VOICE OF EDITER Vol.15

ウクライナの行く末

フジロック2025の第1弾発表は概ね好評だったようだ。

皆さんの推しはどのアーティストですか?

今回から、ふぁーにゃ「カレー屋店主の辛い呟き」が帰って来た。早いものでこのコラム編集を始めて今月で7年目を迎えることができた。コラムニストの入れ替わりはあったが、ここまで続けてこられたのは素直に嬉しいし、寄稿していただいて来た歴代コラミニストの方には只々感謝しかない。

先日、映画「ヒプノシス レコードジャケットの美学」を観て来た。「ヒプノシス」と聞いても若い人は「何のこっちゃ?」と思うかもしれないが、1960年代、ロンドンに現れたアート集団のことである。彼ら(主にストーム・トーガソンとオーブリー・パウエル)はピンク・フロイドのレコード・ジャケットのデザインを手掛け、その作品が高い評価を受けたことで名声を馳せ、その後多数のアーティストから依頼を受けることになる。レッド・ツェッパリン、10cc、ジェネシス、ピーター・ガブリエルetc,,,。

10cc/Deceptire Bends(1977)

生憎シュールレアリスムが何たるかってことに疎いのでパンフレットに書いてあったことに「なるほど」と大きく頷くことしかできないが、ヒプノシス自体の活動形態や成り立ちの方に興味の矛先が向いた。個人個人が感性の赴くままにデザインのテーマを決めて突き進む様子や、やりたいことを貫く活動姿勢と経済事情のバランス感覚などを憧憬の眼差しでスクリーンの中の眩しい景色を見ていた。果たして自分はそんな生き方をして来たか、、、。と考えさせられる深い内容のドキュメンタリーであった。

そんなアナログ・レコードが壁一面に並ぶ大阪南堀江4丁目のカフェ、WESTSIDE314にて隔月(もう一ヶ所日本橋Galleyでの開催もあり)で行っている「FUJIROCKERS BAR IN OSAKA」の存在はご存知だろうか?ここに寄稿も始めてくれたfujirockers_orgの一員である三浦氏が主催するDJイベントだ。このイベントに集まる方達が持ち寄る貴重な音源を聴くことができ、いろんな情報交換の「場」としてWESTSIDE 314の前身であるカフェバー、bigcake時代から綿々と続く。fuji rockers_orgの主宰者である花房氏も7インチシングルを携え岡山から駆けつけてくれることもある。興味のある方はそれぞれが紹介したい音源を持参の上ご参加ください。あっ、ただ聴くだけでも、お酒を飲んでお話しするだけでも構いませんのでお気軽にどうぞ!

https://www.instagram.com/fujirockers_org/p/DGn0YIfTEN4/

https://www.instagram.com/p/DCam_Egzttz/

そして近いうちに「smashwest.com」によるイベントの開催も同じ場所で考えているのでご期待ください。私たちの「推し」音や本を紹介するイベントにしたいと思います。そうだ、ヒプノシスによるデザインのアルバム・ジャケットを面出しでディスプレイしてみるのもいいかも。

そんなクリエイティブなことを考えていた週末のニュース。

トランプ大統領が打ち出す「ロシア・ウクライナ和平会談」がバラエティーショーとして演出されたかのように行われた。普通は「密約」もありありの非公開で行われるとこなんだろうけど、さすがトランプ大統領、劇場型政治の典型的な見せ方、もしくは「プロレス的討論会」にしたようだ。アウェーに出てきただけでも譲歩の姿勢を見せるウクライナのゼレンスキー大統領は一人ヒール役のトランプと対した。リングの外にはバンス副大統領というセコンドがいて反則スレスレとなるトランプのサポートまでしていた。ゼレンスキーの一発逆転技を見てストレス解消したいものだ。

トランプやバンスから「アメリカへの感謝が足りない」とか「お前はカードを持っていない」とかまるでリングサイドでパイプ椅子攻撃を受けるように言われ放題のゼレンスキーはよく耐えて「安全保障のない停戦協定などあり得ない」と啖呵を切りこの和平会談は決裂した。当たり前だが、こんな案に乗ってしまえばこの3年間で亡くなった多くのウクライナの方々や遺族を前にして胸を張って立てるわけがない。ウクライナの東部最前線で戦う兵士たちの士気が下がっている現状を考えれば大多数の方は一刻も早く停戦に持ち込みたいはずだが、この3年を無意味と化してしまうわけにはいかないゼレンスキーの立場を考えると彼には「よくやった!」と声をかけるしかない。アメリカの勝手な正義を振りかざし、押し売りさながらの姿勢から「和平」のビジョンなど見ることはできない。

私たちは早い段階で「命が守られる」状況になることを祈ることしかできない。ウクライナの行末はまだまだ暗いトンネルを抜け出せず厳しい状況だ。そしてゼレンスキーがアメリカに現実を突きつけられたことは紛れもない事実であり今後の策を待つしかない。