実録 関西パンク反逆の軌跡 Vol.22

今年3月1日に「XTC/LONDON 1979」がCDリリースされた。
XTCの1979年9月17日レインボー・シアターでのコンサートを完全収録、「Beatown」から始まるセットリストは約1ヵ月前のXTC最初で最後の来日ツアーと同じ様なので購入。


聴いていると私が観た8月22日京都大学西部講堂のWORLD NEW WAVE CIRCUSが蘇って来た…。



XTCは西部講堂でのパンク/ニューウェイヴ系海外アーティストとしては1979年2月15日ストラングラーズ、同年7月21日トーキング・ヘッズに続いて3組目。
ストラングラーズの時はリザードが、トーキング・ヘッズではS-KENと日本のバンドがゲスト出演していた。
今回は国内バンドがメインでXTCがスペシャル・ゲスト扱い。共演はアーント・サリー、P-MODEL、リザード。
最初のチラシでは西部講堂前野外特別ステージで開催と告知されていたが西部講堂内に変更。


西部講堂には冷暖房設備が無い。チラシに「少しでも、涼しくする為、対策を考えております」と記載されていた。
炎天下の昼下がりに入場すると氷柱が何本も立てられていた。やってます感はあったものの冷房効果はみられず焼け石に水。苦笑するしか無かった。
XTC曲間のMCでアンディ・パートリッジが「It’s warm here!」。hotと表現しなかったのは彼等ならではのユーモアだったのだろうか?



アーント・サリー
情報誌に8月12日磔磔でアーント・サリー、SSのスケジュールが掲載された。ところが当日観に行くと前者はドラマー脱退、後者は解散でライブは中止。
アーント・サリーのライブは6月2日京大西部講堂でのクロスノイズNo.0以来で新ドラマー参加後初。
彼女達の歌詞や曲調は暗めで聴き手を突き放す様な歌い方や演奏をする。灼熱の西部講堂で観るダウナーなライブは白日夢の様だった。



P-MODEL
7月25日にワーナーパイオニアからシングル「美術館であった人だろc/wサンシャイン・シティー」でレコード・デビュー。私は寡聞にして知らず全く予備知識の無い状態でライブに臨んだ。
「シャンシャイン・シティー!」の掛け声で1曲目が始まりイントロのブレイクでベーシストがギタリストの肩に触ると鍵盤奏者がすかさずピピピーと合いの手を鳴らす展開に度肝を抜かれた。ベーシストのもみあげの無い髪型、いわゆるテクノ・カットの観客も既に散見された。
8月25日1stアルバム「イン・ア・モデル・ルーム」発売。順風満帆のはずが9月14日サーカス&サーカスでのライブで前座の変身キリンはアンコールが掛かったがP-MODELには無し。既に飽きられているムード。私も2度目で冷静に観ると当時の流行最先端の音楽のええとこ取りであざとい印象を受けた。



リザード
7月19日〜8月9日に渡英。ロンドンで1stアルバム録音とライブハウス数か所に出演。帰国後初のライブ。揃いの黒いつなぎを既に着ていたのかどうかは覚えていない。最早ホーム感のある西部講堂、熱演だった。


XTC
1979年1月にバリー・アンドリュース(k)が脱退、3月5日にデイブ・グレゴリー(g)が加入。
8月5日に新編成による来日記念シングル「ライフ・アット・ザ・ホップ」発売。3rdアルバム「ドラムス&ワイヤーズ」は8月17日にイギリスでリリース、日本盤は9月25日発売。

70年代のロック・キーボードの主流はハモンドC-3だった。重厚なサウンドが当時流行のハード・ロックやプログレッシブ・ロックに合っていたからだ。
XTCは1977年デビュー、チープな音色のコンボオルガンが縦乗りの性急なビートに乗せて暴れまくるスタイルで売り出す。パンク・ムーブメントのさなかにサウンドでオールドウェイブとの差別化を図り脚光を浴びた。
私はバンドの中心人物はバリー・アンドリュースと思うていたので彼の脱退には驚いた。鍵盤奏者が抜けてギタリストが加入するのだから既存曲のイメージも変わるだろう。期待と一抹の不安を覚えつつ来日公演を迎えた。
ギタリストが2人共レスポールを弾いていたのは意外だった。このモデルのエレキ2台の組み合わせはオールマン・ブラザーズ・バンドやハンブル・パイのブルージーなロックバンドを連想させたからだ。


不安も束の間、新加入のデイブがバンドの触媒の役目を見事に果たし演奏はバリー在籍時よりこなれていた。アンディ・パートリッジの躁状態のボーカル、ジャジーなギター・ソロ、エッジーでトレブリーなサイド・ワーク、コリン・モールディングの素っ頓狂なコーラスと不思議なベースライン、テリー・チェンバースのタイトだがアクセントを遅らせた独創的なドラミングがよりバランス良く際立っていた。


「Roads Gardle The Glove」では終盤に演奏がブレイクしてアンディが曲名を叫びまた演奏がガーンと一斉に始まる。そのタイミングでフロント3人が左足を上げて四股よろしく揃い踏みするのが印象的だった。
中盤の「Battery Brides」でデイブがオルガンを演奏。
聴き覚えの無い曲が多いと思うたが「LONDON 1979」で確認するとニューアルバムから6曲も演奏していた。



私はXTCのアルバムでは「ドラムス&ワイヤーズ」が1番愛着がある。ライブを観たのと生演奏の勢いとスタジオ・ワークが拮抗しているのが理由。以前のアルバムは録音が安っぽい。以後のは音を作り過ぎ。
82年2月12日本国リリースの5thアルバム「イングリッシュ・セトルメンツ」は曲は良いがクリックに合わせて叩くドラムに覇気が無いと思うていた。次作で案の定テリー・チェンバースは脱退。以後XTCはライブ活動を止めスタジオでのアルバム制作に専念。



こうして思い返してみるとあの頃は音楽シーンの移り変わりが激しい時代やったなぁ。



さてバンパイヤは1979年に京都大学軽音楽部で結成されたニューウェイヴ変拍子ファンク・トリオ。XTCやP-MODELから多大な影響を受けている。彼等の結成45周年記念ライブが2024年9月16日(敬老の日)に拾得で開催される。



VAMPIRE!結成45周年@拾得
ゲスト/津山篤&長野友美トラッドソング・デュオ
バンパイヤはオリジナル・メンバーのワダ・ザ・バンパイヤ!(g,vo)&バーシ(drm)にクリモトを(b)加えた現在形とマリコ・ザ・ライオン(b)参加のバンパイヤ1984の2パターンで登場。
9月16日(月祝)17時開場 19時開演
入場料(飲食代別)予約2000円 当日2500円
ご予約は拾得e-mail jittoku@hotmail.co.jp