VOICE OF EDITOR Vol.12 「フジロックと経済 番外編」

OASISの再結成?とイギリスでのライブが発表された。最前のピッチでの料金は135ポンド(約25,000円)だというからそれほど高くない。しかし、これによる経済効果は莫大なものになるだろう。チケット売上だけではなく、世界各国からの航空運賃、宿泊費、フード産業、、、、。そして日本には、、、、?

フジロックを経済とそれを取り巻く社会現象から見てきた。現在フジロックや音楽産業の置かれている位置が大体わかっていただけたと思う。

今回はフジロックへの電車を乗り継いで半日以上かけて向かう方法を自身で試してみた。どうせ最終的には越後湯沢を目指すのだから乗り継ぎを楽しみながら、のんびりと時間をかけて旅をした。こんな方法があることをここで紹介するだけではなく体験することにしたのだ。

朝5時起床。いつもはゆっくりコーヒーをドリップして飲むのだが、6時には自宅を出発しないと6時57分発のぞみ204号に間に合わない。おにぎり2個と水をかって新幹線に乗り込んだ。東京経由で9時40分発のやまびこ55号郡山に向かう。

その間にこの日初めてのコーヒーをゲットし車中でほっこりする。福島県にはいわき市に2度来たことがあるが郡山は初めてだ。ゆっくりしたかったけど17分の乗り換え時間の後、在来線の磐越西線に乗り換え人生初の会津若松まで76分の旅。今回大きな目標である「只見線」が出発する13時05分まで35分あるので駅にある土産物屋さんや会津若松駅の外観を観察する。

せっかくだから名物料理を食べるかと思ったが、立ち食い蕎麦屋でかき揚げそばで済ませ、磐越西線のホームへ歩を進めた。こんなゆったりとした旅は久しぶりのことなので心が弾む。

いよいよ本命の只見線。

指定席はない。各駅停車の2両編成によるワンマンカーだ。白のラインと明るい緑が印象的なキハE120-6という比較的新しいタイプの車両で、進行方向に向かって左側に1人用の座席と右側に4人対面の座席、そして窓側を背にした6人掛けの座席が向き合う。ずいぶん時間がたってから気付いたんだけど、安心あれトイレ付きです。

終点の新潟県、小出までは約4時間40分。部活を終えた高校生達も乗り込んでくるあたりは観光だけではなく市民の足としても機能している。市街地を抜けると視界に田園風景が広がり、いよいよ深い杉林に入っていく。進行方向に雄大な磐梯山が見えてきた。

線路は深緑の中をジグザクの只見川を見下ろしながら何回も鉄橋を越えて走る。

そりゃあ秋の紅葉の季節や冬の雪景色だったら申し分ない景色だろう。「六角精児の呑み鉄本線・日本旅」のように一杯やりながらそんな景色を楽しむのもいいな、とかぼんやり考えながらガタンゴトンというミニマル・サウンドをバックに時間を過ごす。

途中歴史の深さを感じる「会津宮下駅」の案内板を発見。見入ってしまう。

福島県の最後の駅「只見駅」では30分停車する。駅の外にはいきなりレトロな世界があった。

お母さんが1人で店番をしていた「PARLOR & BAKERY」というお店であんパンとソフトクリームを買った。少し疲れてきた身体にこの甘さが身に染みた。

駅舎にある郵便局の軒下に燕の巣があった。駅のそばを流れる只見川の川面に獲物を狙う燕が飛び交う。獲物をゲットしたらあの巣に戻りピーピーと鳴く燕の雛に口移しで食べさせてあげるんだろうなと想像した。

只見駅を出発するとすぐにコシヒカリで有名な新潟県魚沼市に入る。1時間ほどでまだムッとした暑さが残る終着の小出駅に着いた。

18時31分発の上越線「越後中里」行きの列車が発車する頃には辺りは暗くなっていた。越後湯沢には19時13分着。フジロック期間であればシャトルバスがあるので心配はいらないが、苗場プリンス行きの路線バスや定期便はもうない。同僚と連絡をとり越後湯沢まで買い出しに来ていた車でピックアップしてもらうことにしていた。ちょうど越後湯沢に到着した別便の車とも合流して晩ご飯をとり、この1週間を過ごすための買い物をして、国道17号線で苗場に向かった。

なんと贅沢な時間を過ごせたのだろう。1年に一度くらいはこんな時間があってもいいと思った。大阪からの費用は22,750円とお値打ち価格だ。さて、来年は越後湯沢までどんなルートで旅を楽しもうかな?

つづく