VOICE OF EDITOR Vol.13 続々フジロックと経済

石破茂氏が高市早苗氏との決選投票の末僅差で自民党総裁に就いた。そこまでは良かった。どちらにもそんなに高い期待を持ってなかったのだが、これまで「アベノミクス」に批判的だった石破氏になって金融緩和政策といよいよおさらば出来ると思い込んでいただけに、岸田文雄前総理を引継ぎ「デフレ脱却」などと政見放送なんかで声高に叫ばれると裏切られた感を否めない。

おかげでせっかく1ドル140円くらいに収まっていた為替相場がいきなり150円まで円安に振れた。一体どういうつもりで「デフレ脱却」という言葉を発するのか詳しく聞いてみたいものだ。デフレとは物価下落が続くことを指す。彼もまた我々とは違う世界に住む金に糸目をつけない「政治家」だったということか。その昔デフレ時代に100円で買えたマクドナルドのハンバーガーも250円の吉野家の牛丼並も今はもう消えた。気候変動が原因なのか、野菜の価格が高騰しトマトは今までの2倍、一個198円まで値上がりした。物価高に賃金が追いつくまでを「デフレ脱却」というのであれば納得もするが、金融引締めに向かっていた日銀も梯子を外された格好だ。

そんなわけで昨日の衆議院議員解散総選挙は直前までテンションが上がらないまま自民公明過半数割れを期待した投票を済ませて来た。

さて、今年のフジロックはいかがでしたか?

公式動員数は前夜祭も併せた4日間で96,000人。この数字は昨年の114,000人から20,000人減少したことになる。いくら「8掛け社会」という言葉が流行っていると言ってもそれは2040年に向けての予測なのでそこには当てはまらない。

主な原因として「チケット代の値上げ」が指摘されている。3日間通しチケットが約60,000円となり来場を諦めた人が多いという。フジロック はいよいよ富裕層のためのロックフェスティバルになった感がある。実際かなり高額なフジロック最奥にあるキャンプビレッジの利用者はインバウンド系の富裕層が多いと聞く。

今後少子高齢化が進み、生産年齢層が減少する今、大手企業だけではなく中小零細企業においても賃金アップができるだけの生産力を持った日本経済を支える政策を持った政権の誕生が待たれる。

果たして今回の総選挙の結果を受けたこれからの政権はその方向に舵を切れるのだろうか。 そういう意味において、野党の責任は重いものになる。多くある課題の中で小さなひとつかもしれないが、1997年以来行われて来たフジロックを今後続けて行けるかどうかがかかっているのだ。「音楽に政治を持ち込むな!」とする意見が的を射ていないことは明らかである。 

それではまた、、、。