2018年10月20日と21日 生涯忘れられない2日間の話。
- 2018.11.05
- OSAKA
- ABSOLUTELY IMAGINATION, BODY ODD, GEZAN, GHPD, LOSTAGE, NEVER END ROLL, NO GOD, STEVE ALBINI, 全感覚祭
大阪は堺の港近くの工場地帯。
そこでGEZANという関西出身のバンドが2日間開催した無料の音楽フェスティバル
「全感覚祭’18」
無料といっても、当日の投げ銭。開催前からの交流のお店など設置された募金箱があり、運営資金はそこを軸に賄われるわけですが、極端な話、予算と現実とか、全く予想不可能なわけで、普通ならそんなリスクは負いたくないし、怖すぎるわけですが、彼等はそれを決行した。というか2014年から続いている。最初は多摩市三角広場にて。2016年まで。2017年から堺のROUTE26周辺にて開催されている。
GEZANというバンドに魅了されるようになったのは言っても、ここ3年ほどの話です。
もちろん存在は知っていました。下山と名乗っていた時代から。
ただお店として、個人としては交流はなかった。
正直、僕がちょっと偏見を持っていた感じです。
彼等は別のところの人たちだ、FLAKEや俺になんか興味持ってるわけもない。
そんな感じ。
交流が始まったのはLOSTAGEとGEZANのsplitのアナログ・プレスを手伝っているとき。
ただ、メンバーとの接点はないまま。
その後にリリースされたアルバム”NEVER END ROLL”はメンバーからの仕入れで、少しずつ接点を。
ドラム脱退後にメンバー募集を普通に公募してたり、携帯番号をネットに公開してたり、色々面白がって見てました。その経緯も後日聞いて最高だなってなる感じで。
2017年には僕が個人的に招聘したノルウェーのバンドAIMING FOR ENRIKEのツアーにGEZANが参加してくれることに。そこでやっとメンバーと話ししたりするように。
完全に見た目からは想像できない、ギャップの塊のようなピュアで優しい人柄というか、少年のような感じに魅了されていきました。
楽曲も同年に発表された”ABSOLUTELY IMAGINATION”にガツンとやられます。
同年に大阪にて初開催された「全感覚祭’17」の時は、FLAKEにも募金箱を設置。その後もちょいちょい店に寄ってくれたりな感じと、活動の様子をSNSなどで見つつ、新作をアメリカ・レコーディングする情報を。
そしてその録音はSTEVE ALBINIが手がけると。それを知った、その時の興奮は相当なものでした。
実際にアメリカに行ってレコーディングを敢行し帰国。
偶然渋谷のコンビニ前でヤンキーのように(笑)飲んでたメンバーに会って、その話を聞いたりしてワクワクしたり
そうこうしているうちに、そのアルバムから先行で”NO GOD”が公開。そしてHIP HOPチームGHPDとの”BODY ODD”が公開。
この2曲に完全にぶち抜かれつつ、今年も「全感覚祭」を開催すると聞く。
2017年時は自身がYOUNG STATUESというアメリカのバンドの招聘ツアー中で参加できなかったのですが
今年は参加したいな、と思っていたら、出店どうですか?と声をかけてもらう。
嬉しい。
スケジュールを調整、確認し二つ返事でOKをだし、昨年同様募金箱を店に設置する。
募金箱には昨年以上にたくさんの人が反応し、募金して行ってくれたように思う。(金額は昨年も聞いていないので不明)
GEZANというバンドが、これまでに関わった人からの信頼を揺るぎないものとしつつ、これまでと違う層にも響き、届き発見されて行っているのを身を以って感じました。
募金やカンパでやるには無茶と一目瞭然の豪華なラインナップと、直前までドタバタしてる様子を堂々と公開している様子とかを見ながら
不安もワクワクも一緒に当日を楽しみに待ちました。
迎えた当日。早朝にFLAKEにて荷物を積んで、会場着。
初めて足を踏み入れた、その周辺の空気感。
早朝からシーバー持って、ママチャリで会場中を走り抜けてるGEZANのメンバー。
その瞬間に感じたものに打ちのめされました。言葉には出来ない。
初日
快晴のもと、刺激的なバンドが各所で最高のライブを展開。
その間もメンバーは募金箱を持って、会場中を闊歩。シーバー持ってママチャリで会場中を疾走。
何度も何度もその姿を目にしていました。
そんなGEZANの出番は、その日のトリの15分だけ。
その日の演者ゲストを多数招いて、たった1曲”BODY ODD”が披露されました。
朝一、いや遥かに前から準備を続けてきて、当日も早朝から裏方として走り回って、クタクタなのは明らかでしたが、そのライブにおける集中力と爆発力、ゲスト演者の気合い、お客さんのエネルギーが全て溶け合って、とんでもなく暴力的で美しい瞬間が産まれていて、心底感動しました。
あんなライブそう見れないなと。ライブハウスに行き出して、30年近く。こんな仕事をし出して、20年とか。
並大抵の量じゃないライブを見てると自負できる自分でも、こんな瞬間はまぁ出会わない瞬間でした。
2日目
この日も快晴。
この日のメンツは、昨日よりも個人的やお店的に付き合いのあるバンド、友人バンドも多く、朝から各所でいろんな人に会い、いろんなライブを見て、楽しく過ごしました。
その間も、昨日同様にGEZANのメンバーは募金箱を持って会場中を練り歩き、シーバーを持って、ママチャリで走り回っていました。
もちろんボランティア、スタッフのみんなも。
そんなこんなで日も暮れて、あっという間にラストのトリのGEZANの出番。
昨日以上の緊張感と期待感が渦巻く空間。
袖にはびっしりとその日の出演者。いや昨日からの出演者も多数残っていました。客席側の至るところにもその日の出演者、昨日からの出演者。
そして始まったGEZANのライブ。
そのライブが始まってからの40分は、本当に刺激的で音楽に魅せられてしまった、どうしようもない人たちが辿り着いた圧倒的空間となっていました。
爆発するフロア。同等に爆発する袖の演者陣。
お客さんが、演者が、いてもたってもいられず次々と飛び込んでしまうステージダイブ。
暴れたいだけ。クラウドサーフしたいだけのやつが、少なからず居る、よくある空間とは全く別の空間でした。
みんながどうしようもなくなってしまい、音楽に狂わされて居るだけでした。
それが圧倒的に美しくて、感動的でした。
それを見て涙が出るって、なんて素敵なことなんだ、素晴らしいことなんだ。
と、感動と興奮に打ち震えていた40分でした。
たったの40分ですが、そこまでの経緯が尋常ではないし
真のDIYで、ここまでやりきった姿に、尊敬しかできませんでした。
開催前には業者に頼むわけでもなく、バンド自らトラックを運転し、機材を貸してくれる所へ走り回ったり、なかなかできることではありません。GEZANを軸に繋がった何らかだけで、成立した無料のフェスティバル
その場にいた人全てには伝わったかと思う、伝説の場所になったのではないかという充実感。
革命の日だったのではないかという、気持ち。
こうやって振り返り、文にしてきましたが、うまく言えないし、書けない
ただ、本当に凄い2日間だった。
本当にありがとうと言える、体験だった。
音楽に心を動かされた人が、やりたいことを思いついて、実現してしまった。
そんなシンプルで一番凄い音楽のパワーを心に刻んだ2日間になりました。
簡単に来年もあればいいな。とは言えない全力の燃焼を見せつけられた日。
フジロックの最初とかもそうなんだったのかな。
AIR JAMの最初とかもこんなんだったんかな。
改めて、挑む人たちへの敬意が刻まれ、自身にも刺激をもたらしたので
これから、この経験を経た自分が向かう先も楽しみにできるし
あの場にいた人たちが、どこへ向かうのか、どうなって行くのか楽しみだし
あの場にいた出演者たちが、どう音楽へと溶け合って行くのか楽しみだし
GEZANのこの先の全てが楽しみです。