カレー屋店主の辛い呟き Vol.49 「2021おしまい。今年出会ったもの」
- 2022.01.04
- OSAKA

メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の「ふぁーにあ」です。 今回もこのコラムに、辿り着いてもーてありがとございます。もう年末やってさ、はぁ驚き。年々、時間が早く過ぎてくな。コロナや、なんやと色々あったけど、僕は、嫌なコトは自動的に消去されてくシステムをここんとこ採用してるんで。それなりに、楽しい一年やったんかな。知らんけど。
そーいえば。ウチの店「ホイミカレーとアイカナバル」にも、この秋から冬にかけて結構な変化がありました。下の写真はそのビホー&アフター。こうやって較べて見ると、やっぱ圧倒的に店っぽい。なんせね、オープン6年目にしてドアが!「ドアなんかいるか???」とずーっと後回しにしてきたスけど。ドアって、いいわー。なんせ暖かいし。大体の家や店に、ドアが付いてる意味がよーく分かりました。他にも細かいDIYを繰り返し、今も継続中のリニューアル。来年はDJブースなんかも設置して、暖かくなった頃、みんなで遊べりゃえーなと思ってますよ。


さてさて本題。このコラムは、ゆるーく生きてるカレー屋店主が、観たり聴いたりした音楽や、映画、マンガなんかを紹介するって感じに、気が付けばなってて。これが、正解かどーか分からないまま、ずーっとダラダラ書かせてもーてます。店にいる時と、同じで「あれ見た?」とか「あれ見た方が良いっすよ!」とかの感じでな。ただ、タイミングが合わなかったりして、書いてこなかったモノも沢山あったんスね。なんで。2021年も、もーおしまいなこのタイミングで、僕が2021年にハマった音楽や、映画や、マンガなんかをご紹介してこーってのが今回の企画。一つ一つはショートな感想なんで気になった人は勝手に掘って下さいな。ほな、いきます。
■「宇宙ネコ子」
昔から、女子のウィスパーなヴォーカル+轟音ってな音が大好物。んで、この「宇宙ネコ子」ってバンド(ユニット?)のアルバムをちゃんと聴いたのは、今年出た3rdから。そこから2nd,1stと遡って、今年後半、僕のイヤホンからずっと流れてました。ジャンル分けするとシューゲイザーや、ドリームポップ的なコトなんやろーけど、何度聴いても感じた唯一無二感。多分、コロナ前に制作された2ndのオルタナ強めな感じと、コロナ中に制作されたであろう、静けさの中の熱みたいな3rd。どちらを聴いても「宇宙ネコ子」の音。ライブ見てみたい。てかどんな感じなんスかね。誰か教えて。
■「White Ward」
今年の夏頃、彼らの新しいシングルを偶然聴いたのがキッカケで知った、ウクライナのブラックメタルバンド「White Ward」。近年すっかり個人的には、遠ざかってもーたこの界隈。なんで、今の事情はあんま分からんけど、このバンド有名なバンドなんスかね? 特に上に貼り付けたこの曲。初めて聴いた時、トレモロのピッキングの轟音の中から、サックスが聴こえてきた時の驚きったらね。当たり前に、リフもカッコいいし。曲単位でも、アルバム単位でも、構成とゆーか構築? でけてて飽きへんなぁ。なんか都会的でもあり、東欧のこの辺のバンドからよく感じる、抑圧されたDNA(よー分からんけど)から来る、哀愁みたいなモンもあり。ライブ映像見たら、結構ベテランのオッサンやったのも(見た目)ちょっとオモロかったな。
■「The Marías」
今年に出た、彼女らのデビューAL「CINEMA」もよく聴いた。てか、アルバム出してなかったんやね。4、5年前ぐらいからMVとかよく観てた気がするし、来日のLIVEも誘われてたよーな気が。この辺りって、コロナの影響での停滞とかも、あったんやろか。色んな日本のネット記事を見てみると、「ネオ・サイケ・ソウル・グループ」とか言われてるみたいやけどナンソレ? よー分からん 笑 彼女達もそやけど、LAを拠点に活動してるバンドの中で、何年か前から確実に存在してるシーンとゆーか。Voがスパニッシュと英語で歌う、こんなテイストのバンドが沢山おるし、今後もどんどん出てくると思うで。そんな中からも、完全に一歩抜け出した感のある彼女達。低音域のグルーヴがあって、ベッドルーム・ポップってゆーんすか?そんな要素もあって。ま、よーわ。チルして一服する時にかかってる音楽ってコトなんやけど。そういう意味でも、ジャックジョンソンや、ドノヴァンあたりのサーフ的チルさと、比べてみてもオモロいな。地域なのか、カルチャーなんか、時代なんか分からんけど、LAやとこれかなんやろな。そして、プエルトリコをルーツに持つヴォーカルのマリアさんマジ美し。もう大スターになる雰囲気しかないわ。んで、彼らの作品の多くでアート・ディレクションを行っているBethany Vargasによる美しいアートワークの数々もいいんスよ。
■「ルックバック」

もう有名になりすぎてて、あえて書くのもなぁと思い書かなかったこの作品。その後「このマンガがすごい2022」でも1位を取ったりと、もう読んだって人も多いと思うんやけど。やっぱ今年振り返るとこの作品が、個人的にも1位。てか、僕の友達には、このマンガの単行本をちゃんと買って、家に置いて時々読んで、目頭を熱くする人であってほしい。(なんだソレ)この作品、一応説明すると、「チェーンソーマン」で、昨年の「このマンガ〜」でも1位だった藤本タツキの読切中編。僕はネットのジャンプ+のヘビーユーザーなんやけど、初見でマジで震えたし、掲載直後からSNS界隈でも絶賛の嵐で、同志がいっぱいいるんやなぁとな。
内容はホームページから引用すると「自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。」ってお話なんやけど、なんてーか、藤本タツキ氏の熱量とゆーか、気迫が感じられる名作。途中、あの京アニ事件をモチーフにしたよーなシーンがあって、そのセリフを修正せざるを得なくなる、炎上案件もあったんやけど、単行本では元のテイストの違うセリフに再修正されてて、あの炎上騒動で感じた、モヤモヤもなくなった。
この作品、特に主人公の藤野の感情や、時間の経過をセリフやなくて、絵で表現してるシーンが多いんやけど、これぞマンガの醍醐味。藤野の背中の描写が良くて、個人的にマンガ史上に残る名描写やと思うで。タイトルも「ルックバック」やしね。んで、このタイトル、隠し要素もあってな。言わんけど、ヒントはあのoasisの名曲「DON’T LOOK〜」。悲しいコトがあっても未来にってな。作者なりのあの事件に対する鎮魂歌やと思うで。まぁ、単行本買って見つけてみてちょーだい。まさに、ゆーたら現代版藤子不二雄の「まんが道」。一家に一冊レベルの作品やと思うで。
■「東独にいた」

僕は単行本ベースで追いかけてる、ヤンマガweb連載中のこの作品。あらすじは、「ベルリンの壁で一つの国が真っ二つに裂かれた世界。東ドイツ。社会主義が支配するその国に住むアナベルは、古本屋を営む青年・ユキロウに密かな恋心を抱いていた。そして、国家の陰謀が絡む明かせない秘密を。時代が、思想が、抗争が、二人を別つ壁となる――。東ドイツに生きた人々を描く本格派歴史劇。」ってお話。
個人的に、史実の大きな舞台装置の中に、いろんなフィクションが入ってる物語は好きなんやけど、このマンガはその辺の塩梅が面白くて。東ドイツの管理社会で、どこか退廃的な街の空気感の中、主人公達が殺人兵器として育てられ、超人達のバトルへと展開する設定で、もう勝ちとゆーか。そこまで人間離れした改造?じゃない故、旧東ドイツのスポーツ選手が実際に受けたドーピングの話なんかが明るみに出た今見ると、似たよーなコトがあってもおかしないかなぁと、どこか思ってまうとゆーか。その中で、主人公達の恋やら、祖国を思うが故のイデオロギーの違いとかが描かれてて、リアルの中のフィクションって無限の可能性があるなーと思うんスよ。ただ、その塩梅が難しいんやけど。この先どう展開するか分からんけど、タイトルの「東独にいた」の「いた」部分が、キーになってくと予想。今後が楽しみ。
■「ディナー・イン・アメリカ」
→『ディナー・イン・アメリカ』予告編
映画もこの1年色々と紹介してきたけど、長くなりそうなので1本だけ。個人的には、今年上映された映画の中でも、何本かの指には入る、キュートな作品。あらすじは、「孤独な少女が家に匿ったのは、覆面バンドの推しメン」ってとこから展開する、「家族や周囲から変人扱い、社会不適合者、厄介者と蔑まれる、出逢うはずのない二人が、心惹かれ合い社会の偏見をぶっ飛ばしてゆく究極のアナーキック・ラブストーリー」ってお話。劇中の覆面パンク・バンド「サイオプス」のvo役の、サイモンは終始アホやし、主人公のパティはトロくて、終始垢抜けない。でも、見てるうちに最高のラブストーリに変わってく奇跡。「お前はバカじゃない、パンクロッカーなんだ!」と言う時点で、無茶苦茶アホなんやけど。すごく腑に落ちるねんな。全編に「Stay Punk(パンクを貫け)」が貫かれて、現代のそんな感じの若者にも響くやろーけど、こんな無軌道な生活を、昔してた大人にこそ響く映画やろなーと。とりあえず、僕には「今のお前はどーやねん」と、昔の自分に問われてる気がしたね。もう、公開は終わってるけど、配信とかで見てみて下さいな。
さてさて。今回まとめて2021年に出会ったエンタメの中から、いくつか紹介してみました。まだまだ紹介したいモノも沢山あるけどまたの機会に。お店で、こんな話が出来たら素敵やなとも思います。では今回はこの辺で。
ホイミカレーとアイカナバル / 店主ふぁにあ
〒543-0031 大阪府大阪市天王寺区石ケ辻町3−13
ホイミカレー:毎週火木金12:00-売り切れ次第終了 アイカナバル:月—土18:00-23:00