カレー屋店主の辛い呟き Vol.70 「Viva!天下茶屋」
- 2023.12.31
- 未分類
皆様こんにちは! 大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の「ふぁーにあ」と申します。今月もこのコラムを、読んでいただきありがとうございます。
個人的な話なんスけど。脳梗塞になって約半年経ち、通常の日常生活が遅れるよーになってきた昨今。街をブラブラして、ちょい飲み、ちょい食いなんて機会も増えてきました。夜は店があるので、呑みに行くのは、ランチ営業しない平日昼間。夜の営業までの、この数時間の息抜きが意外といーんスよ。梅田の2ビル3ビル、京橋、天満、難波。いろんなエリアをチョロチョロと動いておりますが、生まれ故郷ってこともあって、一番落ち着くのは西成〜天下茶屋のエリア。その中でも、僕のスマホの中の写真ホルダーを見ると、天下茶屋のお店が多いよーな。今回はそんな僕の主戦場の、このエリアのよく行く店を、1日のツアー仕立てでご紹介してみましょーか。大阪の下町の名店達、いいお店ばっかなんよ。
阪堺線(通称チン電)の北天下茶屋の駅のホームにあるのが、「コーヒールンバ」(写真左、中)。なんの変哲もない喫茶店やけど、モーニングが安くてうまい。喫煙者である僕は滅多に選ばない禁煙のお店で、天下茶屋の純喫茶は、ほぼ喫煙店が多いのだけど、ドアから見えるチン電の景色が好きで、選んでしまう朝9時。ほんと風情があるんスわ。寝起きのコーヒーをいただき、スポーツ新聞を熟読して小一時間。向かうのは、この店から徒歩10秒の名角打ちの名店「桝屋酒店」(写真右)。僕はこの店が、大阪の角打ちではかなりの上位店、なんやったらベスト1と思うんスわ。マスターママさん常連さんのその佇まい。店頭で買う缶チューハイ、ハイリキ。んで、料理免許を持ってると噂の、マスターの作る料理も美味い。酒に合う濃い味の一品料理。凝ったものは、特にないけど。当たり前の料理が、普通にウマく、激安の値段で出てくる幸せ。西成中心部ほどヨレてないお客さん、ボチボチ話す世間話。緩やかに午前中の時間は過ぎていきます。
酔い覚ましに商店街のアーケードをくぐり、南海天下茶屋駅をこえ、さらに先の銀座商店街まで、街をぷらぷら。ここには長年通うマル屋という喫茶店があって、コーヒー160円。カレー250円という破壊的な値段で営業を続けてた。今は休業中で、名物のおっちゃんにも会えなくなったのやけど、その商店街入り口の「光食品」(写真左下)は健在。ウスターソースをかけた時に、最大限に力を発揮すると個人的に思うコロッケを購入、南海汐見橋線西天下茶屋駅の、1時間に数本しか来ない電車を眺めながら、読書してもいいし。もしくは、昼間から開いてる「玉水温泉」(写真左上)で、一度風呂に入って酒を抜いて第2ラウンドに向かうのもオツ。
んで、来た道を戻ると、立ち寄りたくなるのが、餃子の名店「大阪せんや」(写真右上下)。ベテランの大将が焼く餃子は、とても軽くて2人前がデフォルト。ニンニクがしっかり効いた薄皮餃子は、ビールがまた進むよな。カウンターだけの店で、気難しそうなオヤジやけど、ポツリポツリ話す会話の速度が心地良い。そんな昼下がりも悪くないっス。
ガッチリ腹が空いてる時は、「明洋軒」のカツ丼(写真上左右)か、「ラーメンハウス直ちゃん」の炒飯(写真下左右)をチョイス。僕は街中華のカツ丼がある店では、必ず一度はオーダーをするんやけど、ここのカツ丼も美味。ちょっとタヨんないうっすいカツの上に、中華あんがかかってるこのカツ丼。これぞB級の極みとゆーか、うっすいカツが故にご飯との相性も抜群やし、意外とサクサク感もあって中華あんとの相性もいい。大阪街中華のカツ丼ランキングでは上位の店舗。んで、直ちゃんの炒飯はギャロップ林のYouTubeの炒飯チャンネル(結構信頼してます)でも紹介された一皿で、なんの変哲もないただの炒飯やけど、バランスが神。申し訳ないけど、ラーメンは食ったことがないんで、他のメニューはわからんけど、きっとこの親父が作る料理は美味いと思う。それほど、塩味と化調とのバランス、火の入れ具合が最高。安い味(褒め言葉よ)やけど、美味い味の典型的一品やと思うな。
少し毛色が違う店なら、南海天下茶屋駅近くのおでん屋「マル米」(写真左右)はどうやろか。もう予約を入れないと、まず入れない超人気店になってしまったこの店。綺麗な四角いカウンターの中で、店員さん達が忙しなく動く、典型的おでん店なんやけど、入り口のドアを開いた瞬間から、店内に出汁の匂いが広がる幸せな空間。この感じで、もう美味いし期待が広がらん客はおらんはず。おでん一品一品も美味いし、みんなが最後に必ず〆に頼む「とうめし」に感動。出汁が染みまくった豆腐と、出汁と一緒に土鍋で炊いたご飯。出汁を入れてもらって、茶漬けにも出来るこの一品。ここ1、2年で一番感動した料理やし、一番びっくりした店かも、人気店になるのも当たり前ですわ。昼の12時から開いているので、とうめしのランチも1000円以内で食べれるけど、店内に漂う出汁の暴力に負けて、ついつい追加でおでんを注文、日本酒、ワインへと移行してしまう名店。必ず予約を取って、この店目当てに天下茶屋に行っても価値があるお店やと思うわ。
まだ余裕のある方は、隣駅の花園町まで、ぷらぷらと散歩してみるのもいいかも。そうすると大阪のド下町の路地に現れるのが、コーヒースタンド「COFFEE&ROASTER SUMMIT OF THE MOUN10」(写真上左右)「なんでこんな場所で??」と思う場所に佇むこのお店。僕も偶然見つけ、とりあえずと深煎りの「なにわブレンド」を頼んだら、これ僕好みで本当に美味い。そこからは、このエリアに行く時には必ず行くほどファンになったんよな。豆を挽いて、目の前でハンドドリップ。ザ下町の花園町の雑多な雰囲気に、漂うコーヒーの香りが、場違いな感もあり、でもマッチしてるよーでもあり、いつもオモロくなる。
そして夕方になったら、ここまで来るともう立ち寄るしかない、串カツの名店「ひげ勝」(写真下左右)へ。西成住民は、串カツといえば新世界やなくてここ。新鮮な食材に薄めの衣をつけて、串まで熱い程の高温で揚げた串カツは、どのネタもサクサクで美味。個人的には大阪NO1串カツは、ここやなぁと。人気店で、店頭に名前を書いて並ぶスタイルなんで、僕は開店時に合わせて行くか、列が並んでなければ運命と思い、腹がイマイチ減ってなくてもとりあえず入店。こんだけ美味いと、なかなか回転しないんですわ。チャンスがあれば、是非行ってみて。
さて今回は、僕のよく行く天下茶屋の名店を、何軒か紹介する茶を濁すよーな原稿となりましたがw、馴染みのないミナサンには、なんかの参考になりましたかね。意外と知られてない大阪の下町の天下茶屋。まだまだ、紹介してない場所も沢山。是非一度このエリアで飲んでみてはいかがですか? 今回はこのあたりで。