カレー屋店主の辛い呟き Vol.64「東京」
- 2023.04.04
- OSAKA

皆様こんにちは! 大阪・上本町のカレー屋兼飲み屋店主の「ふぁーにあ」と申します。今月もこのコラムを、読んでいただき感謝です。今回は、先日、久々にお店以外のお仕事が入ったので、行った東京でのお話。何個かテーマに分けて、色々と紹介できりゃいいなと思っております。そーいえば、先月も京都のお話をダラダラと書いてましたね。今回も同じよーなお話になるかもですが、紹介するのは僕の愛すべきものばっかなので、共有出来たら嬉しいなぁと。
■「東京の江口寿史彼女展」

このコラムでも、何度か書いてるように。僕は漫画家で、イラストレーターでもある江口寿史さんの大ファン。今回の東京行きも、この日比谷ミッドタウンで行われてる「東京彼女」展が開催中のタイミングじゃなかったら、実はお断りしてました。笑 この「東京彼女」展は、今まで何年かに渡り全国を巡回してた「彼女展」の一環の展示会。僕も、「彼女展」は金沢、長野に続いて3回目なんスけど、東京のみの展示もあって、今回も素晴らしく楽しめた展示会でした。
「同じ展示会を3回も見てオモロいん?」なんて話をよくされるけど。違う場所で、何度も見てこそ、気が付くこともあるんスよ。展示されてる作品は、ほぼ同じやけど、その展示会の行われてる場所の空気を吸って、同じ作品を見ると全然印象が違う。今回の会場、日比谷ミッドタウンの洗練された空気で見る「彼女」達は、やっぱ東京の都会の女に見えんだな。これって結構凄いことやと思うし、江口先生の描くイラストが、単なる美人画じゃなくて、「彼女」達のシチュエーションや、時代を切り取る風刺画になってるからやと思うんス。描かれてる「彼女」達は、イラスト内の背景や小道具の効果もあって、どこかに既視感があるんやけど、実際には、そんな理想の「彼女」達はいないし。この現実と、ファンタジーの間こそが、漫画家である、江口先生の真骨頂やと個人的に思うんス。このコラムが、掲載されるタイミングでも、まだこの展示会は間に合うと思うので、是非見に行ってほしいなぁ。
■東京の立ち食いそば+α

今回の2泊3日の旅。東京の立ち食いそば屋を、回ってみるのも裏テーマでした。打ち合わせの近くに美味い立ち食いそばがあったので、せっかくなら、飲む以外は全部立ち食いそばしか食わんとこと。笑
一人旅って自分で制約をつけてプラプラすると、よりオモロいってのが持論ス。行ったお店を、短めにご紹介しよかと思うんスけど、どの店も個性が違うし、店主やお客さんと交流できた店もあって、店のいろんなこだわりや、地元のオモシロスポットを教えてもらったり、一緒に飲んでみたり。立ち食いそばやから始まる、コミュニケーションと旅の広がり。新鮮でした。
そばうどん文殊浅草店(写真左):浅草の東京メトロ銀座線から、東武線に乗り換える途中の、地下街通路にあるレトロ店。立ち食いそばには、珍しく生そばを茹でてくれて、トッピングした春菊天も、注文後の店内揚げでサクサク。場所柄、観光客の方が、みんな自動販売機の使い方がわからんすぎて、ずっと店の店主のおっちゃんと、外国の観光客さんに説明しながら、おしゃべりしてました。つゆも薄い色やけど、やっぱ関東。でも、いきなり東京の立ち食いそばレベルの高さを感じれた、いいお店。
一由そば(写真中):今回どうしても行きたかった、東京立ち食いそばの中でも、常に名前が上がるこちらのお店。日暮里駅から徒歩3分くらいにある24時間営業の名店。麺は名物の太蕎麦にして、ゲソ天が有名なのでトッピング。漆黒のつゆにビビって、生卵を追加でダイブ。田舎そばのような太そばが、漆黒の濃いつゆに絡んでヤバい。んで、ボリューム大のゲソ天も、マジ美味いわ。超人気店なんスけど、提供まで約1分。なんで、ネギも新鮮で美味いんよ。これ、美味い立ち食いそば屋の共通点。でも、ほんと見たことない立ち食いそば。人気の理由わかりました。
肉そば・肉うどんの店「南天本店」(写真右):池袋で打ち合わせやったので1駅足を伸ばして、西武池袋線の椎名町まで。こちらも、取材が多い大人気店で、来店時にいた人が全員食ってた肉そばに、生卵トッピングで500円。関東には珍しい出汁の効いた甘めのつゆに、大量の肉とネギが異次元。これ大阪・ミナミにあったら死ぬほど流行るわ。2、3人でいっぱいの店内は、ひっきりなしに来るお客さんがカウンターに取り付くので、店の向かいの駅横ベンチで食べるスタイル。横に座ってたお兄ちゃんの、カレー+キャベツ+肉倍のそそり立つラーメン二郎スタイルの肉そばに驚愕して、注文の仕方を聞きつつ、椎名町の事をリサーチ。横のコンビニで買って、奢った缶ビールを飲み切る頃には仲良くなって、地元の銭湯「五色湯」が有名ってことで一緒に向かい、角打で飲み。さすが、マンガ好きの中では知らないものがいない「トキワ荘」があった椎名町。抜群にいい銭湯も、立ち食いそば屋もあるいい街でしたな。

そばよし本店(写真左上):僕が個人的にNO1立ち食いそば屋と思ってる、日本橋・三越前のこちらの立ち食いそば。鰹節問屋さんが直営する(2Fに会社)だけあって、鰹出しのつゆは立ち食いそばのレベルを完全に凌駕してて美味い。マジでいつまでも飲んでたいっス。かき揚げはサクサクの薄揚げ。ご飯を頼むと付いてくる鰹のふりかけは、ちょい醤油をかけて食べるとその香りで優勝。何年かぶりに食べたけど、やっぱ美味いわ。マジ好き。ここの立ち食いそばは、漆黒のつゆが苦手な関西人でもいけると思うんよな。
立喰そばうどん「豊しま」 飯田橋店(写真右上):関西人には、意味がわからん漆黒のつゆに、超デカい一枚肉。本当はこの肉が数倍分厚い「厚肉そば」が、ビジュアル最高なんスけど日和って普通の肉そばを注文。肉が完全に沖縄料理のラフテー的な甘い味付けなんで、漆黒の醤油のつゆにつけると甘じょっぱくて不思議な味。あまりにも初体験な味なので、若干惑ったけど箸は止まらず。近くにあれば、くせになるかもなぁ。
Minatoya 3(写真左下):課長島耕作が通っていた立ち食いそば屋「湊屋」が、ミッドタウンの前のベンツのショールームにあるって聞いてとりあえず。ベンツを眺めながら食べるつけ麺は、普通に美味かったけど、僕が行きたかった「湊屋」やないんよ。笑 しかし、立ち食いそば屋が、こんな場所にこんな新ラインのお店を出店できるなんて、なんかプランナーの匂いが。東京ってオモロい。
菊屋食堂(写真右下):立ち食いそば屋じゃないんスけど、ウチのお客さんに教えてもらった今回初来訪のお店。スカイツリーのお膝元にある、このお店は外観も、内観も昭和から、時間が止まってるよーなレトロ店。営業が深夜2時からお昼で、食べ物はカレーだけ。朝早く東京に着いたので、とりあえず向かってみると、店主のじいちゃんが半分寝てました。笑 昭和のセットのような店内で、テレビから流れる時代劇チャンネルの旗本退屈男。じいちゃん特製のカレーを食べながら、世間話と、時代劇のストーリーを話しながら、飲むウーロン杯。居心地良すぎやろ!少し酔っ払うと、昭和の頃のこのお店の賑わいが、感じられるよーな気がして、ほんとに良い空気が流れてる。スピリチュアル&エモなお店やったなぁ。
やきとり大衆酒場大将本店(写真中下):今回長い時間を過ごした高円寺。そして、高円寺では誰もが知ってる酒場「大将」。外に座って、高円寺の街を眺めながら友人と飲んでると、知り合いが1人2人と通りかかるのを、キャッチ&リリース。どんどん友達の輪がデカくなってく。ましてや、大阪からの珍入者がいたこの晩は、気がつけば、友達の知り合いの友達みたいな「誰やねんお前」奴だらけ。串は勿論、ポテ&マカロニサラダと、煮込みが美味くていつまででも飲めるんス。ほんと大好きこんな店。大阪・アメリカ村の、味穂もそーやけど、楽しい街には、必ずこんな感じの人と人が繋がるハブのよーな店があるんやな。あー楽しかった。
■東京のレコード屋
時間がなくてあまり回れなかったけど、今回は中央線沿線の吉祥寺から、高円寺まで一駅ごとに降りて、レコ屋→飲み屋→時々銭湯のループを丸一日。無限にレコード屋がある東京で、マジで一週間ほど腰を据えてDIGしてみたいもんです。んで、やっぱ今回も探してたレコードを発見。宝探し楽しい!
せっかくなので手に入れたレコードの中から、何枚かご紹介させてくださいな。
札幌で活躍するクリエイターTAKAHASHI KUNIYUKIが、2002年にJOE CLAUSSELのレーベルからリリースしたこの曲。時々ネット上では見かけてて、あまりの値上がり方に日和ってたレコードを目の前にすると、もう買わざるを得ないでしょ。笑 世界中のDJやクリエーターがフェイヴァリットと言う、この曲のタイトルは、これも世界中のDJ達に愛される、札幌の伝説的なクラブPrecious Hallから。僕も世界中のクラブに行ってる方やと思うんスけど、ここの音は世界一好き。そして、このレコードを発売した後に来日JOE CLAUSSELのプレシャスホール。この超ディープでダビーな空気感を纏ったこの曲が、かかった時の多幸感は、何年たっても忘れられないモーメントなんス。
値付け間違えてるんかなぁ。こんな感じなんかなぁ。300円やったよ。これ。須永辰緒氏の別名儀プロジェクト、SUNAGA T EXPERIENCEによる、超絶なサウンド・コラージュが展開したスペイシー・モンド・ナンバー「GEMINI IV SPACE NOVA!」と、カップリングにスモーキーな極太ビートが炸裂したDJ KENSEI率いるINDOPE PSYCHICSによる同曲のアブストラクト・トラックのカップリング。試聴して聴いてみたら、須永さんのトラックは少し昔のお洒落感を感じたけど、INDOPE PSYCHICSのビートは逆に今っぽいかも。せやけど、300円は安すぎると思うけどなぁ。
こちらも上と同じお店で500円。お店によっては、リリース時より高い往年のオルガンbクラシック。7インチがリリースされてるから、値段が下がってるのかな。持ってたよーな気もするけど買っちゃいました。2001年リリースの 女性ギタリスト「Joyce Cooling」のブラジリアン名曲カバーなんスけど、このMuroのmixは本当に好き。オルガンbでこの曲がかかった時の、至福な瞬間。あー懐かし。この曲でvoで参加してるVince Andrewsのピッチが、微妙に不安定なトコが偶然なのか、指示なんかわからんけど、良いんスよ。20年経った今でも色褪せないクラシックやなぁ。
COOL WISE MENの2003年リリースの陽気なカリビアンナンバー”Miss Walker”と、甲子園の応援とかでもお馴染みの、ラテンのスタンダードナンバーのスカアレンジ”Cuban Jail“が入った7inch。ルードで、スカな中央沿線沿いの街を、飲み歩き&レコード探しをしてるとこんなレコードを買ってしまう。街に似合う音楽ってあるんやなぁと改めて実感。んで、やっぱ良いバンドやなぁと再認識。
さてさて、今回は東京で出会ったものを長々と書いちゃいましたが、いかがでしたか?ほんとに、東京の立ち食いそばレベルの高さを実感した旅でした。んで、東京はタバコが吸えん。居酒屋でタバコが吸える店の多かった、高円寺あたりがやっぱホームなんやなぁ。
今回は、このあたりで。
ホイミカレーとアイカナバル / 店主ふぁにあ
〒543-0031 大阪府大阪市天王寺区石ケ辻町3−13
ホイミカレー:毎週火木金12:00-売り切れ次第終了 アイカナバル:月—土18:00-23:00