カレー屋店主の辛い呟き Vol.52「東京〜長野〜松本」
- 2022.04.05
- OSAKA
やっと「まん延防止等重点措置」なる、よくわかんない制度も終わり、当店でも、ようやくフルverの営業がスタート。でも、2年間の自粛を経て、飲みに行く習慣が無くなったお客さんも沢山。「時間が経てば戻ってくるやろ!」なんて、思えないのが実感。今までどーりじゃダメなんスよね、きっと。
飲食業界は、これからがホンマの正念場。ない頭フル稼働で、頑張っていかなあきませんな。
んで。ウクライナでは、未だ続く戦闘。なんとも、し難いけど。とりあえず、えーのん大量に持ってって、一服してる間だけでも、戦闘止まらんのかなぁとか考えてみたり。なんてーのは、平和ぼけした島国のアホの考えやけど、意外とそんなトコから平和って、続くんやなかろかね。始まってもーたもん、いきなり「はいヤメー!」って止まらんやろし。10分戦闘止めて。それを、1時間、1日、1ヶ月と伸ばして戦闘を止める作戦を、世界中が考えるコトが大事ちゃうかなと。まぁ、なんしか、国家みたいなモンを中心に考えると、何かとややこし。実際戦ってるのは、戦争するのを、決めたヤツらやなくて、普通に生活してた人達。どっちが勝っても、戦った人には恩恵なし。僕も、いきなり攻めてこられた当事者なら、ムカー!とりあえずイテまえーっとなるやろーけど。僕みたいなモン含め、今んとこ部外者やからこそ出来ることを、探さなあかんのと違うかね。ウラジミールと「トモダチ」ゆーてたアベちゃんも、1本電話して「とりあえず一回やめてみよか」と伝えてみたらどーすかね。ノーベル平和賞のビッグチャンスやで。
さて、みなさま。今月もこのコラムを読んでいただき、ありがとうございます。大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の「ふぁーにあ」と申します。もうそろそろ、桜の季節。皆様いかがお過ごしでしょーか?
今回は、先日出かけた東京〜長野〜松本の旅行のお話を。久しぶりに仕事で、東京に呼んでもらったので、せっかくならと土曜日を休み、3連休にして、東京経由長野行きの旅。同時期に東京と長野で行われてた、大好きな「江口寿史」先生の展覧会を、ハシゴしてきましたよ。
■「RECORD展」
朝イチで仕事の打ち合わせをして、向かった渋谷bunkamura。この展示会は、江口さんの今まで手掛けたジャケットアート作品を収録して、2020年4月に発売された画集「RECORD」の刊行を記念して開催されたモノ。僕も持ってるこの画集は、LPレコードサイズの大判印刷で、プラスチックのカバーを使って、イラストを変えながら部屋に飾れる、紙芝居型の画集。気分によって色々と入れ替えながら、家に飾っておりますよ。
会場内に入ると、画集のジャケットアート作品の大判展示を中心に、イラストの下絵やボツテイクの原画など約200点がズラリ。江口さんらしいカラフルでPOPな、作品世界が広がってて素敵。てか、彼が手掛けたジャケットは約30作。そもそもスゲーし、ジャケットアートだけで、展覧会が成立するアーティストさんって、なかなか居ないもんな。連載漫画家時代から、アーティストのパロディのキャラクターや、歌詞の引用とか、音楽との関係が深い作品を、ずっと発表し続けてきた江口先生。
そんな彼ならではの、展示会のコピー“この絵がもう音楽” そのままの、絵からいろんなジャンルの音が鳴ってるよーな展示でしたよ。
余談ですけど。10年ほど前に、僕がライブハウスをやっていた頃。何度かトークショーや、大喜利対決で江口先生に来てもらった打ち上げの席で、ゆーてライブハウスを経営する、僕やスタッフしか知らんよーなアーティストの話題で盛り上がる江口さんから、今も下北や吉祥寺のライブハウスに、フラリと行くって言葉を聞いて「こんな大人でありたいな」と思ったことがあったンスね。
時が経って、カレー屋となり、こんなご時世ってコトもあって、なかなか音楽の現場に足を運べないこの頃。この展示会を見て、そん時のコトを思い出して、今よりも、少し音楽への距離感をグッと縮めたくなりました。
→2002年にテープの形で発売されたnujabesのmixtape
その後、何年かぶりに宇田川の街を、レコード屋さんに立ち寄りながら、プラプラと散歩。なんか久しぶりすぎたのか、江口先生の展示会を見たからなのか、単純に歳いったからなのか。知らんけど。昔のコトを思い出し、妙にエモくなり、かけるnujabesのmixtape。多分人生で一番聴いたmixなんスね。これ。20年経った今でも、渋谷の街にシックリ。ビルや、店の風景は変わっても、音楽は時間を越えるんですな。んで、先ほど見た「RECORD展」の光景。若い女の子達が、展示会の看板の前でポーズ。彼女達が、生まれる前に書かれたイラストを、一点一点興味深々見る顔つき。もちろん無料の展示会ってコトもあるんやろーけど。長年自分が好きやったモノが、地続きで繋がってる気がして、渋谷の街を彷徨きながら、なんか嬉しくなったなぁ。
■「彼女展」
長野に移動して、間に合いそーやったので、翌日行こうと思ってた「彼女展」に。結局、翌日も行ったけど。前に、この展示会に行ったのは、コロナ前の金沢なんで3年ぶり。この展示会は、「すすめ!!パイレーツ」(77年)の時代から、現在までの、女性の美しさを、果てなく追い求めた江口寿史45年の軌跡を、約400点のイラストで紹介するってモノ。撮影自由な会場の中は、江口さんが描くキュートでクールな「女の子」で埋め尽くされてマス。江口さん曰く「ブランドの服を着た女の子より、ちょいダサの女の子を描くのが好き」ってコトらしいけど、やっぱオシャレやし圧巻。
現代の美人画イラストのジャンルにおいて、彼の影響を受けてないアーティストって、ほぼいないと言ってもいいぐらいの巨匠になっても、未だに江口さんの書くイラストは軽やか。んで、東京の「RECORD展」でも感じたけど、描かれる女の子のファッションや小物、背景や構図によって、時代の空気感がガッチリ感じられるトコが好き。ちゃんと「彼女達」がそこに存在してる。可愛い、綺麗だけの美人画やなくて、なんてーか浮世絵なんよな。
その後は、長野の街へ。江口さんのこの彼女展が、長野に来た目的やったけど、キッカケでもあり。普段なかなか行かない街を、ブラブラするのが最大の目的。地方であるライブや展示会ってキッカケ作りとしては最適やと思う。めちゃめちゃ渋い映画館を見つけて、上映してたのが「ジギースターダスト」。旅先の渋い映画館で見る、25歳のデヴィッド・ボウイ。なんだか、偶然やけど、必然のよーな。マジ刺さりマシタ。
■松本
翌日は、松本に移動。いろんな方面の人から「松本オモロいで!」って聞いて、ゆっくり立ち寄ってみたっス。以前に来た時は、お城しか見なかったからなー。滞在は24hほどやったけど、なんてーか、一言でゆーとメッチャいい街。山の近さ、澄んだ空気、城下町ならではの、京都や金沢にも近いよーな、街の成り立ち方。んでね、あちらこちらに、オシャレさ極まりないスペシャリティ系カフェ。山ほどある、オーセンティックなBAR。色々とハシゴしながら、猛スピードでシェアサイクルを飛ばして、信じれんくらい遊んだ丸1日。
「いい街には、いいレコード屋がある」って持論どーり、「BEATNIKS」(写真中下)では、店内を埋め尽くす山積みの段ボールの中から、これぞ定番なレコードを数枚、大阪では考えれんくらい安価でdig出来たし。「MARKING RECORD」(写真右下https://markingrecords.com/)さんでは、これまた信じられないぐらい尖った品揃えに、マジでビビったなぁ。アメリカや、ヨーロッパ、世界各国のインディー・レーベルから届いたレコードが沢山で、ほぼ聴いたことないアーティストさんばっか。時間があれば聞くなり、聴くなりしたんやろーけど。必ず、再訪したいお店やし、こんなお店に通えてボチボチ話が出来る、松本の皆さんって羨ましいなーと。
そして、フラッと入ったdiy丸出しのギャラリーで行われてた個展で、ina takayuki(@ina_takayuki)さんってゆー素敵なアーティストさんを知り(写真左)、行ってみたかったライブスペースGive me little more(写真右上 http://givemelittlemore.blogspot.com/)で聴いたアンビエントフォークのイベントも良かったな。りんご音楽祭主催のdj sleeper君がやってる、瓦レコード(写真中上 @kawara_record)には、酔いすぎて少しの間しか居れなかったけど、すげーいい空気が流れてマシタ。ほんと、独自のカルチャーが根付いてる街。近々、必ずまた松本には、行くことになるやろーな。
なんか、江口寿史さんに導かれるよーに行った東京〜長野〜松本の旅。それぞれの街で色んな人と出会い、色んなコトやモノに惹かれた2泊3日。籠もるより、街に出たほーが、やっぱ楽しいなーと。
次はいつ旅しよか?と考えながらも、帰るべきHOMEがあるありがたさ。松本で感じた居心地の良さみたいなモンを、HOMEである大阪上本町でも作れたらえーなと。さぁ何から始めましょかね。
今回はこのあたりで。
ホイミカレーとアイカナバル / 店主ふぁにあ
〒543-0031 大阪府大阪市天王寺区石ケ辻町3−13
ホイミカレー:毎週火木金12:00-売り切れ次第終了 アイカナバル:月—土18:00-23:00