VOICE OF EDITOR Vol.16
- 2025.04.10
- OSAKA
春ですね。
吉田拓郎の曲に「春だったね」というのがあった。女々しい歌詞が続くんだけど、春は「出会いと別れ」をテーマとした曲が多い。
そんな春の日の別れの話題をひとつ。
長年東京での滞在に定宿として利用してきたホテルエクセレント恵比寿が3月末で営業を終えることになった。駅近にもかかわらず、リーズナブルな料金で部屋を提供してくれたこのホテルは我々にとって「神ホテル」だった。今までのお礼を込めて、3月の下旬に東京であったライブではこのホテルを利用させてもらった。今のところこの後ここがどうなるのかという情報はないが、寂しい思いをしている方は多いだろう。長い間お世話になりました。さて、今後どうするかを練らないと、、、。
3月はどういう訳か激忙であった。部屋が片付かない。床に埃が積もる。未読新聞が溜まる。そんな時は集中して掃除をし、散らかっている物を整理することでようやく次に進むことができる。
というわけで、休日2日をかけて溜まっていた新聞の気になる記事、連載記事を一気読みした。気が付けば大相撲春場所の千秋楽も誰が優勝したのかを知らないまま終了していたし、メジャーリーグのドジャースvsカブス開幕戦も終わっていた。新聞を片付けたのでようやく次に進めるのはいいが、次は週刊と隔週刊コミック誌の最新号に追い付かならない。いつの間にか休載している連載について調べると、すでに気になっている方が大勢いらっしゃるようで、その理由や再開時期はすぐにわかった。
同時に今と未来のことも考える必要があり時間との戦いは永遠に続く。人生こんなもんなのか?どっしりと構えていられる方が羨ましい。
パンデミックの頃にできていたことができない。今では懐かしい思いがするけど、あの頃日々勉強していたことから遠ざかっている。通常の仕事量に戻り、日常が忙しいことに原因があるのはわかっているのだが取り戻せないでいる。
「トランプの関税宣言」が証券取引に大きな旋風を巻き起こしている。世界がこんなにいとも簡単に振り回されるとは、、。このままではホモ・サピエンスが神になる前にこの世が終わってしますのではないかと大きな危機感を持っている。日経平均株価は前日比マイナス3,000円と急落し、外国為替相場1ドル=145.96円と大きく円高に振れた。
世の中大混乱の中、ロシアの侵攻は続いている。
そんな喧騒の中のオアシスな話。
UKジャズシーンのサックスプレーヤーとしてクイーンの位置に君臨するヌバイア・ガルスアが新しいアルバム「Odyssey」を昨年リリースし、来日もしていた。僕は大相撲やメジャーリーグ開幕戦が気付けば終わっていたとように、このはちゃめちゃな世界に流され知らずにいた。これはもうアウトでしょ。
思わずAmazonでアナログ盤をポチッとした。


いいんですよ、これが。
それもそのはず。この作品は喧騒とは一線を画したロンドンを離れたところで構築された。
2月に来日したHERMANOS GUTIERREZと同じConcord Recordsから昨年9月にリリースされたこのアルバムはジョー・アーモン・ジョーンズ (keys)、ダニエル・カシミール(bass)、サム・ジョーンズ」 (drums)とのスリリングで絶妙な演奏を軸に、エスペランサ・スペルディング、ジョージア・アン・マルドロウ、リッチー・セイヴライトをゲストを迎え入れ、アルバム全体の説得力を増すのに大きく貢献しているし、ところどころにオーケストレーションを装飾する壮大な作品となっている。彼女のコンポーザー、アレンジャーとしての能力の高さを示すのに十分だ。
前作、マーキュリーアワードを獲得した「ソース」は確かに素晴らしい作品ではあったが、今回の「オデッセイ」には色々な世界、民族、争い、主義、主張を超えた壮大な宇宙を感じる。コズミックでスピリチュアルな広がりはを果たして喧騒な世の中をその優しいベールで包み込んでくれるのだろうか。少なくとも僕はレコードに針を落とした瞬間に別世界へと旅立つことができた。