実録 関西パンク反逆の軌跡 その13

「2021年ベスト・アルバム」

先月はTaiqui氏多忙に付きインタビュー出来ませんでした。悪しからずご了承下さい。次回をお楽しみに。

2020年の年末にターンテーブルを入手しアナログ熱が再燃。レコードを酒游舘のPAシステムで爆音聴取して悦に入っています。昨年は新譜も可能な限りLPで購入。

アルバムはアーティスト名/タイトルの順に記載。タイトルが「」に入っているのはアナログ盤。

■ベスト邦楽

ONJQ / Hat and Beard
緊迫感溢れる演奏に痺れた。
昨年5月27日に磔磔でこのバンドのレコ発ライブを観覧。チャーリー・ヘイデン「ソング・フォー・チェ」、オーネット・コールマン「ロンリー・ウーマン」がカバーされていた。私は前者はロバート・ワイアットの、後者はヒュー・ホッパーのアルバムで知った。リーダーの大友良英さんは私と同世代。彼も私と同じ入り方かも?と妄想が広がった。

津山篤、長野友美 / ダリエ・ロ・サイテン・ディエ・モナヴィエール
ヨーロッパ各地の伝承曲を演奏しているのだがアプローチにロックなドライブ感があるのが好み。津山篤のルーツはジェスロ・タルなのが良く判る。11月24日磔磔でのレコ発ライブではゲストの吉田文夫さんが元気に演奏してはって安心した。

カーネーション / Turntable Overture
直枝政広の男の色気滴る歌とエレキ、太田譲のよく歌うベースが相まって最高の和風グルーブを醸し出している。

落穂の雨 / 酒游舘
2020年10月3日酒游舘でのライブ盤。三人三様でありながら三位一体の演奏。彼等のサックス、エレキベース、打楽器のアンサンブルは酒游舘の木造土壁の音響に最も適している。
今年の落穂の雨@酒游舘は9月10,11日2デイズ。

青木マリ/SHORT FILMS
自然体の歌唱が心地良い。38分弱の尺もジャストで何度も聴き直したくなる。M3「恋人」が切ない。

■ベスト洋楽

キャラバン / 「It’s None of Your Buisines」
デイブ・シンクレア/HOOK-LINE&SINCLAR

去年一番嬉しかったのはキャラバンの名盤「グレイとピンクの地」リリース50周年の年にキャラバンとその元メンバーのデイブ・シンクレアの新譜が聴けた事。両作共に御年83才のジミー・ヘイスティングス翁が参加、流麗で心洗われるフルート・ソロを披露しておられて感動。キャラバンの新譜がLPでリリースされるのは1982年の「Back to Front」以来。デイブさんの新譜にはこのアルバムの未発表曲が収録されている。併せて聴くと更に楽しめる内容。

ラナ・デル・レイ / 「Chemtrails Over the Country Club」
ラナ・デル・レイ / 「Blue Banisters」

ラナ・デル・レイは2021年ベスト・アーティスト。「Chemtrails〜」は3月19日、「Blue 〜」は10月22日リリース。旺盛な制作意欲に感心する。どちらも脳みそがとろける傑作だが彼女の美声と細部まで神経の行き届いた歌唱が二枚組で堪能出来る後者を推したい。

ロジャー・チャップマン / 「LIFE IN THE POND」
ダミ声の音圧健在の王道ブリティッシュ・ブルース・アルバム。ファミリー時代からの付き合いのポリ・パーマーのツボを押さえたバッキングが心地良い。ギタリストはポール・コゾフ死去に伴いクローラーに加入したジェフ・ホワイトホーン。

ロバート・プラント&アリソン・クラウス / Raise the Roof
最初はえらい地味やなと拍子抜け。マーク・リボーやビル・フリゼール参加の聴き込む程に味が出て来る所謂スルメ盤。

シルク・ソニック / An Evening With Silk Sonic
ラジオで彼等の「Leave The Door Open」を聴いていっぺんに好きになった。フィリー・ソウルの煌びやかなサウンドを現代に巧く蘇らせている。コロナ禍の自粛ムードの中、こういう理屈抜きに楽しいアルバムがリリースされた事に意義を感じた。しかも日本盤2200円(税込)と安い!

ザ・シアター・オブ・ミュージック / An Evening at the Theatre
マリオン・フェルメ率いるフランスの古楽アンサンブルが奏でる17世紀ロンドンの芝居伴奏曲集。打楽器が効果的に活かされている。華やかで躍動感あり。

ベスト企画

クリッシー・ハインド / 「Standing In The Doorway:Crissie Hynde Sings Bob Dylan」
プリテンダーズの女性歌手によるボブ・ディランのカバー・アルバム。アルトの伸びやかな歌唱とドラムレスで抜けの良い伴奏が心地良い。プロデューサーのジェイムズ・ウォルバーンがほとんどの楽器を演奏。彼はプリテンダーズのギタリストでクリッシーの前作「Valve Bone Woe」でもプロデュース担当。切れ者と見た。

ベスト発掘音源

津島利章 / 仁義の墓場オリジナル・サウンド・トラック
哀切な大正琴のテーマがバリエーションを変えて何度も登場し滂沱の涙。映画をビデオやDVDで観直すとショボくてがっくりする。優れたOSTアルバムの方がよほど感動が蘇る。本作はその好例。

フェディリコ・モンポウ、モンセラート・アラベドラ / MONPOU LIVE
スペインの巨匠83才の神がかったピアノ自作自演。3曲目からスウィッチが入ったのか急に打鍵音が大きくなる。
新興レーベルMarchVivo第一弾。スペインのファン・マルク財団ホールで録音された音源をリリースするレーベル。今後も地方色が強いアルバムを期待している。

小林武史(vl)、ズデニェク・コシュラー指揮、ブルノ国立フィルハーモニー管弦楽団 / 伊福部昭 ヴァイオリン協奏曲第二番・世界初演
同じ曲を3パターン収録。ピアノリダクション版がずば抜けて素晴らしい。vlとpの鬼気迫る掛け合いに息を飲む。ボーナス・トラックでは伊福部の肉声で小林への祝辞が聞ける。乾杯三唱で締める編集が洒落ている。

エミルー・ハリス&ザ・ナッシュ・ランブラーズ / 「RAMBLE IN MUSIC CITY」
ザ・ナッシュ・ランブラーはフル・アコースティックのバンドで名手揃い。歌、演奏、録音、ミックス、音質、音圧と文句無い出来。
あんまり良かったので後追いで同じ顔合わせの「At the Ryman」もLPで購入。フォスター「ハード・タイムス」カバーが心に沁みた。

ジョニー・キャッシュ / AT THE CAROUSEL BALLROOM APRIL 24,1968
ジョニー・キャッシュがジューン・カーターと結婚した直後のライブ盤。幸せ一杯で絶好調の二人の歌が堪能出来る。

ベスト・リイシュー

ドゥドゥ・プクワナ / Diamond Express
南アフリカのサックス奏者の初ソロ作。バックには南アのミュージシャンだけで無くキース・ティペット、エルトン・ディーン、ニック・エバンスも参加しているモンゲジ・フェザ追悼盤。伸びやかなホット・ジャズ。
昨年7月27日にタワーレコード丸ビル店ジャズ・コーナーでこのアルバムが面出しでディスプレイされていて即ゲット。CD二枚組で一枚丸ごと未発表音源が3080円(税込)とお値打ちだった。
今年1月19日にこの店が閉店。同じフロアのレコードあんぐらぁも一蓮托生。どちらも良心的だったので喪失感が半端ない。23時まで営業していてJR利用者にとってはほろ酔いで帰り道に立ち寄れて便利だったのだが。