カレー屋店主の辛い呟き Vol.44 「最近のアニメの話」

オリンピック始まりましたネ。別に中止にせーとも、個人的には思わんし。みんなで気—つけて、知恵出してやったらえーやんと思うねんけど。その一方でROCK IN JAPANや京都大作戦の中止決定とか聞くと、なんやろね…。もちろんスポーツ見るの好きやし、競技始まったらガッチリ見るけどさ。開会式で、バッハ男爵ご一行と、政府の偉い人達の悪人面見たらやっぱ腹立つな。笑 陛下が入場して、バッハのおっさんと向かい合った時、一発ぐらいどツイても良かったと思うけど「ちゃんとせー」ゆーて。あかんのか…。盛り上がったと思うけどな ワハハ

んで、開会式の中身もさ。なんなん? いろんな意味で安っすい感じやったな。噂によると150億かかってるらしいけど。マジで15億もあったらアレよりオモロく出来ると思うけど。平和じゃ、多様性じゃ、日本の文化じゃゆーてテーマいろいろ考えて、とりあえず全要素は掘り込んだけど。「で、これオモロいん?」て視点が皆無やったよーな。まずショーとしてオモロいかどーかが重要で、お題目のテーマだけを提示するよーなモンはなぁ…。崇高なテーマとかは、見た客が自然に感じるものであって。オモンなかったら何も伝わらんと思うけどな。この要素は入れたからいけるっしょーってな、代理店さんや、偉い人の発想いらんて。ほら結局「安心安全の〜!」ゆーて、しょーもない人がお題目言っても伝わらんやろ…笑。オモロいって結局熱量の問題やから。

そんで、電通も金なくて、金抜くのはえーとしてさ(あかんけどさ…笑)。経済活動やし。せめてバレんよーに、オモロいもん作らな。そこが腕の見せ所やろと。なんか、そんな魂を忘れたよーなヤツらにエンタメは仕切ってほしくないわな。実現出来なかった「Mikiko案」文春で見たけど、好みかどーかは別にしてワクワクしたわ。この世の中やからこそ、ワクワク感は必要やったと思うけど。選手にワクワクは託します!ってんなら、こんなセレモニーいらんしな。高田伸彦が一人出てきて「選手のヤツラ出てこいやー」って言って選手入場で良かったよーな。簡素化でけそーやし。あかんの?笑。

皆様いかがお過ごしですか?大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の”ふぁにあ”です。今回も本題と関係ないこと長々と書いちゃいましたけど。個人的に開会式あまりにも…やったもんで。関係者には友人、知り合いも多いし、大変さと、無念さは伝わってくるけどね。そうそう。思わず、今までの開会式ってどんなんやっけと改めて見た2012年のロンドンオリンピックの開会式。思わず全編通して見ちゃいました。ジェームスボンド出てきて、エリザベス女王が降臨して、Mrビーンが随所で小ボケして…。あーオモロ。んで、モンティパイソンが出演してて、今回の小山田圭吾を始めとする、問題の語られ方と非難の浴び方を比べると、いろんな意味で、この10年変化したんやなと思ったな。

さてさて。本題に入らな。今回は6月末に一部ファン熱狂の中終了した「ODDTAXI」という、アニメの話をしよーかと思ってたんス。昔ほど見なくなったけど、シーズンスタートのタイミングで一応一通りはチェックをして何本かはアニメをリアルタイムで見る私。久しぶりに普通(って)の大人が見ても楽しめるオススメ作品。クリエイティブと娯楽が高いレベルで重なって、将来、アニメ業界の中で、この作品が一つのエポックな分岐点になるかもねと、個人的には感じたわけですわ。

■コミカルで猛毒。ポップなのにミステリーな「ODD TAXI」

TVアニメ「オッドタクシー」第1話冒頭3分映像

この「ODDTAXI」は今年の4月29日から、6月29日までテレビ東京系列の深夜帯で放送されてたアニメ。なんでか関西では放送してなかったのでAmazonPrimeで見てたんス。月曜の配信日楽しみやったよなぁ..あーまだロス。主人公は冴えないタクシードライバーの小戸川。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく群像劇。登場人物は二足歩行の動物として描かれて、主人公の小戸川はセイウチ、小戸川のかかりつけ医の剛力はゴリラってな具合。(そーいや昔おなじよーな名前の女優さんが、ゴリラと揶揄…。まさかね…)動物のキャラクターを用いたほのぼのアニメや、寓話ってのはディズニー始め多くあるけど、この話は、ジャンルとしては完全にクライム&ミステリーな、社会派のおハナシ。

世界観としては「闇金ウシジマくん」そのもので、美人局をするアイドルの三毛猫、美人局にひっかかる借金まみれの清掃員の主人公の友人のシロテナガサル、バズりたい大学生youtuberのカバ、アイドルおたくのスカンク、ソシャゲにハマるサラリーマンのピューマ、盗みを働く看護婦のアルパカ…etc一見普通の登場人物達が、がっちりと闇を持つ現代社会を描いてる。でも、動物のキャラクター達の可愛らしさが、その話の殺伐さと生々しさを、マイルドかつポップに見せてくれるねんな。この世界観こそが、この作品を唯一無二の存在にしてる大発明。「サウスパーク」や「シンプソンズ」的シニカルさに近いものは感じるけど、ストーリー性もがっちりあって、なんやゆーたらスコセッシの「タクシードライバー」を現代日本を舞台にアニメ化した感じ。主人公はどちらも中年のタクシードライバーで不眠症やし。

■脚本にあの「セトウツミ」の此元和津也

漫画「セトウツミ」より。抜群の会話劇

そもそも個人的に、このアニメを放送前から楽しみにしてたのには理由があって。この作品の脚本を担当してるのが漫画「セトウツミ」の作者、此元和津也氏と知ったからで。僕も、愛してやまないこの「セトウツミ」は、瀬戸と内海という高校生が、ほぼ全編川辺で会話の掛け合いをするだけのおハナシ。ほんまに一流の漫才師のネタのよーな洗練された話術が、高校生のトークとして無理なく展開されてて、この作家さんマジでヤバいなと、ずっーと思てマス。結局この「セトウツミ」はテレビドラマ〜映画化の道を辿るんやけど、これがなー…。なんでオモンないのかな(個人的感想やけど…)と考えたことがあったんやけど、答えは簡単で「間」の問題。こーゆー会話劇って「間」の役割って大きいよな。漫画の利点として、その「間」を作者がコントロールして、読み手が自分の脳内でそれを微調整しながら読めるから、実写となると難しいんかなー?と。でも、いい監督や、演出に巡り会えたら、宮藤官九郎クラスの脚本をかける人やろなーとの思いもあったんス。結果、初めてのアニメ脚本で参加した今回の「ODDTAXI」では、此本ワールドが全開で、ローテンションの会話劇のオモロさが爆発してました。下に貼付けた予告の中にも入ってる「なんで白か黒か答えろと言う難題を突きつけるんだよ!ミスチルか!」なんてパンチライン。ええわ。

TVアニメ「オッドタクシー」PV第3弾 脚本此本氏の会話劇の欠片をドゾ

そして、今回。此本流会話劇が成立した仕掛けがもう一つ。この「ODDTAXI」はプレスコって言われる制作手法をとってて、脚本を元に先に声を収録してから、アニメに起こすってやり方。これによって、かわいい動物のキャラクターに引きずられず、役者陣がリアルで生々しい会話劇と、絵図の動物達の世界観が両立出来たとちゅーこと。此本氏の脚本の魅力を最大限に引き出す手法やったと思うわ

■制作を担当したP.I.C.Sの存在

オリジナルなこのアニメを制作した会社は、ドラマ「岸辺露伴は動かない」をはじめ、星野源や、BjorkなんかのMV、CMなどの実写作品を手掛けてきたP.I.C.S。漫画原作のアニメ化や、制作委員会方式の通常のアニメ制作とは少し座組が違って、元企画と脚本から作り上げてく実写や、オリジナルのアニメ映画作品のよーな体制から生まれた作品。それが、この作品の独自性を際立たせるコトになったんかなぁってのが勝手な推論。アニメ業界の旧来の村社会的な常識や、発想や、予算組みなんかを、軽やかに飛び越えてる気がするもんな。例えば、今回の声優陣は、主人公・小戸川役を今大人気の花江夏樹に。んで、彼に新境地”とも言える41歳「おじさん」の演技を求めたり、ミキ、ダイアン、トレンディエンジェルのたかしなどの芸人達が、単なるゲストやなくてガッチリ使ったりと、深夜帯のアニメとしたらホント豪華。特にダイアンが演じた漫才コンビ「ホモサピエンス」フィーチャー回は、現実のダイアンの姿とかぶって泣けたわ。ちなみに、この漫才コンビの漫才台本も此本氏によるもの。ダイアンのオリジナルかと思ったよ。

「オッドタクシー」6話で流れたスペシャルエンディング。元「馬と魚」現「トニーフランク」による「壁の向こうに笑い声を聞きましたか」あーええ歌。 

そして劇伴は、HIPHOPレーベル「SUMMIT」より、PUNPEE、VaVa、OMSBが参加。そして登場人物の1人ヤマアラシ「ヤノ」はラッパーのMETEOR。ずっとポエトリーなラップで話すとかオモロい。

スカートとPUNPEE『ODDTAXI』Official Music Video(TVアニメ「オッドタクシー」オープニングテーマ)

これだけいろんな要素を詰め込んで、見事にマトメきった制作のP.I.C.S。これから日本でも、アニメの制作会社だけじゃなくて、様々なクリエーター達がNetflixやAmazon primeなんかの予算を使って、大人向きな上質なアニメコンテンツを生み出すコトになるのかなと。んで、このオリジナル脚本を書いた此元和津也のように、まだまだ漫画の世界から飛び出す才能も多くいるんやないかな。ちなみに、この「ODDTAXI」では、此元氏の書いた漫画「セトウツミ」と同じよーに、最終回に向けて、怒濤の伏線の回収とコペルニクス的転回が発生。あーやっぱ、この人天才だわ。映画「恋愛小説家」のジャック・ニコルソンをモデルにしたらしい、冴えないタクシードライバーの主人公「小戸川」の姿に共感しつつ、此元氏の冴えきった台詞回しと、シナリオの全体像に夢中になったこの作品。近年まれに見る名作かと。

■夏アニメは「SONNY BOY」を見ようかな

TVアニメ「Sonny Boy」PV60秒| 7.15 ON AIR 夏目真悟監督オリジナルアニメ

さてさて。今回も、だいぶ長文になってる気がするので簡単に。笑 今、現在リアルタイムで追ってる夏アニメ作品がいくつかあるんやけど。紹介したいのは「SONNY BOY」って作品。「スペース☆ダンディ」や「ワンパンマン」なんかで注目を集めるアニメーション監督夏目真悟のオリジナル脚本作品なんやけど、僕も敬愛する江口寿史先生が、ひっさびさにキャラクター原案を担当してるんスね。江口先生のキャラクターが動いてるだけで激アツなんやけど、ヴィヴィッドでポップな色使いや、小気味よく切り替わるカットが生み出すドライブ感など、まだ3回しか終わってないけど期待しかないなぁ。夏目氏が本作品を「私小説」と言ってるよーに、オリジナルの脚本がどう成長してくのか楽しみっス。話のベースは「漂流教室」で、それにキャラクターそれぞれが超能力を持ち出してって話なんやけど、このシーズンにピタリの夏と青さが感じられる作品。こちらも毎週楽しみにしてます。

どうしても、鬼滅の刃やったり、ワンピースやったり。漫画原作のアニメが多くなる中で、ここで紹介した2本はオリジナル脚本で、大人が見ても楽しめるもの。それぞれの作品のアプローチは様々やけど、実験的作品やし、作家性も色濃く感じられる。アニメってジャンルは、まだアニメファンのものとか、子供のものって感覚を持ってる人も多いと思うけど、この2作品は、映像作品を見るのが好きな人が見ても十分楽しめるエンタメに仕上がってると思うで。夏休み家に籠ってる人は一度みてみたら?

ほな、今回はこの辺りで。

ホイミカレーとアイカナバル / 店主ふぁにあ
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