第94回『同志少女よ、敵を撃て』逢坂 冬馬 (著)

『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂 冬馬 (著)
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今更なんですけど、2022年のベストセラー小説『同志少女よ、敵を撃て』を読みました。ノン・フイクション、実用書ばかり読んでしまうのですが、「得しようと思って本ばかり読んでたらあかん」とたまに虚構の世界に逃げるのです。

というか、人生なんてすべて虚構ですけどね。

こんなこと、戦争して悲惨な思いをされている人の前で言ったら殺されますよね。

でも、子供の時からそうやって生きてきました。

多分子供の時に見た『どてらい男』というドラマが好きで、戦争中でもとにかく楽しく生きる人が好きでした。

高畑勲の『火垂るの墓』の企画も、戦争が終わって大人はしょんぼりしているのに、その中を泥棒しようが何しようが逞しく生きる戦争孤児の物語を作ろうとしていたのです。

『火垂るの墓』は決して戦争の悲惨さを描こうとするようなあたり前の話ではないのです。高畑勲が描こうとしたのは、現代の引きこもりの子が戦争中に生きていたどうだっただろうかという物語なのです。

みなさんあの物語の本当の意味分かっていました?あの子ら貧しい子じゃないのです。あの兄弟、死んだ母親から、300円(当時のお金で700万円から1400万円)というとんでもない大金をもらっているのです。面倒見てくれるおばさんが嫌だったら、普通に家とか買って生活が出来たのです。なぜそうせずに洞窟に住んで、妹の葬式も自分でやったかというと、あの兄は社会が嫌だったのです。まさに今の引きこもりの子供なのです。

たぶん、現代の引きこもりの子は親の家に住んで、その親が何千万とか溜め込んでいる家に住んでいる子が多いのではないでしょうか。そうなのです。一千万という大金を持って死んだあの兄弟と同じなのです。もちろん、貯金もなく親の年金だけを頼りに生きている人もいるでしょ、でも住む家はあるのです、なんか出来るはずなのです。でも何もしない、それはなぜかというと、社会が嫌だからです。

この物語の主人公も一緒です。ドイツ軍に母親を狙撃され、村を全滅させられた少女が、復讐のために狙撃兵となり、最後は自分を狙撃兵に定めた教官の女性まで殺すことまでを自分の定めとする女性の物語なのです。

戦争の本なので、どうかな、しかもなんで日本人がロシアの女性狙撃兵の話なんか嘘臭くってあかんやろと思ってたんですが、読み出すととてもリアルで面白いです。

作者はどんな人だろうと調べたら、お父さんが歴史学者、お姉さんはロシア文学研究者、あーこれはホンマものなんやと思いました。

ロシアの戦車T―34とか色々な名前が出てきて、懐かしかったです。僕は子供の頃の夢はプラモデラーでした。現在はガチャガチャ、フギュアで有名な海洋堂に小学生の頃に通っていて、宮脇専務(当時はボンと言われてました)、現在は美少女フィギュアで有名なボーメーさんらに可愛がってもらっていました。50年ぶりくらいに宮脇専務に会ったら、完全に僕のことを忘れていました。当時の僕は丸坊主で「一休さん」ってあだ名をつけてイジられていたのに。ボーメーさんは「なんとなく覚えている」と言ってたけど、本当かな。

ボーメーさんには色々教えてもらいました。今でもよく覚えているのは、アニメを艶消しで描く方法です。アニメって、プラスチックのようなセル画に裏から色を塗るわけです、そうすると艶消しの色で塗ってもあのピカピカなアニメ・カラーになるわけです。というか、全部あの感じになるのです。それでアニメで艶消しを表現するためにはどうするかというと、セル画を水やすりで擦ると艶消しになるわけです。すごいテクニックやなと思いました。ボーメーさんがそういう情報をどうやって手にいれていたのか謎なんですが、捨てられたセル画などを拾ってきて、研究してたのでしょう。それかあの頃は捨てられたセル画を百枚千円とかで買えたのです。アニメを作っている会社の近くに住んでいる奴が、そうやって捨てられているセル画を貰ってきて、自分が欲しいのは取っておいて、いらないのは売っていたのです。闇市みたいですね。今となっては、その中に何万円もする奴がゴロゴロあるのですから、世の中って面白いですよね。そうやってボーメさんはいろんなことを研究して、ボーメー肌色と言われる美しいフィギュアの塗りを作り上げていったのでしょうね。

僕はこのままだと「戦争を知らない子供たち」から、本当に戦争を知らない人間として、死んでいくんだろうなと思います。

中国の台湾侵攻という軍事作戦という悲劇に巻き込まれるのを体験するのか、どうなのか、そういう時代に生きています。でも自分は歳をとり入りすぎていて、もうその軍事作戦をどうこう言える世代ではないと思います。60歳だと政治家としてあたり前のようですけど、歳を取り入れすぎているような気がします。政治家も定年制を実施するべきですよね。

ちょっと前に年寄りは老害だから全部死んだ方がいいと言って大炎上した学者がいましたが、彼がいいたかったのはこういうことだったと思うんですよね。なぜ誰も彼の意見に賛同しなかったのか僕は不思議だったんですよね。60歳以上の大人は全員首にしてみるというのはとってもいい考えだと思うんですよね。生活出来ない人は簡単に生活保護をもらえるようにして。これの方が日本の生産性は上がるのじゃないでしょうか?

結局誰もそいういうことを言わなかったのは、ネットの世界が60歳近辺で牛耳られいるからでしょうね。ネットなんか見てるのはヒマな年寄りばかりなのですよ。若い子は若い子らだけで、自分らのネットの世界を形成してます。それが年寄りによって、封じ込められているのが、今の世界なのです。

そういえば「第三次世界大戦が起こればいい、そうすれば一度みんなチャラになるから」と言って炎上したライターもいたような気がします。セックス・ピストルズの「アイ・ワナ・ビー・ミー」も“第三次世界大戦をくれ、俺は俺になれるから”と歌っていました。

子供の頃、僕が『どてらい男』や『青春の門』を好きだったのはきっとこういうことだったんでしょうね。たぶんネットとかでごちゃごちゃ言っている奴らは僕のように青春時代は思っていたけど、何も出来なかった人なのでしょう。この本を読んでアマゾンにこの本について、“全然リアルじゃなかった”と書いてる奴らはそんな人ばかりなのでしょう。日本で戦争のリアルさを本当に理解している人間なんて何人いるのでしょう。

なぜソ連が女性兵士をたくさん採用したのかもよく分からないとこの本に書いてありました。

僕は社会主義だからかなとなんとなく思っていたのですが、どうも違うみたいです。

そうなのです。何も分かっていないのです。なぜあんなすべての国民を巻き込んだ戦争になったのか、誰も分からないのです。これに関しても、戦争というのは元々貴族がやるものだったのが、すべての国民が参加出来るようになったからだと思っていたのですが、どうも違うような気がしました。

この本もそういう本です。ノン・フイクションってそういう本ですよね。思考実験のためのお遊びなのです。もし、そうなったら、自分だったらどうするというのを考える遊びです。

廃墟のようになっている現在のウクライナ、ガザのことを思うと本当に悲しい遊びですが、本当にどうしていいのか、全く分かりません。でも2000万人から3000万人もの死者を出したドイツとソ連が復活し、またウクライナが同じ悲劇にあっていることはショックでしかないですけど、また再生出来ると信じるしかないです。そして、本当に永遠の平和が訪れることを祈るしかないのです。