに紛れてどこかにいってしまった。ひどい…

2020年11月。開会式の責任者だった振付演出家MIKIKOさんが辞退される。組織委員会への不信感が理由。だいたいこのあたりの頃からキナ臭い感じがプンプン。開催中止を主張する人々も目立つようになってきた。でもデモとかにはドン引きする。ひどい…

2021年2月。組織委員会の森喜朗会長、奇跡の女性蔑視発言。ついついサービス精神が溢れ出てしまう。いろいろ粘ったが辞任した。後任にはスピードスケート、自転車のオリンピアン橋本聖子が大臣を辞任して組織委員会会長に就任。Jリーグ初代チェアマン川渕さんは流れ弾に被弾して気の毒だった。ひどい…

2021年3月。佐々木宏さん渡辺直美さんを強烈ディス。佐々木さんは開閉会式の企画・演出の統括役のクリエイティブディレクター(って何する人なの)。ディスは遡ること1年前の発言。発言というか正確にはグループLINE内でのオジサンギャグ。明るみにでたのが21年の3月で謎のタイムラグ。キナ臭い。佐々木さんは辞任。問題となったギャグは、渡辺直美さんの容姿をたとえて“オリンピッグ”だということだそうです。どうでもエエがな。ひどい…

2021年7月8日。オリンピックを無観客で開催することが決定。東京都では通算4回目の緊急事態宣言を発出。4回目にもなるとすでに緊急感はゼロな感じ。ついでに観客もゼロにして無観客に。この前週にはロンドンのウェンブリー・スタジアムで欧州サッカー選手権が行われたがノーマスクで観客も超山盛り。イギリスは覚悟したのだろう。それにくらべて…ひどい…

2021年7月19日。開会式の楽曲担当の小山田圭吾さん辞任。Quick JapanとROCKIN’ON JAPANの過去のインタビュー記事での“イジメ発言”が問題になる。25年ぐらい前のインタビュー記事は事あるごとに掘り起こされ何回も論争になっていた。結局開幕の数日前に辞任するということになる。何をいまさらという違和感。ひどい…

2021年7月22日。開会式前日の22日に開閉会式の制作・演出の小林賢太郎さん解任。触れてはいけない“ホロコースト”ネタで解任。小山田圭吾さんの時に対応が後手にまわった下手うちのこともあるし、敵に回してはいけない相手からのクレームなので組織委員会がクイックな対応で即解任。ひどい…

2021年7月23日。ついにオリンピック開幕。いろいろあったが開会式が行われる。よかったね。

ということで開会式を見ましたけども。過去大会と比べると少し残念な感じ。演者さんのパフォーマンスは称賛に価しますし、ピクトグラム・パフォーマンスは楽しかったですが、全体的には寂しいオープニングでしたかね。前回のリオデジャネイロオリンピック閉会式での東京オリンピックの演出が個人的には嫌いじゃなかったので、その続きみたいな世界観を勝手に想像していたので残念。例のドラえもんとマリオとシンゾーアベのやつですね。

リオデジャネイロオリンピック閉会式「Rio to Tokyo」

正解はなにかわかりませんけど、今回はイキナリ「ギリシャの入場です」でよかったんじゃないですかね。選手の入場と聖火台への点火のみのストロングスタイルで。余計な演出はしない。選手入場の曲もゲームの曲がセレクトされていて高評価だったみたいですけど。ゲームをあまりやらないのでドラクエしかわからんかった。息子はいろいろな曲に反応してましたけどね。

2020東京オリンピック選手入場時に使用していた楽曲

だいたいね、開会式は回を追うごとにおかしな方向に行ってたってことですよ。私はハードオリンピックファンですから苦言しますが、スポーツの勝負が見たいのであって、その他はオマケ。余計な演出はいらない。1984年のロサンゼルスオリンピックでロケットつけた人間が降り立ちましたよね。あの演出ぐらいからおかしなことになってきてるんでしょコレ?たしかに小学生の時にアレみて度肝抜かれたけど。でも、もうそんなんイランのちゃうかな。スポーツの真剣勝負だけ見れれば、それで十分なんじゃ。

このあたりの感覚は子供のころにどのようなスポーツやクラブの体験があるかで随分変わってくると思います。子供の頃から大半の時間をそのスポーツのために使い、そのスポーツの頂点に立つということがオリンピックの金メダルを取るということなわけです。ハーコーな世界なわけですよ。時には勝負に負けて悔し涙を流しながらも鍛錬を積み、ひたすら勝ち続けた結果が金メダルで世界の頂点ですからね。オープニングの演出がどうしたこうした言うてる運動音痴の外野は引っ込んどれっつー話ですわな。

本来はですね。先月のここで書いたコラムの続きで、実家から出てきた古い『Quick Japan』について書こうと思っていたんですけど、あまりにもタイムリーすぎて、内容がグロテスクになりそうなのでやめました。95、96年あたりのサブカルチャーには歪んでたものが多数あったと記憶します。

小山田圭吾さん辞任で問題となった『Quick Japan vol.3』が当てはまるのかわからないけど、鬼畜カルチャーというのがありましたよね当時。流行ってましたね。95年はオウム真理教事件で一斉逮捕された年ですね。また年々盛り上がる世紀末感もあり、いまから思うと独特な若者のカルチャーがあったような気がします。『Quick Japan』というよりかはむしろ、『危ない1号』とかですかね。相当な内容の伝説の書籍だと思うのですが、当時は知り合いになったやつの家に行ったりすると結構な確率で皆持ってたな。まだインターネットはない時代ですからね、雑誌などが情報源なのです。今の若者がこの雑誌を読んでも「別に?」って感じかもしれないですけど。インターネットの方が格段に“危ない”ですからね。

とはいえ、せっかくなので一冊ぐらいはその時代の“オールドQuick Japan”を紹介して終わりにしましょう。

今回は『Quick Japan vol.5』ですね。特集が石野卓球と先述の『危ない1号』の編集人、青山正明とのテクノ対談。小沢健二の特集。小山田圭吾の“説教レコード店”潜入レポ。山塚アイ改めヤマンタカEYƎの電子耳体験記などなど興味深い内容。実際今読んでもおもしろい。そして辞任騒動で話題となったシリーズ“いじめ紀行”の第3回目も掲載。3回目のインタビューはなんとジェフ・ミルズ。アメリカのデトロイト・テクノの大物ですね。来日した折りにインタビューしてるみたいですが、インタビュアーの頓珍漢な質問に多少イライラします。学生時代のいじめに関しての質問で「昼休みに誰かが撃たれたことはあったよ」と別次元の回答には笑いましたが、テクノDJがヒップホップDJにいじめられるだかなんだか、よくわからない謎の設定をジェフ・ミルズに押し付けていたのはウザイ。黒人に対して少し偏見を感じる文面もウザイな。でもまぁこの時代だとこんな感じやったかな?

JEFF MILLS / Changes Of Life

今月はいよいよFUJI ROCK FESTIVAL ’21ですね。すごい楽しみですね。天気が良いことを祈ります。

CORNELIUS / COUNT FIVE OR SIX

THE BIRTHDAY / オルゴール

今月も読んでいただきありがとうございました。

江頭 善史