実録 関西パンク反逆の軌跡 Vol.21

INU「メシ喰うな!」のリマスターLPが10月4日にアメリカのMesh-Key recordsからリリースされました。

Don’t Eat Food! | INU

https://inujapan.bandcamp.com/album/dont-eat-food?fbclid=IwAR1TFNak73FaLWiGxMPyvDjUUdBZR8AmR2m_6cAyPRLqAKzW_03IDZ27Z98

解説を担当された石橋正二郎氏の依頼でINU年表を編みました。この年表自体はライナーノーツには掲載されていません。
乞叱正。

INU年表
ライブは左から開催日、コンサート・タイトル、共演者(50音順)、会場の順に記載。

1962年
1月15日 町田康生まれる。

1977年
8月 腐れおめこ結成(注1)。
腐れおめこメンバー
町田康(vo)
前田耕志(g)
田中 “オショウ” 敬介(b)
西森武史(たける)(drm)

1978年 
11月4日 「Punky Reggae Party」 共演/アルコール42%、アーント・サリー、SEXUAL、RUDE。 神戸女学院大学社交館(兵庫)
※情報誌には町田バンドと記載されているが腐れおめこ名義で出演。
12月23日「脳髄直撃コンサートVOL.ZERO PUNK vs R&R」 共演/アルコール42%他。 住吉区民ホール(大阪)
12月30日 「神経切断!」 共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE、TRASH、ブランク・ジェネレーション、リザード。 ギャルソン(大阪)
※位置付けは「脳髄直撃VOL.1」。

1979年
初頭 林直人(g)加入(注2)。林は元RUDEのボーカリスト。
腐れおめこからINUに改名。
INUメンバー
町田康(vo)
林直人(g)
田中 “オショウ” 敬介(b)
西森武史(drm)
※「X-magazine Jam」創刊号(1979年3月発行)にINUの写真と紹介文掲載。
3月15日 共演/DUFF。 サーカス&サーカス(京都)
3月18日 共演/アーント・サリー。 バハマ(大阪)
3月関西NO WAVE東京ツアー


3月25日 共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE。 屋根裏(渋谷)
3月26日 共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE。 マイナー(吉祥寺)
3月27日 共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE、SS。 キッド・アイラック・ホール(明大前 )


3月28日 共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE、SS。 チキン・シャック(福生)
3月29日 出演/アルコール42%、アーント・サリー、ULTRA BIDE、SS。チキン・シャック(福生)
INUはこの日出演せず。 
※関西NO WAVE東京ツアー後に林直人脱退。
林はロックマガジン24号(1979年6月1日発行)に掲載された小間慶大(g)のメンバー募集を見て連絡を取り小間はINUに加入。
4月24日  バハマ(大阪)
5月1日 共演/ULTRA BIDE。 バハマ
5月17日 「クロス・ノイズ」 共演/アルコール42%、ULTRA BIDE、SS、連続射殺魔。 同志社大学別館小ホール(京都)


5月21日 「NO WAVE」共演/アーント・サリー、ULTRA BIDE、SS。 サーカス&サーカス
※田中 “オショウ” 敬介(b)がライブをすっぽかしたため小間が急遽ベースを、bikke(アーント・サリー)がギターを弾いた。
田中 “オショウ” 敬介脱退。西川成子(b)加入。
西川は元ブランク・ジェネレーションのキーボード奏者。ベースはまったくの初心者だった。


6月1日 共演/アルコール42%。 バハマ(大阪)
6月3日 「クロス・ノイズNo.0」共演/Vedda、メタフィジックス、螺旋階段、ワークショック 京都大学西部講堂(京都)
※「クロス・ノイズNo.0」は6月2,3日開催。6月2日の出演はアーント・サリー、ULTRA BIDE、グルーポイド、BIDE、堀田吉範+LA!。
※西森武史脱退。北川裕史(drm)加入。北川は元アルコール42%のギタリスト。



6月29日 共演/DUFF。 サーカス&サーカス
7月19日 共演/S-KEN。 拾得(京都)
7月26日 バハマ
8月9日 共演/連続射殺魔。 サーカス&サーカス
※小間慶大脱退。北田昌宏(g)加入。北田は元変身キリンのギタリスト。
小間は旧友を「北田やったら2日で曲を覚えられる」と紹介。
8月12日 「マンスリー・ギグ・ヒア・イン・コーベ」 共演/KAS、DUFF。 神戸ヤマハ元町店(兵庫)
8月29日 共演/ULTRA BIDE。 バハマ
9月5日 共演/連続射殺魔。 サーカス&サーカス
9月8日 共演/ノーコメント。 拾得
9月15日 「青い毛皮の制服を着たパンクス」 共演/URTRA BIDE、白石民夫、NOISE他。 京王地下(新宿)


(注3)
10月4日 ユニオン(大阪)
※北川裕史脱退。東浦真一(drm)加入。
11月1日 「DOKKIRI CONCERT」 共演/アルコール42%、チャイニーズ・クラブ。 ピッコロシアター(兵庫)
11月3日 金蘭短期大学(大阪)
11月5日 共演/連続射殺魔。 サーカス&サーカス
※ロックマガジン28号(1979年12月1日発行)にINUの写真と高山謙一による紹介文掲載。
11月17日 「サツガイGIG」 共演/YORAN。 スタジオ創造道場(大阪)


11月18日 共演/だててんりゅう。 SOUND BOX共和村(京都)
11月24日 「前夜」 共演/SPEED、P-モデル、連続射殺魔。 同志社大学学生会館ホール(京都)


11月27日 「関西NOW WAVE」 共演/アルコール42%、コウイチロウ+堀田吉範、スーパーミルク、チャイニーズ・クラブ、非常階段、BIDE、変身キリン、螺旋階段。 同志社大学至誠館24教室(京都)


12月8日 「ODWARAコンサート#1」 共演/ODWARA、羽野昌ニ・堀田吉範デュオ。 京都大学尚賢館(京都)
12月9日 共演/アルコール42%。 バハマ

1980年
1月1日 「ノーモア・サイレンス」 共演/チャイニーズ・クラブ、BIDE、不正療法。 SOUND BOX共和村
1月15日 「DOKKIRI RECORD(注4)発売記念ギグ」 共演/アルコール42%、チャイニーズ・クラブ、変身キリン。 クルセード(大阪)
※アルバム完成はDOKKIRI RECORDチラシ記載の1979年11月28日はおろかこの日にも間に合わず。


1月19日 共演/だててんりゅう。ルート4/4(京都)
1月26日 「Spunk Out 3」 共演/X。磔磔
2月2日 クルセード
2月17日 クルセード
2月22日 共演/スタークラブ。 ルート4/4
2月24日「ODWARA#3 PUNK PARTY」 共演/ODWARA、変身キリン、UP-MAKER。京都大学尚賢館


※このライブが実際のDOKKIRI RECORD発売記念。
この頃から町田康は町田町蔵と名乗り始める。
3月4日 共演/VOICE、だててんりゅう。 屋根裏(渋谷)
3月5日 共演/絶対零度。ロフト(新宿)(注5)
3月7日 共演/BOP GUN、FUN。 西武City Hall(?)
※この頃に町田町蔵と石橋正二郎がKBS京都ラジオ出演。DOKKIRI RECORDを紹介する。
3月28日 「SHOCKING PLNK!」 共演/だててんりゅう、FUN、P-モデル。 神戸児童文化ホール(兵庫)
春 デモ・テープ制作。録音日と場所は不明。(注6)
4月13日 共演/阿部怪異。 クルセード
4月25日 「オープニング・フェスティバルPART1」 共演/精密機械、だててんりゅう他。 スタジオあひる(大阪)
4月25〜27日 「京大吉田寮祭’80」 共演/明日なき暴走、ODWARA他。 京都大学吉田寮内特設ステージ(京都)
4月29日〜5月2日 「Imaging Kids Garage」 共演/S-KEN、ZIGZAG、だててんりゅう、Dr.シンプチンパラノイアス、ノーコメンツ、ハルメンズ他。 法政大学学生会館ホール(市ヶ谷)
5月4日 「ヤポネシア’80 リムショット1・2!!」共演/アシッド・セブン、キャラバン、DADA、友部正人&Recording Band、中山ラビバンド、南正人&Soul Brothers。 天王寺野外音楽堂(大阪)
5月10日 共演/ZIGZAG、スターリン。 磔磔
5月20日 「BE PUNK」 共演/FUN、BOP GUN。サーカス&サーカス


5月23日 「PROPAGANDA」共演/ZIGZAG、ザ・ノーコメンツ、FUN。 同志社大学学生会館ホール


6月29日昼 共演/FUN。 SOUND BOX共和村
6月29日 「もうこれっきりクルセード Never Fade Out!」 共演/VOX。 クルセード
7月2日 共演/ZIGZAG、ラモーンズ。 京都会館別館ホール(京都)


8月24日 屋根裏
9月5日 共演/マリアーズ。 磔磔
9月7日 バハマ
9月28日 屋根裏
11月2日 「行為と行動 そしてVO MUSIC」 共演/ODWARA、
ニシャコフスキー、向井千恵。 京都大学尚賢館
11月3日 「サイバネチックス・フェスティバル」 共演/だててんりゅう、ボトムレス・スワンプ。神戸女学院大学社交館
11月3日 共演/EPF。 関西学院大学学生会館ホール(兵庫)
11月4日 「有刺音群part2」 共演/ZIG ZAG、DADA、ドクター、B.C.スネークス、リザード。関西学院大学中央芝生ステージ(兵庫)


10月17日〜11月22日アルバム「メシ喰うな!」録音。sunrise studio(池袋)
12月13日 「Second Army’s オールナイト・ニューウェイブ・コンサート」 共演/EP-4、スタークラブ、C.MEMI+ネオ・マチス、チャンス・オペレーション、ドクター、突然ダンボール、のいづんずり、FUN、変身キリン、ボーイズ・ボーイズ、UPメーカー、リラダン。 京一会館(京都)

1981年
「TARGET」(1981年1月号)にINUバンド写真(1980年10月29日池袋 撮影/広瀬忠司)と鳥井ガクの紹介文掲載。
2月24日 クロコダイル(原宿)
3月1日1st アルバム「メシ喰うな!」(ジャパン JAL-4)リリース


3月2日 「『メシ喰うな!』レコード発売記念ライブ」ロフト(新宿)
3月31日 バーボンハウス(大阪)
4月4日 クロコダイル
4月24日 ビクター・ミュージック・プラザ(高田馬場)
4月29日  クロコダイル
5月4日「アンノウン・ソルジャーズ」  共演/ヴァージンVS、キッズ、クラウディ・スカイ、子供ばんど、ZIGZAG、BOWWOW 、フィルムス、モッズ、ルースターズ。
日比谷野外音楽堂(日比谷)
5月8日「ニューウェイブ集結 野犬襲撃ライブ」 共演/汝雀バンド、のいずんずり、フィズ。 立命館大学学生会館(京都)
5月29日 「Guns For Your Generdtion」 共演/EP-4、なぞなぞ商会。同志社大学学生会館ホール
6月11日 エッグマン(渋谷)
6月12日 鹿鳴館(目黒)
6月22日 芸音劇場(名古屋)
7月18日 北天画廊(盛岡)
7月19日 共演/責任転嫁 jam(仙台)
8月 活動停止 

「日本のパンクロック」誌(1981年12月10日発行)に町田町蔵(1981年3〜6月取材)と西川成子(1981年5月取材)の写真とインタビュー掲載。

1982年
3月29日 共演/コンチネンタル・キッズ。 磔磔
※INUとして告知されていたが実際はFUNAのデビュー・ライブ。
FUNAメンバー
町田町蔵(vo)
bikke(g)
爆発五郎こと田村洋(b)
普金太郎こと東浦真一(drm)
5月1日 共演/吉野大作&プロスティテュート。 スタジオあひる
※INUとして告知されていたがライブ当日にFUNAと改名。

1984年 
10月25日 アルケミー・レコードからLP「The Original INU/牛若丸なめとったらどついたるぞ」(ARLP-003)リリース。1979年3月25日屋根裏でのライブ盤。

1985年
3月下旬 LP「The Original INU/牛若丸なめとったらどついたるぞ」(ARLP-005+ARSO-001)として再リリース。ジャケットが黒から緑に変わりソノシート「キヌガサ」付き。

注1.(腐れおめこは)「G×2,Vo,B,Dの5人編成」(「OUTSIDER」創刊号 1978年末発行)。
もう一人のギタリストの名前は不明。
注2.「腐れおめこ、GUITARIST2人を12/30のGIGの後、クビにし、新メンバーを入れ新バンド(INU)として現在調整中。」(「OUTSIDER」2号 1979年初頭発行)。

注3.「町田町蔵はINU(犬)というバンドのボーカリスト。初めて彼を見たのは1年ほど前、新宿の京王地下の映画館でのオールナイトコンサートでのこと。その時俺は、ウルトラ・ビデというバンドをバックに何か呪文のようにつぶやき続けている町蔵の歌を聴いた。」鳥井ガク 「TARGET」(1981年1月号)

注4.DOKKIRI RECORDは関西パンク5バンド(アルコール42%、INU、ULTRA BIDE、チャイニーズ・クラブ、変身キリン)の演奏を収録したオムニバス・アルバム。町田康が社長の必要レコード社からリリース。200枚プレス。録音は1979年秋(録音日不明)スタジオ・ワン(京都)。
INUは北川裕史がドラムを叩いたこの時のテイクを「メシ喰うな!」以外は没にし東浦真一加入後に16チャンネルで再録音(録音日、場所は不明)。



注5.「それからしばらく時がたって、INUは新宿ロフトにやって来た。『ドッキリ・レコード』という関西のバンドの演奏を集めた自主制作限定200枚を持って…。〜中略〜しばらくの間、『ドッキリ・レコード』のINUを聴き続ける日が続いた。〜中略〜“何とかしてINUのレコードを世に出さなければ…”その日から俺はまるで義務感のようにそんな考えに取り憑かれてしまった。」鳥井ガク 「TARGET」(1981年1月号)

注6.「80年春、僕とINUはFレコードにあるスタジオでデモ・テープを作製した。そして予定では夏頃、INUはFレコードからデビューを飾るはずだった。」鳥井ガク「ワイルドサイドを歩け」(1987年2月1日刊 講談社)所載「パンクス達よ、うまくやれ!ーINUレコーディング・レポート」163頁。

協力(50音順)/石戸圭一、神沢雄次郎、小坂井雄三、田畑満、名古屋昭博、平野敏彦。
参考https://www.machidakou.com/live/

https://yoo-gto.com/2021/03/15/%e9%96%a2%e8%a5%bf%e3%83%8e%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%82%a4%e3%83%b4-%e9%9b%91%e8%a8%98-%e2%91%a1inu/