シロート・クロート・グレーゾーン Vol.28

知らぬ間に11月か。あと2ヵ月で今年も終わりだ。子供がどんどんと大きくなっていく様をみるに、時間が早く過ぎていくなー、時の流れが早いなー、と言うよりかはどんどんと寿命が削られていく感じがするな。江頭です。

今年も無事に年越しができそうなので、ホッとしております。まだ振り返るには早いタイミングですが、2020年から始まったコロナ禍もついに3年目に突入。アメリカやヨーロッパに行った友人が言うには「誰もマスクしていないよ」。コレはどうしたものでしょうか。政府は「屋外は原則マスク必要なし」なんて言いますけど、先日の子供の運動会では観覧中の子供達は全員マスクをしていました。さすがに競技前にはマスクを外してから競技に臨むのですが、競技中の子供達の顔をみて驚いた。ほとんどの子供達に日焼けのマスク跡がくっきりついているんですね…残念です。我が息子たちにはマスク跡がついていないのですが、コレはどうやらサッカーチームに入っているおかげで、サッカー中はマスクしないですから普段のマスク日焼け跡の部分に上塗りで日焼けしてなんとなく馴染んでいるのでしょう。

それにしてもマスクはそろそろエエんとちゃうかな。風邪をひいてゴホゴホしている病気の人が周りの人のことを気づかってマスクをする。昔はこんな感じとちゃいましたっけ?政府が「マスクはもう必要ありません。マスクするな」って断言しても、まだ皆マスクするでしょうね。たぶん。最近、流行りの「マスク外したらポイントをプレゼント」とかにしたらエエんとちゃいますかね?しらんけど。国葬以来、総理大臣の支持率はダダ下がりしてますけど、国民のマスクを見事に外すことが出来たら、少なくとも私は支持してもよいです。

その点、中間選挙を見据えて、露骨に人気取り対策をするのが合衆国大統領ジョー・バイデン。意識がボヤけ気味の爺かと思っていましたが、クリアでポップな人気取りカードを切りました。「大麻の単純所持で連邦法に違反し、有罪判決を受けた人全員に恩赦を与える」との発表で犯罪履歴も帳消しすると。ただ連邦法の違反で単純所持だけで連邦刑務所に収監されている人は現在いないらしく、ほとんどの大麻絡みの有罪判決は州法違反者なので今回の措置で実際に恩恵を受ける人は比較的少ないのでは?とニュースでみましたけど。まぁ人気獲得のメッセージとしては、わかりやすいですよね。日本もゴニョゴニョと国内の旅行支援がどうのこうのとチマチマ言わずに、世界がビビるような対策をドーンとポップに打ち出せないもんですかね。クソ円安なので、どんどん来日してもらってバンバンお金をつかってもらいましょう。時流に乗ってもらいたいものです。 さて先日、ここのコラムでも書いていらっしゃる“ふぁーにあ”さんのカレー屋&バーにお酒を飲みにお邪魔したところ、何やら店内のモニターでYouTubeを見ながら常連さん達が盛り上がっている模様でして、よくよく映像をみますと、モトリークルー(MÖTLEY CRÜE)のMVやライブ映像をみてらっしゃるご様子でして、例のドラムが縦回転しながらプレイするトミー・リーの映像なんかで盛り上がっていたわけですね。80年代のヘビーメタル全盛期を知らないお客さんもいるわけで、当時を知る人なんかがこのバンドの凄さを解説されていたわけです。私も負けじとエピソードトークを会話に投げ込んでやろうと、パンテラ(PANTERA)のフィリップ・アンセルモが楽屋でバリカン持って、先輩バンドであるモトリークルーのトミー・リーに「トミーも丸坊主にしようぜ!」なんてしつこく口説いてトミー・リーもしつこい口説きに応じて「オーイエェー!ファーック!」なんて叫びながら丸坊主になった有名な話、知ってますか?というエピソードを語ったところ、全員が知らないと…それどころかパンテラも名前は聞いたことあるけど、詳しくは知らないと…オー!ファーック!なんってこった。パンテラ知らんのっすか!あまりにショッキングな出来事なので今回はパンテラの紹介をします。

ビデオからスクショしました。画質悪いですが丸坊主した後に喜びを分かち合う(左)フィリップ・アンセルモと(右)トミー・リー

パンテラはアメリカのヘビーメタルバンドでドラムのヴィニー・ポールとギターのダイムバッグ・ダレルの兄弟によって結成され、後にベースのレックス・ブラウンが加入します。インディーズの初期の頃に数枚アルバムをリリースしていますが、そのあたりの頃はヴォーカルも別人で全然違うスタイルで、鳴かず飛ばずのダサいヘビーメタルバンドでしたが、ヴォーカルのメンバーチェンジによりフィリップ・アンセルモが加入したことによって、徐々にスタイルが変化していきます。

スラッシュメタル的なアプローチは確立されていますが、後にトレードマークとなっていくカッチカチに固いドラムとグルービーなザクザクなギターリフとハードコアバンド的なドスの効いたボーカルスタイルはまだまだなのですが、アルバムCowboys From Hell』で注目を浴びていきます。まだヴォーカルは丸坊主ではありませんが。

PANTERA / Cowboys From Hell

Cowboys From Hellの頃はフィル(フィリップ・アンセルモ)もまだハイトーンボイスですね。メジャー契約してからの2枚目のアルバム『Vulgar Display of Power』でシーンをひっくり返します。確かこのWalkという曲で炸裂したのだと思います。このアルバムでフィルは完全に丸坊主になっています。この曲は今聴いても破壊力抜群ですが、当時キッズの私は『BURRN!』なんかを貪り読んでおりましたが、大御所ヘビーメタルバンドのインタビューなんかでもとにかくパンテラを絶賛しているのをよく読んだ気がする。世の中的にはニルバーナのアルバム『NEVERMIND』が凄い事になっていて、グランジブームの真っただ中だったと思いますけど、パンテラは斜陽産業化が始まっていたヘビーメタル界における希望の星だったのでしょうか?そんな印象でした。

PANTERA / Walk

そう、先述しましたモトリークルーのトミー・リーを丸坊主にしたのもこのアルバムの頃で、リリースされたパンテラのVHS ビデオにその問題の丸坊主シーンの映像が挿入されていたと思います。VHSって…知らんやろなー若者は。このアルバム以降の流れとしては、ヘビーメタルとかじゃなくて、パワーメタルとかラウドロックとかなんとかそんな呼び名が出てきたような記憶ですけど、あまり呼称問題に触れると、この界隈特有のジャンル分類学者の方々にご指摘を受けますので割愛します。

PANTERA / Mouth For War

メジャー3作品目の『FAR BEYOND DRIVEN』このリリースの時のジャパンツアーは私まだ十代でしたけど、チケット買って行きました。大阪厚生年金会館でした。当時はあまり来日公演の仕組みもよくわかってなくて、厚年の前の新町北公園に出没しているバッタもんの露店でパンテラのバンダナをオフィシャルと騙されて買ったな…。もうこのあたりの時代になると、ラウドミュージック的な枠にはミクスチャー・バンドとかが沢山いて、ヘビーメタル的な感じのものはほぼ絶滅危惧種だったと思う。ただパンテラは何かのインタビューで「世界の中でめちゃくちゃダサいとされているヘビーメタルをやってるぜ!マザーファッカー!」とか言うてたな。渋すぎる。

PANTERA / I’m Broken

以降アルバムが2枚リリースされます。個人的な感覚ですが、以降のアルバムは少し停滞していく感じで、下り坂になっていった印象です。バンド内でのギクシャクもあり、ヴォーカルのフィルが自身のサイドプロジェクトのバンド、ダウン(DOWN)などに力を注ぐようになり、2003年にバンドは解散に至る。その後ヴィニー・ポールとダイムバッグ・ダレルの兄弟はダメージプラン(DAMAGEPLAN)を結成するも、翌年2004年にダイムバッグ・ダレルがライブパフォーマンス中にパンテラ解散の原因はダレルにあると思い込んだファンによって射殺されるという悲劇がおこった。2018年にはヴィニー・ポールも病死してしまう。フィルは現在もDOWNで活動継続。一時は元パンテラのベース、レックス・ブラウンも参加していたが現在は脱退している。

DOWN / Eyes Of The South

そして、今年の夏に発表されましたけど、オリジナルメンバーのフィリップ・アンセルモとレックス・ブラウンが中心となって、なんとまさかのパンテラが再結成される!熱すぎる!長い時を超えての再結成。日本来るかな…

今月も読んでいただきありがとうございました。

江頭 善史