VOICE OF EDITOR Vol.11 「フジロックと経済 2」
- 2024.08.10
- OSAKA
巷では「8がけ社会」という言葉が様々な企業、果ては自衛隊の人材確保にまで影響を与えている。このままでは労働力、防衛力不足が決定的だ。2040年には国内の生産年齢人口(15歳〜64歳)が今より2割減るというリサーチ結果が出ているからだ。2024年から約1,160万人減少するらしい。って、他人事ではない。私たちも真けんに考えなければならないことなのだ。
16年後のフジロックはどうなっているんだろう。
2040年、日本はいよいよ高齢化が進み、20歳から60歳までの人口は2025年から約1,000万人減少し、5,542万人になる。フジロック 2025でその年齢層の0.04%に当たる1日26,000人の動員があったとすると、2040年には単純に22,168人になり約4000人減少するということだ。3日間開催するので延にすると16,000人減少することになる。逆に言うと、東京への流入人口によるブラックホール現象で2.4%しか現象しないということを差し引いても、2025年並みの動員が必要だとすると、主催者は延15,000人分の増員を目指すプロモーションをしなければならないという厳しい状況になると推測される。
さてどのようなマーケティングをするべきなのかを今のうちに検討し始めなければならないのだろう。
ほとんどがJ-POPゾーンにいるZ世代をいかに取り入れるのか。
現在「フジロッカーズ」と呼ばれている方のほとんどは40歳〜60歳代の年齢層である。2040年にはその方達が単純に56歳〜76歳になり、フジロック卒業時期を迎える世代が増大してくるのだ。フジロックが50周年になる2047年にはほとんどの現役フジロッカーズは卒業してしまうがが、記念すべき年なので戻って来てくれる可能性はある。
いずれにせよその下の世代を巻き込んでおかないとフジロックは終わってしまうのである。というか、このままでは音楽産業、特に洋楽を聴く層は滅びる運命にある。逆の見方をするなら、フジロックを現在の生産年齢人口の15歳〜25歳にとって、もっと魅力のあるフェスティバルに変身させなければならない。はて、どうしたものか、、、。
Z世代にとって「レトロ・ブーム」という現象はいったいどこから来ているのだろうか。単純にリバイバルというだけではないような気がする。何処かに「ゆったりしたい」という願望があるのではないだろうか。ゴダイゴの「ガンダーラ」の歌詞にあるように「そこに行けば、雁字搦めの日常から抜け出せる世界がある。」
フジロックは今まで「田舎へ行こう」や「アウトドア」などを中心に「不自由を楽しむ」ことを提案してきた。特に現役フジロッカーズはそのテーマに惹かれ、同調してきた世代だ。また若い世代の中にもそこを目指す層は少なからずいるはずだ。
そこで、敢えて「自由を求めて」「ユートピア」というテーマを提案するのはどうだろう。Z世代は「SDG’s」や「環境」「多様性」といった問題に興味があるという実態調査がある。
「チル消費」という言葉をお聞きになったことはあるだろうか。「のんびりする・まったりする・くつろぐ・心身をリラックスさせる・落ち着ける」とうい状態の中で過ごしたいという欲求が大きいというのだ。詳しくは下記リンクをご覧ください。
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/survey230522/
「Z世代の環境意識とチル消費に関する実態調査」(チューリッヒ保険会社)
それならフジロックが現在行っている、自然のなかでボードウォークやキッズランドを中心とした異世界を感じさせるプロモーションの方向性は間違ってはいない。そこに必要なのは夢やロマンのあるストーリーではないだろうか。
ドラゴンドラに乗ってDAY DREAMINGエリアに行けば静かでゆったりと過ごせるユートピアが現れる。中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」という曲のように「非力な僕」はまさしくドラゴンドラ=龍に乗って「まだ見ぬ世界」へと向かう。「まだ見ぬ世界」のコンセプトはチル消費ができるユートピアだ。このようなインフラはフジロック にしかない。大自然の中でロックを聴き、AVALON FIELDのアトミック・カフェで環境問題や多様性を考え、銀の龍の背に乗ってでユートピアを目指す。
ではでは〜
つづく