第93回 イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章 イングランド銀行 (著), 村井 章子 (翻訳)

イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章 イングランド銀行 (著), 村井 章子 (翻訳)
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17歳から24歳までイギリスに住んでいました。だから、死ぬならイギリスがいいなと思っています。でも、イギリスの家賃がとんでもないことになっています。ロンドンだと40万円、地方でも20万円という感じです。

なんでこんなことになってしまったのか、『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』という本を読んでいます。この本は、その国の経済をコントロールし、国民により良い生活を願う中央銀行が何をやっているかを公式に解説したものです。「経済学者の言うことなんか全部嘘っぱちだよ。だって、彼らの言うことが正しいなら、まず彼らが大金持ちになってないとおかしいじゃないか」という声をよく聞きます。だから経済学者の言うことを信じない人も多いですよね。この本でも、「経済学者が正しかったときより間違っていたときのほうが多いことは認めざるを得ない」「1990年代以降に世界で起きた過去153回の景気後退のうち、148回を予想できなかった」と書かれています。

確かにその通りなんですが、スコットランドでアダム・スミスが『国富論』を執筆してから250年、経済学はどんどん発展してきました。いろんな悲劇を防げなかったかもしれませんが、1929年の大恐慌のような大惨事を避けられるようになったのは、経済学の進化のおかげです。リーマンショックもコロナ禍も、大恐慌のような事態にならず、なんとかソフトランディングできたのは、250年の歴史を持つ経済学の成果と言えるでしょう。

この本では、そんな経済学の流れも学べます。みなさんが一番気にしているのは、きっと金融緩和、インフレ率2%、金利を上げるのか下げるのかといったことだと思います。金利を上げたり下げたり、お金を刷るだけで、僕たちの生活が良くなるのかどうか、気になりますよね。

よく聞くのは、「こんなにお金を刷って、借金まみれになって、世界はもう終わる」という声です。AIに聞いてみたら、こう答えてくれました:「『世界が終わる』というのは少し大げさかもしれませんが、お金の過剰供給や国の債務増加がもたらす懸念は確かに現実的です。以下、簡潔にポイントを整理します:

• お金を刷る(量的緩和):中央銀行が通貨を増発すると、短期的には経済を刺激しますが、過度だとインフレや貨幣価値の下落リスクが高まります。例えば、米国のM2マネーサプライは2020~2022年に急増し、インフレ率は2022年に9.1%(米国CPI)と40年ぶりの高水準に達しました。

• 国の借金:主要国の債務は増加傾向にあります。例えば、日本の債務残高対GDP比は2024年時点で約250%と世界最高水準。米国も130%超です。しかし、すぐに破綻するわけではなく、債務の持続可能性は金利や経済成長率に左右されます。

• 世界の終わり?:経済危機は過去にもありました(例:2008年リーマンショック、1970年代のスタグフレーション)。各国は金融政策や財政改革で対応してきました。現在の課題はインフレ抑制と債務管理のバランスですが、技術革新や資源配分の改善で乗り越えられる可能性もあります。」

世界の中央銀行は、こんな事態にならないよう必死に取り組んでくれています。そのことを解説してくれるのがこの本です。普段の僕なら、ここで「日本の借金250%だ」とか、為替準備金180兆円(他の国は大体20兆円くらい)、日銀が日本株を70兆円保有、日本国債のほとんどを日銀が持っている、日本の借金は他の先進国より少ない、なんてAIと議論しちゃうんですが、今回はやめておきます。

この本が最高に面白くなるのは、第10章の「中央銀行がどんどんお金を刷ることはできないの?」からです。この話の始まりは、バブル崩壊後の日本なんです。みなさんも「異次元緩和」という言葉、なんとなく聞いたことありますよね。そう、日本が世界の中央銀行が今こぞってやっている金融緩和(お金を刷ること)の先駆けだったんです。

最初は他の国の中央銀行が「日本、ばかなことやってるな」と見ていましたが、どの国も日本のような状況になり、同じようなことを始めました。すごいですよね。1991年から95年の間に、金利を6%から0.5%まで下げたんですから。よくそんな決断をしたなと思います。

銀行の利益がゼロになるわけですから、経済の血流が止まるようなものでした。それでも日本は、アルゼンチンのように先進国から後進国に転落するような国にはならなかった。

もしかしたら、日本銀行のおかげかもしれませんね。昔から言われてきました。世界には4つのグループがある:先進国、後進国、後進国から先進国になった日本、そして先進国から後進国になったアルゼンチン。

これは、近代経済学を確立した偉大な経済学者サイモン・クズネッツの名言です。この言葉で、子どもの頃に『母を訪ねて三千里』でイタリア人のマルコの母がなぜアルゼンチンに出稼ぎに行ったのか、ずっと疑問だったことが解けました。

偉大なアニメ作家・高畑勲は、子どもたちに「日本も頑張らないとアルゼンチンみたいになるよ」と暗に伝えたかったのかもしれません。東京大学教養学部文科二類卒の天才・高畑勲らしい発想です。マルコがビール瓶洗いのバイトをしていたけど、近くに工場ができてクビになるエピソードも、子どもながらに「なんじゃこれ」と思ってましたが、今思えば経済の仕組みを教えようとしていたんだなと。

この本では、日本のバブルの原因も明確に書かれています。それは不動産バブルと株式バブルでした。このとき、インフレ率は3%で全然許容範囲だったのに、「バブルを潰せ」と金利を6%に引き上げたのが大失敗だったんです。

覚えてますよ、平成の鬼平と呼ばれた三重野康日銀総裁のこと。みんなが不動産や株で儲けてる人を妬み、それを潰そうとした三重野総裁をマスコミが「平成の鬼平」と持ち上げたんです。

確かに不動産バブルで、僕の友達が宝くじで3,000万円当てたのに、八王子のワンルームマンションしか買えず、「こんなんじゃダメだ」とアメリカに留学しました。もしあのマンションを買ってたら、今その価値は300万円くらいになってたでしょうね。

僕が借りてた東京のマンションの大家さんも、バブル時に買った物件で、僕の家賃じゃローンの支払いができず、毎月何万円も持ち出しだったみたいです。結局、2,000万円くらい損したんじゃないかな。あの人はちゃんとした会社員だったのに、不動産屋や銀行に「これ買えば資産になるよ」と騙されたんだと思います。あのとき何が起こっていたかというと、株屋が信用できる人に「この株を買えば絶対儲かる、損したら補填する」と裏書きして株を売ってたんです。

今なら違法、当時もグレーだったけど、慣習としてやってた。それに気づいた当時の大蔵官僚・高橋洋一が証券会社に乗り込んで、「こういうことやめなさい」と釘を刺して止めさせた。それで株式バブルが終わり、儲かったお金で買った不動産バブルも終わるかと思ったら、三重野総裁が金利をガンガン上げて、日本経済を完全に冷え込ませちゃった。その後、経済は復活しなかったんです。

ほんと、なんでこんな30年になってしまったのか。僕が死ぬまでにもう一度くらい大波乱がある気がしますが、そのとき大儲けして、イギリスに家を買えるかな?無理だろうな(笑)。でも、残りの人生は楽しく生きたいです。イギリスは無理でも、ヨーロッパのジョージアならなんとか住めそうなので、ジョージアにしようかなと思っています。イギリスにも近くなるし、僕の安い年金でも年に1回くらいはイギリスに行けそう。そんな老後を夢見てます。