第49回 Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章 ルトガー・ブレグマン(著)野中香方子(翻訳)

Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章 ルトガー・ブレグマン(著)野中香方子(翻訳)
Amazonで商品を見る

今年最後の本くらいは音楽の本にしようかと思ったのですが、ルトガー・ブレグマンの『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』という本が興味深かったので、紹介したいと思います。どういう本かといいますと、「人間というのは性善説なのか、性悪説なのか、どっちやねん」ということを検証した本です。

たぶん、これを読んでいる人のほとんどの人が、人間というのは性悪説だろと思ってるんだろうなと思います。

僕は人間というのは性善説かなと思って生きてきました。だから気が狂わずに生きてこれたのかなと思ってます。

ネトウヨが「中国が、韓国が」とか言っているのは性悪説だからでしょう。陰謀論にハマる人もそうなのでしょう。

本の中ではこう書かれています。

“本書では、ある過激な考えを述べよう。

その考えは長く支配者を悩ませ、宗教やイデオロギーによって否定され、メディアには無視され、世界史の記録からは消されてきた。

しかし、同時にそれは事実上すべての科学分野で承認され、進化によって裏づけられて、日々の生活で確認されている。もっともそれは人間の本質に関わることなので、気づかれないまま見過ごされてきた。

わたしたちには、この考えをもっと真剣に受け止める勇気さえあれば、それは革命を起こすだろう。社会はひっくり返るはずだ。なぜなら、あなたがひとたびその本当の意味を理解したら、この世界を見る目がすっかり変わるからだ。

では、この過激な考えとは、どんな考えだろう。

それは、「ほとんどの人は本質的にかなり善良だ」というものだ。”

そうなのです、9.11の時、ツインタワーが燃えている時、数千人の人たちは、自らの命が危険にさらされていることをしながら、静かに階段を降りつづけたのです。彼らはそれだけじゃなく、消防士やけが人が通れるように、脇によって、「お先にどうぞ」と言ったのです。映画みたいに、「早くいけや、ぶっ殺すぞ」と叫ぶことなく、静かに階段を降りつづけたのです。

“人間は本質的に利己的で攻撃的で、すぐパニックを起こす、という根強い神話がある。オランダ生まれの生物学者フランス・ドゥ・ヴァールはこの神話を「ベニヤ説」と呼んで批判している。「人間の道徳性は、薄いベニヤ板のようなものであり、少々の衝撃で容易に破れる」という考え方だ。真実は、逆である。災難が降りかかった時、つまり爆弾が落ちてきたり、船が沈みそうになったりした時こそ、人は最高の自分になるのだ”

色んな事実が検証されていきます。

“ハリケーン・カトリーナがニューオリンズを襲った時、新聞の紙面は、ニューオーリンズで起きたレイプや発砲事件のニュースで埋まった。うろつくギャング、略奪行為、救助ヘリを狙う狙撃といった恐ろしい話が流布した。最大の避難所になったスーパードームには、電気も水もない中、二万五000人が詰め込まれた。二人の幼児がのど切られ、七歳の子どもがレイプされて殺されたと新聞が報じた。

警察署長は、市は無政府状態に陥っていると語り、ルイジアナ州知事も同じことを恐れた。「最も怒りを感じるのは、このような災害がしばしば人間の最悪な性質を引き出すことです」と知事は述べた。”

東日本大震災の時、日本人はパニックにならずに落ち着いて行動したのに、アメリカ人はという奴ですね。でも実際はどうだったかというと、

“銃声のように聞こえたのは、ガソリンタンクの安全弁がはずれる音だった。スーパードームで亡くなったのは六人。うち四人は自然死で、一人は薬物の過剰摂取、もう一人は自殺だった。警察署長は、レイプや殺人に関する公式の報告は一件もなかったことをしぶしぶ認めた。実を言うと、略奪は起きたが、ほとんどは、生き延びるためにチームを組んで行ったもので、一部は警察が協力していた”

海外も日本と全く同じだったということです。人間に違いなんかないということです。大阪でもし大地震が起こったら、その時の維新の市長や府長が「外国人による略奪が起こってます」とかいいそうで、怖いですが。

映画にもなった有名なスタンフォード監獄実験(学生に囚人と看守の役をやらせたらほんの数日でナチ収容所もびっくりな虐待が始まった)も実はやらせというか、実験に参加していた学生はこの実験の期間中試験の勉強出来るかと思ってたら、教科書を取り上げられたので、早くこの実験を辞めたかったのに、教授の考える通りにしないと辞めさせてもらえない、報酬がもらえないということで、あの有名な「何だってんだ。ジーザス!もう一晩も耐えられない」と言ったそうで、BBCがスタンフォード監獄実験を再現しようとしたら、見たこともないほど退屈でつまらないリアリティ番組になったそうです。

そんなものなんですよ。

戦争でもほとんどの人間が銃を撃ってなかったそうです。

なんで、戦争なんかするのでしょうね。

ほんと人間って、馬鹿ですよね。でも人間の本質は性善説にあるということが書かれた本です。

暗い世の中ですけど、この本を読んで希望を持って新しい年を迎えてください。