第78回 マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書) 野村泰紀(著)
- 2024.05.29
- KYOTO
音楽関係の本を紹介してなくってすいません。一応この連載はまだ翻訳されてない海外の面白い音楽本を紹介しようとやっているのですが、これは紹介したいと思えるアタリの本が少ないんです。
元パブリック・イメージ・リミテッド( PIL)のベースのジャー・ウォブルの自伝『ダーク・ルミノシティ メモリーズ・オブ・ア・ギーザー』など読んでいるんですけど、あまり面白くなかったんですよね。
ジャー・ウォブルはインタビューでは、バカ話をするのですけど、本にすると抑え気味なのかなと。この連載で紹介させてもらったハッピー・マンデーズのショーン・ライダーや元ジョイ・ディヴィジョン、元ニュー・オーダーのピーター・フックのような自伝にはならないのです。ジャー・ウォブルは中国人の奥さんと息子さんもいるし、あんまり正規の形でバカ話を残しとかないのかなと。ジャー・ウォブルの好きなエピソードはアル中になってしまって、とにかくお金が必要だということで、あのPILの傑作アルバム、ポスト・パンクの金字塔『メタル・ボックス』で弾いたあのオベーションのベースをプライマル・スクリームのメンバーに売る話です。プライマルとしたら、「これがあの低音を産んだ神器か」と興奮して、色々聞いてくるのですが、ジャー・ウォブルはそんなことよりもとにかくお金をゲットして酒を飲みに行きたいと思っているという話です。これお酒ということになっていますけど、ヘロインを買いに行きたいのでしょう。プライマルのメンバーにベースを見せている場所はパブなので、べつに普通にお酒はもう飲めているので。こういうバカ話が永遠と読めるのかなと思ったのですけど、それほどでもなかったです。
英語の本って読むのに時間かかるのです。日本語の本だと大体3日で読んじゃうのですが、英語の本だと1ヶ月近くかかってしまいます。英語の勉強だと思って読んでいるのでいいのですけど、どんどん月日が過ぎていってしまいます。
一応、毎月1冊は英語の本を読むように自分に義務付けています。
でも、もうAIで完全に同時通訳出来そうですね。Kindleの電子書籍なんて、一瞬にして訳本になったりするのかなと思ってます。たぶんもうあと2、3年ですよね。
すごい時代です。
途方に暮れてしまいます。こんな時代だから何がやりたいかといいますと、美しい自然だけを見ていたいなと思います。
誰もいない所で、夜空を見上げて、綺麗な星空を見ていると、本当に何もいらないなと思います。
だから早く竹富島とか、そんな人が少ないとこに住んでみたいなと思います。
そして、宇宙って、なんだろう、僕たちはどうしてこうやって生まれてきて、死んでいくのだろう、そして僕たちはこれからどうなっていくんだろうなって思います。
ちなみに僕らがどうやって生まれたかというと、スターダスト(死んだ星の屑)から生まれているのです。宇宙で生まれた恒星が死んでいないと、僕らを構成する物質は生まれていなかったのです。
神秘的です。
宇宙がまだ加速膨張していっているのも不思議ですよね。その膨張の先には一体何があるのか、知りたいです。
宇宙の向こうには何があるのか?
たぶん、AIは答えられないと思うのです。その答えを見つけるのって、人間だと思います。
SFの世界のようなマルチバース、多元宇宙というのが、どうも本当みたいなのです。
そして、どうも世界は4次元ではなく、11次元みたいなのです。
これらを解き明かすことによって、宇宙誕生の秘密が分かるそうです。そして、たぶんもうこの数十年後くらいで解き明かされるのじゃないかと言われています。
そんなことを解説してくださっているのが、理論物理学者の野村泰紀先生の『マルチバース宇宙論入門 私たちはなせ<この宇宙>にいるのか』です。
残念ながら野村先生の解説、YouTubeの方がもっと分かり易いですけどね。物理学の歴史を4回に分けて、4時間喋ったコンテンツがあるのですが、傑作ですよ。ニュートンの3つの法則とか、初めてちゃんと理解出来ました。林檎が落ちる話の意味も初めて分かりました。ニュートンが何を考えたかというと、林檎は落ちるのに、なぜ月は落ちてこないのか、いや月も林檎と同じように落ちて来ているのだ、でもなぜ月は落ちてこないという思考実験、面白過ぎます。だって、摩擦のない宇宙だと月はどんどん飛んでいってしまうはずなのに、行ってないって…… 慣性の法則ですよ、万有引力ですよ。『2001年宇宙の旅』とかちゃんとしたSF映画だと、ロケットは火を吹かずにスーと飛んでいくでしょ、一回だけ力を与えればそのまま動き続ける慣性の本則です。慣性の法則とは“止まり続けるものは止まり続け、動いているものは同じ速度で動き続ける”って言われても、僕らの目の前だと、そうなっているものってないじゃないですか。車はアクセル踏まないと止まるし。でも宇宙だとそうなるのです。慣性の法則って、宇宙での話だったのか!ガリレオ、コペルニクス、ニュートン、誰も宇宙に行ってない時に、こんな思考実験してなんて凄過ぎます。
野村先生の本読んで見てください。僕らと感覚が違いすぎるので、半分くらいしか理解出来ないのですが、でも分からなくって、読み続けることが、地球は丸いんだって肌で感じれるようになることだと思うのです。
デヴィッド・ボウイは「スペース・オディティ」で宇宙の孤独、恐怖をちゃんと歌にしました。これからのアーティストは野村先生の本をちゃんと読んで多元宇宙の本質、なぜ僕らは宇宙に生まれたのかをちゃんと問える歌を歌わないといけないと思うのです。