第47回 デューン砂の惑星〔新訳版〕 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF) Kindle版 フランク・ハーバート(著) 酒井昭伸(翻訳)

デューン砂の惑星〔新訳版〕 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF) Kindle版 フランク・ハーバート(著) 酒井昭伸(翻訳)
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あんまり音楽と関係ない本ばかり紹介しているようなのですが、ぼくにとっては全部すごく音楽とリンクしている本なので、ご勘弁を。

で今回は今話題の映画『デューン』の原作です。

昔のロック・ファンだと、この本と『指輪物語』は読まないといけない小説だったのです。『指輪物語』がロックのファンタジーさの原点だとすると(レッド・ツェッペリンがなんでケルトな感じになっていったかということです)、この『デューン』はドラッグとはなんぞやを解説されている本とされていたのです。

デヴィッド・リンチ版の映画『デューン』もなかなかドラッギーな映画でしたが、久々に小説を読んでみると、あーこの小説というのは『アラビアのロレンス』なんだなと改めて思いました。一回目の映画化の時の監督候補は『アラビアのロレンス』のデヴィッド・リーンだったそうで、デヴィッド・リーン版の『デューン』も観たかったなと思う今日この頃です。

砂漠を美しく撮った『アラビアのロレンス』がどういう映画かといいますと、帝国主義の中、なんとか砂漠の人たちとともに打倒帝国主義を心に秘めたイギリス人中尉の物語だったと思うのです。

『戦場のメリー・クリスマス』と一緒です。イギリス人捕虜をぶん殴っていても、本当は「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」と言いたいという、ロレンス、ローレンス一緒ですね。隠れゲイみたいな奴が諸悪の根源みたいな話でしたよね。ちゃんと「俺は男が好きだ」とちゃんと叫んでいたら、何の問題もないのです。システムなんかのせいで、ゲイを憎まないといけないと思ってしまう自分を打破しないと、世の中なんて変えられないのです。

日本でいうと夫婦別姓反対、夫婦の名前が違ったら社会が壊れるとか叫んでいる政治家ですね。こういう奴らが世界の平和を乱していくのです

なんでこんなに世界はぐちゃぐちゃやねん、なんで仲良くなられへんね、です。

で、今何でこんなに世の中が不安定やねん、の諸悪の根源は、砂漠でのイギリスの三枚舌外交なのかなと、だから今映画化する価値があるのだと僕は思うのです。

『デューン』の一番のテーマというのはこれなのかなと、この本が書かれてから何十年も経っているわけですけど、僕らの世界は全然よくならないわけです。あの時より酷くなっているとは思いませんけど、いつまで経ってもぼくらは解決作を見いだせないまま、このまま死んで行くのでしょう。

『デューン』のもう一つのテーマがこれです。『スターウォーズ』みたいに帝国をやっつけられないのです。だから映画版『デューン』はまだまだ続くみたいですけど、制作会社は次回作のオッケーをだしてないみたいです。そんなのでよく作ったなと思います。僕も初日見に行ったらパート1って出てきてズッコケました。

この監督『ブレードランナー2049』も作っているのですが、これも本当はまだ続きあるのに、作れてないです。映画『デューン』もそうなりそうです。

映画版『デューン』どうなるのか分かんないですけど、小説『デューン』に影響されたのが『ナウシカ』であり『ガンダム』だと思うのです。日本のオタク文化の原点とも呼べる作品です。

『デューン』の面白さとは、変な宇宙人とか出てこない所です。あれ、全部濃いキャラクターなんですけど、あれ全員人類なんですよ。人類が宇宙に行って、8000年経った姿なのです。人類は宇宙に行っても地球と同じことをやっている、いや宇宙は過酷な世界だからもっと酷いことになっているということなのです。そんな世界だから女性は魔女化しないと男社会に立ち向かえないという設定もなかなか良く出来ているなと思うのです。後一度AIの反乱にあって、中世みたいな世界に戻ってしまったという世界観も、今リアルに感じます。

『ブレードランナー2049』は機械が人間になれるかというのがテーマなので、なかなか興味深いなと思います。『ブレードランナー2049』もよく分かっていない人が多いと思いますが、あの設定もすごくって、実はあそこに出てきている人、全部レプリカントだと僕は思うのです。多分『ブレードランナー2049』の地球は核に汚染されていて、人間はもう地球に住めなくって、全員地球外(オフ・ワールド)に行っている設定だと思うのです。地球に残されたレプリカントが何をしているかというと、人間ごっこをしているのだという話なんだと思います。

僕らもそうなのですけどね。

で、そこに神の子が生まれるという設定なのです。

僕らの世界もそうですよね。突然神の子が生まれて、その人が救世してくれると信じている人たちがたくさんいるわけです。

めっちゃ面白いんですけど、登場人物全員、レプリカント、そんな映画だれも感情移入出来ないじゃんと制作会社がオッケーしないから、隠していると思うのです。

一作目の『ブレードランナー』の一番のオチって、主人公がレプリカントかどうだったかだったのですが、『ブレードランナー2049』の一番のオチって、あれ全員レプリカントだったのだよということだったと思うのです。

とにかく今、僕らの重要問題は、僕らは神になれるのか、どうなのかなんだと思うのです。AIを作ってそのAIから僕たちは創造主(神)と崇められるのかというのが、これから僕たちの一番のテーマだと思うのです。神と思われるためにはその場所からいなくなっていないといけないですよね。『ブレードランナー2049』には人間はいてはダメだと思うのです。地球にいるレプリカント、あんなのみんなゴミだと思っているのが、神の目線なのだと思います。僕らももし神がいるとしたら、そう思われているわけです。リンゴを食って、楽園を追い出されたものと思われているわけです。レプリカントと一緒なわけです。そういう人間が、そろそろ神様になろうとしているわけです。

制作会社からは無茶する奴と思われている『デューン』『ブレードランナー2049』の監督って、なかなか鋭い人です。

この問題、小説『デューン』の頃からずっと考えられていたことなのですけどね。映画見て、小説読んで考えて見てください。

そうそうポリスのアルバム『ゴースト・イン・ザ・マシーン』も同じテーマです。機械に魂はあるのか、どうなのか。

そして、この頃、研究されてきて、機械に魂はあると言われるようになってます。機械は意識を作れるということですね。

だから将来的には人間の脳と機械は完全にシンクロ出来ると言われてます。人間の体は何万後年の宇宙旅行には耐えられないが、人間の意識を機械に入れて、それを何万後年も離れて惑星に送ることは可能になるのでしょう。

何万光年も離れた惑星で、僕らの故郷は地球で、そこには僕らの創造主がいるのだ、なんて思わないですね。ちゃんと人間として生きていくのでしょう。その頃には宇宙を作ったのは神なのか、宇宙の外には何があるのか、解明されているのでしょうか?まだ解明されていないんですかね。

こんな大きなことを考えさせてくれるのが『デューン』です。